再始動 3
まるで昔、テレビで見たことの有る、
中国の…奥の奥の奥のほーーーの、
とにかく深い山々を思い出す、そんなデリターニャ北部、
そこはまるで、ノコギリかサメの歯の様な、
とにかく刺さりそうな、尖ったギザギザな山ばかりが並ぶ、人も獣も寄せ付けぬ、
そんな山脈だった場所。
そこには今、広大な平原が出来上がっていた。
ひとことで言うならば奇跡か天変地異…
ほんのわずかの間に、あり得ない景色へと、
あの険しい山脈が突然、全く違う景色へと様変わりしてしまっている。
それは神の御業だと、知らぬ者たちは云う。
間違いでは無いが、同時に正解でも無い。
むしろ、神のイタズラだと…のちに関係する人々は、そう話したと云う。
…
まあ、まだ草木こそ生えてはいないが、いい感じですよ。
野球のグランドが、無限に作れそうな広さが有る…恐ろしい…
一体どれだけ不幸な野球部員を生み出そうというのか…
絶対に、野球のグランドだけはダメだ。
知らんけど。
そんなここに、ズク族らを迎える予定なのだが。
そんな理由で?
本来の計画の予定を、更に大幅に上回る、
かなり大規模な…最早、開拓と呼ぶのもどうか…って規模の、開拓となった。
そして当のズク族だが、
ヨミのプランに従い、以前ヨミが作りかけていた拠点を目指し、現在も移動中だった。
一度デリターニャによって、物資の大量補給を行った後、
既にデリターニャからは随分と離れてしまっていた。
そのアーマとズク族の一団と連絡をつけるため、
色々とややこしいから、我が直接行って話してくるよ…っとなり、
結果?
ヨミを背に乗せて、九郎がデリターニャから旅立った。
一応?
この広大な土地にはズク族が住み、居を構える。
基本はその全員がほぼ、農業に従事する予定である。
主に小麦、大麦、大豆に小豆、
誰もが食えるという謎の穀物(※地元食材)など色々…
野菜、キノコ、とにかく、
そこは創造神様のお力ってやつで、なんとかしろやっ?…っと、
多少強引にでも、作付けしていこうって事になった。
ただ…そもそもズク族って、農業とか出来んの?って、
ヨミに聞いてみたらば、
元々、ズク族って農耕民族なんだそうだ。
おお?そりゃなんか都合が良いな。
それに、戦闘もこなせるものは全て、
この広大な平原のパトロールや守備を行なう事も決まった。
それが新たに切り開いた土地の、ほぼ山側の半分弱くらい。
まだまだ土地は余裕です…
で、残り半分だが…
ここに連合の巨大倉庫群を建設するって事になった。
勿論、倉庫群たって、ただ倉庫だけじゃ無い。
そこで働く者、作業員がそこに住まう為の住居、なによりその防衛やなんかも含めた、
ちょっとした…いや、結構デカい街が出来てしまう様だ。
これが、まさかデリターニャよりもデカいんだってさ…
もうびっくりするしか無いんですけど?
これに伴い、シャダ商会の本社も、コチラ側に移転する。
同じく、連合のヘッドクォーターも、うちの本社と一緒にここに移転する運びだ。
当然だが、本社が無くなるそこらの土地の整備も、商会は同時に行う。
特に古い住宅で、アーマ軍の進行で無茶苦茶だったエリアは、
俺達が、多少は整備したが、
無理矢理短期間に復興させたせいで、
良く言えばかなり雑多で乱雑な状態。
悪く言えば、ただのぐちゃぐちゃ。
そこもきれいに整備し直して、特にそこにある住居の一部は、
俺が今回掘り返した山側の土地に、まとめて移動させる予定だ。
今、ほぼ廃墟に毛が生えた様なボロっちい家から引っ越せば、
たったそれだけで、なんと最新の新築が、商会から無料で貰えるって事と、
そもそも住民のほぼ全て…に、近いくらい?
ここらに住んでる連中は皆、シャダ商会の関係者達ばっかりで、
反対する住人など、そもそも皆無だったのもありがたい。
イヤ…あのシャダやベッツの目を、
直接見ながら、俺は嫌だ!…って、
そう言える勇気のある奴など、
そうは居ないのが実際だとは思うんだけどね…
知らんけど…
より効率よく、港の作業が行える様、
先の埋め立て地も含め、港側もかなり大幅に改革を行なう予定であり、
通常業務と並行し、既に大幅な改修がアチコチで行われている。
当然必要ではあるので、今後も港にも、うちの事務所や、夜間の宿直の為の施設は置くものの、
港からそれ以外の本社機能は全て離れてしまう。
だが実は、それ程大きな問題は無いのだった。
そう、その為に俺達には、便利な地下水路が有るのだよ。
新本社社屋から、地下水路をへて、
旧本社までの移動の所要時間は、約四十分。これが安全性をかなり考慮した状態。
流れ込む水量の調節で更にスピードの調整が可能となり、
最短三十分弱までは短縮可能なのだ。
ちな?
シャダ達、泳げちゃう系の獣人ならば、
そもそも舟なんか乗らずに水路を泳ぎ、
水路の流れに乗って移動すれば、僅か十分も掛からずに、
しかも、大した疲労も無く、それぞれに到着出来るそうだ。
普通に道を歩けば、数時間は掛かるっていうのに。
最近知ったが、シャダ達って、水中でもある程度、呼吸出来る器官があるらしく、
相当な時間、潜ってられるそうだ。
新社屋から旧社屋までなら、なんと息継ぎ無しで行けるんだとか…ヤバない?
ただ、流石に真冬は無理だと思うけど。
当然だが…旧本社から新本社までも同じ移動時間となる。
朝、新本社に出勤してから、旧本社まで移動したって、
その逆だって良いのだよ。
なんせこっちには、その為の水路が有るのだから。
なんの問題も無いのですよ。
まあ…会社員の電車通勤を思えば、
それくらいは、なんちゃ無い。
こっちのヤツらには、電車通勤の…その説明さえもまともには出来んのですが…
まあ、移動が特別、大した事でも無いって話。
水路は、新本社から、ガイナ村にも行けてしまう…ガイナ村から旧本社にも、行けてしまう…
なんて便利なのでしょう?!これは革命的でさえある。
そして…
水路内の事故防止や急なトラブル防止や対応を兼ねて、
うちの商会の従業員が、水路のあちこちに配備される。特に水路のコーナー部。
上の、地上のあちこちには、駅を設置する。
なので商会のメイン施設は地下に移動させる。
水路内のアチコチには、商会の見張りや休憩の為の小屋、
小型の倉庫、貯蔵庫…それらが設置される。
地下は地表よりも、温度が安定しているし、天候の影響も無いからね。
そんな水路内そのものが、うちの商会の施設って事。
当然だが、この水路には、関係者以外は立ち入り禁止だ。
まだ先の話だが、ゆくゆくは一般利用者からは金を取って、水路の舟に乗せてやるって事も、
一応は、検討中だな。
その、駅での乗り降りを利用し、
屋台の移動販売やその人員の交代や応援、
資材や商品の補充や撤収…それらも水路を使って行なう予定である。
町中で屋台を運用するヤツら以外は、
ほぼ水路内のどこかには、うちの誰かが居るって感じだな。
賊が下手に水路内に入ったって、
下には商会のヤツらが、いたる所にウヨウヨ居るって感じ?
しかも?
水に強い連中がいっぱいね…
だから水に逃げても、多分…無理だろうなと。
水路により、屋台組の機動力が格段に向上すると共に、その移動範囲も大幅に伸びると予想されている。
まだ、取らぬ狸の皮算用だが、
当然、売上も期待出来るわけだ。
当然だが…港の荷物を倉庫に運ぶのがそもそも水路の役割だが、
それだけに用途を限定する理由など無いのでね。
ヨミの予想だと、水路はやがて、全て舟で埋め尽くされるだろうと…
ある意味?水で動く、ベルトコンベア的なものに、いずれなるだろうって予想なんだと…
今の未来視だと、ね。
まあ、カタチはどうあれ、便利で安全ならばそれで良い。
更にはミューがクモ系の眷属魔獣を、
九郎がコウモリ系の眷属魔獣を、
それぞれ地下水路内部に召喚し、配置してくれるとの事で、
そうなると見張りから、賊の対応まで…
ある意味…警備会社を使ってる様な感じだろうか?
セ◯ム…ならぬセクモ?
ア◯ソックならぬ、(コウ)モリサック? 知らんけど…
いつかふと、天井の隅を見上げると、
霊長類最強の、女子レスリングの王者が目を光らせて、
そこに居るかも知れんな…
既に、地竜と水竜が、多くの精霊も配置してくれている。
タカマ=ガハラでごっそりパクっ…違う…頂いた、
大量の魔石を設置した。
精霊がいる限り、この魔石が勝手に反抗して光り続ける仕組みだ。
竜種のおかげで、水路内は精霊で溢れかえっている。
そしてこれがまあ、結構明るいのだわ。
松明なんて、最早お笑いだよね?って、くらいに、
とにかくめちゃ明るいのだった。
流石は偉い神族所有のの魔石だったね、そこらの安物だと、こうは行かないのだ。知らんけど…
俺達が存分に有効活用させてもらおう。
そうなると?
侵入も、不審火や不法投棄などもほぼ不可能…
防犯も事故も、恐らくそうそうはおきないだろうね、
…ってくらいの、運用前にして既に、かなり万全な体制だった。
うーーーん、持つべきものはやはり、優秀な仲間たちだよね。
至れり尽くせり、レリレリ、れりれり…なんですけど?
そうそう、ガイナ村では鬼族らの住居の建設も、
イサク現場監督の号令の元、いよいよ本格的に始まっている。
更には今、シャダ商会の建物で、現在、俺と俺の家族らが利用(※占拠)してる建物と、
神様島の…俺達のあの、俺が建てたった違法建築の家を、
丸ごと【深淵】でここに移設する。
どっちも基礎とか無いんで、建ってる地面ごと運ぶ予定。楽勝ですよね。
神様島の家が、俺と大人達の家、
兼、集会所や大型食堂に、
今現在の住居の建物を、
子供達の家、ちびっ子ハウスにしようと思ってる。
現在の孤児院の子供達も、こっちにまとめる予定だ。
なんせうちの子供達はそれぞれに、自分のお部屋を、自分の手で造ったんでね。それを壊すのは忍びない。
今は仕切りだけだが、いずれはちゃんとした個室にしてあげようと思うんだよね。
そして神様島だが…
連合の秘密基地兼、幽霊船の発着基地って事になった。
俺達のいたエリア…住居やスノーパークなんかがあるエリアとは、全然違う場所に、
連合の施設を近々建設予定だ。
あの…俺達のいた付近は、ヤバ目の罠だらけだからな。
あんなトコに素人は近づかない方が良いね。
対アーマや獣人、対海賊用の罠だからね。
普通の人間?
ああ多分、落ちたら…◯ぬよ?
そして全ての家屋の建築資材は、俺が削った岩をブロック状に加工した物を使用する。
石積やレンガの建築のように、順番に重ねて行くのだが、
接着出来うるセメントの様なモノが、
こっちには無く、普通はただ、重ねておしまい。それが普通。
地震対策もクソも当然一切無い。
倒壊は即、圧死。ヤバない?
だからと言って、粘土の様な物では心許ないし…
なので、
レゴのブロックの様な、突起と穴を、それぞれブロック自体に加工して、
まさしくおもちゃのブロック感覚で、家を組み上げていくのだ。
だが…そもそもプラスチックのおもちゃとは、その強度が全く違うのだよ。岩だからね。
ガッチガチやぞ?
それがガッチリとハマれば重さもあるし、そう簡単にはズレたりしない、
セメントと違って、くっついてる訳でも無いので、
必要なら再び、サクッと分解も出来てしまう…
しかも?
特別な技術は一切要らない。だからやり直しも含め、
説明書?通りに、ただ積んでいけばOKという、
なんならお子様にだって出来うるお手軽さ。
岩を割ったり加工するための道具を、
イサクが既に、量産体制には入っている。
イサク先生の弟子候補らが、今一生懸命、
頑張って作っているらしい…
それらがある程度、皆にいき渡るまでは、
俺はただひたすら、ブロックを作り続ける。
そんな俺を、魂のブロック職人…
或いは、ブロックの鬼とでも、そう呼んでくれ…
まあ、切ったり加工するのにも、一切力は要らないのだが…
…ぶっちゃけ?
おんなじモンばっかだと、すぐに飽きるよね?
本家の?
レゴの様な?
カタチの違う、ちょっとお遊び要素のブロックも時々作って、
今にも折れそうな心を紛らせつつ…
恐らく?一万個くらいは出来上がったトコで、
折れた…ポキっと…
一旦、ギブアップした。心がもう限界だった。
飽きた?
いや、飽き散らかしたった…もう嫌だ…
数日はもう、ブロックなんて見たくない…
イヤだ…
ブロックこわい…
数日、ブロックの悪夢にうなされた…




