前門の神族、後門の蜘蛛 1
とにかくだ…何はさておき、俺は急いでミューのトコまで飛んだ、
気になって気になって仕方なかったのだ。
そして【深淵】内で、敵の事…事の顛末を話し、
ミューに身内って居たのか?っと、聞いてみた。
結論から言うと、身内などは居ない…はず?
そもそも、ミューは破壊神パイセンが、
戦闘中に、その場で生み出した存在であるので、
当然ながら、パイセン以外の生みの親も居ない、
オンリーワンの存在だった。
ただ…ミューを生み出す際の元ネタ?
パイセンがイメージした、そういった存在が有る可能性は当然、否定出来ないし、
ヨミでは無いが、ミューも多くの分体を作ったり、
なんなら戦闘に備え、子も大量に産んでるので、
俺が遭遇した、その蜘蛛っぽいヤツが、
自分と関係が有るとも無いとも、
実際に見てみない限り何とも言えない…って、事だった。
但し、俺に敵対したという時点で最早、
問答無用で敵認定だと。当然即、排除決定だそうです。
俺に害を成すのなら、どのような存在であろうが、自分が必ずそれを排除すると…
俺にも、以降それに接敵したらば、なんの遠慮も要らない、
次に有ったら有った瞬間必ず滅ぼせと、
そう仰ってます。OK、了解です。
次にヨミだな。
なぜクモがアーマと一緒に行動していたのか?ひょっとしてあの蟲かな?
また、神族がミューのコピーでも作ったのか?…っと。
「それよりだ。なぜか主から、強い神気を感じるんだが…」
へ?なんで?
…ってか、しんきってなんじゃい?
美味しいのそれ?
「……」
どうやら俺が一発、クモに掠らせたバットには、
否定出来無い程の、濃厚な神気がベッタリ、だったらしい…
まあ…言ってみれば、それは、神族の血肉のようなもので、
俺には見えて無いだけで、どうやらバットが敵を、ガッツリと抉っていたらしい…
キモいな…見えないけど、あとでちゃんと洗おう。
「即死にはまだ遠いけど…かなりのダメージを負ってるね…」
つまり?
…コイツって、神族なのか?
「ああ、間違い無く神族だろうけど…おかしいよね?」
ん?
「神族にとって【深淵】は猛毒だ。そんな属性がハマるなんて、
そもそもおかしいんだよ、我でさえ、どうやったって無理だったのだ、そんな事は先ず、あり得ない…」
だが、これを…っと、俺は【深淵】から、俺とジョンを包んでいた糸を出したった。
「なんと驚いた、ホントに深淵属性のようだね…」
ミューもそれに、大いに反応した。
なにより、そんな大事なモンッ、わしに先に見せとかんんかいっ!ッと、
結構キツめに叱られた…
す、すいません…ついうっかり…
ミュー曰く、自分の糸の構築と、かなり酷似していると…
この糸…そもそも魔力で出来た魔法の一種なんだと。
だから自由自在に、どうとでも出来るそうだが、
魔法である以上、そのやり方が有るんだと。
なんなら、これが自分の糸とほぼ同じだと…
それを踏まえ、ヨミがとある仮説を提唱した。
ミューの子か、或いは分体を取り込む事に、まんまと成功した神族が居るね…と。
そもそも?
ミューのコピーは、それこそ幾度も作ろうとはしたが、
神族には深淵の制御は出来ず、全て尽く失敗したと。
だが…僅かづつ、死なない程度に徐々に毒を取り込んで行って、
恐ろしいくらいの長い時間を賭けて、
やがて自分の能力に変換出来た者が居たと、
そう、考えられる…っと。
出来る出来無いでは無い…実際に糸と云う、確固たる証拠まで有る以上、恐らくその線が濃厚だ。
では…
お前の身内の神族の、特に血の濃いヤツらの中に?
そんな、頑張り屋さんな奴って、
誰か心当たりは居るのか?
「居るっちゃ居るが、それは上位の神族全員だよ…力を欲するのは真理だからね。
ただ…これはよっぽどの物好きだろうね。わざわざ毎日、致死の猛毒を食らい続けるんだからさ…我は絶対に嫌だね!!うん、絶対に」
ああ…毒好きってそもそもヤバいよな?…
相当な、究極クラスのド変態なんだろうけど…
神族ってさ…ヤッパマジでヤバいよな…アタオカですやん?
「おい主よ待ち給え。我は嫌だって、そう言ってるからね?
神族を皆、ド変態で一括りにしないで欲しいね…」
あ?神族なんて、どうせみんな、似たようなもんだろ?知らんけど…
「ただ…レホーと大きく違うのは、分体ではなくて本体だって事かな。
大ダメージを受けちゃ居るが、何かと制約の有ったレホーよりも遥かに、
本体は身体の回復はその分速いだろうね。
爆散したってトコを差し引いても、
事前に【呪】を準備してたくらいに狡猾だったわけだからね。
そこも考慮すれば…
恐らく、数カ月も有れば、きれいに復活しそうだよね。
あくまでもまだ予想、ただの感だけど…」
まあ…逆に言えば、こっちには数カ月の、対策の準備期間が有るって事だよな?
「ああ…そうなるね」
敵がミューに見えて、思わず日和ったが、
ニセミューの存在など、断じて俺が許さん。
粗悪なコピー品など、ミューのイメージダウンだ。
そんなモンッ、今後は一切要らんのだよ。
まあ、次にヤツに接敵したら、すぐさまミューも参戦してもらおう。
レホーも大概、クソみてえな奴だったし。
ゆえにまだまだ、油断など出来んが、
今度は呑気に、俺を観察する暇など、ヤツには与えてはやらん。
そうそう、思い出した。取り敢えず?
一緒にいた連中の装備も有ったな…
そいつもヨミにも見て貰おう。
俺は消滅させたアーマ兵士の、装備や武器を取り出し、それをヨミの前に並べた。
そのうちの…とある剣の紋様を見て、ヨミの表情が大きく変った。
「驚いた…これは曾祖神の一柱、ミナカーシ様の紋様だ…」
なにそれ、
美味しいの?
「……」
なんだよ、食えねえのかよ?つまんねえな。
「…いや、これってひょっとすると、我も知ってる神かも知れない…」
知れない、のか?
「多分…だけど、これが有るって事は、直系の神の…つまり、我にも近しい存在だろうね…」
…近しいのか?
「長らく病で、床に臥せっていると聞いていた者がおったのだが…」
おったのか?
「ああ、だが、それは病ではなくそう、深淵…毒が原因だったって事かも…」
えーーっと、それはつまり?
「つまり、我の仮説は恐らく有っていた。
その者は、深淵属性の竜種を、剣の神とともに討伐にも行った…」
行った?…だから?
「竜種の身体…或いは力を、そこで得たとしたら、
ミューの分体を取り込む為に、それを利用したはず…」
はず…だから?
「ああ、恐らくその者は、ニニーギ…もしくは、その直接の関係者って事になるね。」
…お、オニギリ、だと?
「……」




