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G7会議 2

 その日は思ってたよりも更に、かなりの数の議題や課題が出た。


 やはり、つい昨日までが無計画だった、そのツケだろうな…


 会議は夕方まで続けたものの、マイダス親子は仕事もあるんで、

 次回の予定を決めて、


 本日はお開き。九郎航空でサクッと、ご自宅まで送迎させて頂いた。


 

 …


 ……


 マイダスは震えていた。九郎の背の上が怖いわけではない。寧ろ、風が心地がよい。


 震えていたのは商売人としてでは無い、

 一人の人間として、何か途轍もない大きな波に飲み込まれている事を、今、強く感じていたのだ。


 一代で大商会という、いわば自分の城を、自分の帝国を作り上げたという自負を持っていた自分が…


 まさしく今、大きな時代のうねりのそのど真ん中に居て…


 文字通り、本当に国を作ろうという、その大いなる流れの中に、

 まさか、この老いぼれた自分がいた事に…


 たった商会一つで、いかに小さな事で、自分は満足していたのかと…


 勿論、金も力も、知恵も持ち合わせていたとしても、

 やはり一介の商人程度では、決して超えられぬ壁が有った。そこから先は、ただの夢物語だと、


 いや、そこに超えられぬ、壊せぬ壁が有るなどと、

 どうやら勝手に思い込んでいたのだ。


 そもそも、そこに手を伸ばす事さえしてなかったのだ。


 そして今、自らもまさに、そこに手を伸ばそうとしている。


 集まったメンツもそもそも異常だった…


 正真正銘の…本物の創造三神の一柱…ツク=ヨミ様だ。


 人間如きが会おうと思って会えるような、そんな軽い存在では無い…


 そして恐ろしきはその知恵だ。

 普通、思いもしない事でさえ、あの方は容易く答えを導き出してしまう。驚きの連続だった。


 ただ一緒に居るだけで、ここまで勉強になろうとは…この歳になって尚、学びに気付かされるとは…


 そして鬼族…シャダやベッツよりもまだ大きいとは…

 だが、ただ大きく粗暴な訳では無い…

 あの男、かなりの知恵者だな。

 どうやら、ここにいるという事は、やはり只者では無いのだろう。


 そうだ…トニーの発言にも、中々に感心させられたな。アレも大いに成長しておったわ…喜ばしいことだ。


 イサクの知恵や技術も、以前から知ってはいたが…

 恐らく会長から押し付けられるという、未知の技術を、自身の技や知識として取り込み、

 最早、技術者としては、相当な高みにおる存在となっておるようだな。


 これらの力を…種族の垣根を越えて集め、その全てを使いこなす会長…

 いや、すべてはエィビース様の、

 そのお力有ってのことなのだろう。


 この様な機会や幸運が、なぜか私に降ってくるのも、全ては私の信じる唯一の神の、その御威光なのだ…




 

 …


 ……


 トニーは感動していた。


 まさか、この世には神が居たなどとは…


 いや唯一、エィビース様こそは、最早信じて疑う事も決して無かった唯一の神だったが…


 創造三神など…ホラ吹きが作り上げた、ただの偶像、

 金儲けの…詐欺に使う為の空想の神輿だと…


 強くそう思っていたが…自身の目で見て、神の存在を確信した。


 ヨミ様もまた、確かに実在する神なのだと。


 確かに、エィビースがいたのなら、ツク=ヨミが居たって不思議では無いが…

 やはりこの目で見るまでは信じては居なかったが…


 あの発想や切り替え…エィビース様も大概おかしいが、

 ヨミ様もまたおかしい…

 だが、そもそもエィビース様とも全く違う…よりもっと…真理に近く、汎ゆる状況を加味し、かなり現実的だが、


 やはりその目で見えている景色の広さが我々とは完全に違った、

 我ら人間如きとは、全く持って違う、桁外れな視野の広さと見識だった。

 

 エィビース様は敢えてそうされておるのだろうが、どこか人間臭さが強く、故に親しみを持ちやすいのだが…


 ヨミ様はまさしく神…神らしいなどと、私如きがおこがましいのであろうが、

 その雰囲気や佇まい…まさしく神々しいのだ。

 明らかに普通では無い…私の様な筋金入りの無神論者でさえ、最早これを疑う事も出来無いとは…


 そうか…見ないふりをしていただけで、実は神って近くに居たのだな…


 …と、同時に、

 この世にはそれを悪用する悪党もまた存在したという事だ。

 

 だが、まさか二柱の神が創りし国では…そんな事を行う愚か者はおるまいが…油断は禁物だ。


 そしてそんな神の創りし理想郷の手伝いに…まさかこの私が選ばれようとはな…


 そもそもそこが、我ら商会連合の旗艦であり根幹をなす、

 最も重要な場所となるのだ。こんなに栄誉ある仕事も無かろうよ。


 そして思う。私の歩むここまでの道も、この先の未来も、

 実は全て、エィビース様の、その手のひらの上だった訳だと…


 なる程…そう思えば全ては繋がる。そう、約束された未来へと。


 そして昆布茶だ…いつもながらエィビース様は、素敵な不意打ちをしてくる。


 コレは美味いうえに安く、加工もただ乾かして砕いただけだとか…


 恐らく、あの様な商売の種が、あの方からは

これからもポンポンと降ってくるのだろう。そうとも、本物の神だからな…


 ああ…それがなんと楽しいのだろうか。なんと素晴らしいのか…


 先も、底も見えない暗闇だろうが、

 そこにエィビース様がおるのであれば最早、ついて行く以外の選択肢など無い。迷う理由などなにも無いのだ。


 あの方らの創りし未来に、私もご一緒させて頂こう。ああ…実に愉快だ。

 神話の中の、空想の生き物だと思ってた神獣で送迎されながら、

 トニーはただ、その幸せを噛み締めていた。

 

 

 …


 ……


 まさか…竜種だけではなく、そもそも創造三神さえも、実はその配下だったとは…

 グシオンは軍神のその力に、改めて驚愕していた…


 神の国…我らが関わった新たなる生き方は、


 まさしく神の国を造るという、全く予期せぬ事態へと舵を切った。


 信じ難い事だが…アーマ軍五万をも容易く屠った軍神は、実に穏やかだった…

 ここではそんな荒ぶる様子さえ見せない。しかも…美味い茶まで入れてくださるとは…


 そしてただ静かに、ただ皆を見守って居られる…


 ここに集まった商人も獣人も、そしてドワーフも、

 皆、相当に頭が良くキレる。知恵も経験も持ち合わせた、まさしく本物の識者達だった。

 

 それらの意見を纏めて精査し、問題点や改善点を指摘するヨミ様…流石は創造三神だと…


 だが、真に恐ろしきはやはり軍神様なのであろうな…


 全てはあの方を中心に動いている…

 敢えて口を出さないのも、皆を信用し、任せたという事だろう。

 それだってそう簡単に出来る事では無い…

 


 その様な優秀な者の中に、我ら落ちぶれた鬼族をお加えになられた…

 これも恐らく、深い理由や意味が有るのだ。


 その様な立場を与えられ、それに応えられぬなど…決して有ってはならぬ…

 一族は心を一つにし、新たなるこの生き方に、未来へ邁進するのだ…



 …


 ……


 相変わらず、うちの大将は人使いが粗い…イサクは愚痴をこぼす。



 食事も休憩も、なんなら給料だって出ては居るが、

 こうも次から次へと新しい仕事を持って来るとは…まるで待遇のよい、奴隷みたいじゃないか…


 いや、待遇のよい奴隷なんか、おるわけないか…

 わし、元奴隷だしな。



 文句は口から漏れてくるが、決して不満では無い…


 寧ろ職人として、技術者として、

 ここまで信用し、ここまで自由にやらせてくれる王様や親方など…まあ…絶対におらんじゃろうな。ニヤけてくるわな…


 これほど自分の技術をアテにされて、それを嬉しく思わない職人など、絶対におるものか…これこそ職人冥利に尽きるってもんじゃろう。


 世界の中で、どれだけ多くの職人がおろうが、

 今、この親方から仕事を任される職人は、この世でたった一人、このわしだけなのじゃ。


 あの発想も知恵も、元々只者じゃ無いとは思ってはいたが…

 未だに全く底が見えん。

 気付けば、世界でもわしだけが、あの男の特別な知識を得られているのだ。

 それがどれ程に素晴らしいことか。

 金貨を幾ら山のように積んだって、コレは絶対に買えないお宝だ。

 

 特にそう…今なら昆布茶とゼンザーイもある。

 コレは素晴らしい。これがある限り、わしがこの仕事を辞める理由などないな。



 いや、無くとも辞めんか。


 なんせ結局、あの男の横におるのは楽しいからな。


 ただもうちょっと…量も種類も減らしてくれると、ありがたいんじゃがなあ…


 

 皆それぞれ、なにかを感じ、思い、


 新しい世界の創造に、夢を馳せていたその頃…


 実はとんでもない事が起きてたりするわけですよ、俺達の知らないところで…


 いやあ、世の中って、常に動いているんですね。


 良くも、悪くも。

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