New Normal 3
俺の壮大な国造り計画の、
その、貴重な労働力パートナーとなってくれた鬼族だったが、
ここ、地竜夫婦の泉から、当該のガイナ村までは、中々に結構な距離が有る。
歩いて行くのはまあ…不可能では無いけども、そもそも大人数だし、かなり目立つし、無理だよな。
通常の、普通の人間サイズでさえ?流石に数百人規模ともなると、そもそも人数が多いんだよね。
馬車だって、相当の数がいるだろうね。
だがしかし…鬼族なのである。
その半分以上は、普通の人間よりも遥かにデカい連中である。
馬車説は崩壊した。
例え九郎航空でも、当然、複数回の…相当な往復が必要となるだろう。
大きさの制限?
そもそも九郎の方には、実は限界は無いのだが…望めば望むだけ巨大化出来てしまう…が?
だが、離着陸する陸地側には、大きな制約が有るんですよと。
つまり、いくらなんでもっていう…陸地面積の限度があるのだ。
ただでさえ土地不足のデリターニャですから…
まずは?
取り敢えずか弱い女子供と老人…って事だが…それだけでも数百人規模…
仮に…十人ずつでも約二十往復…となる。
一日二往復でも最低でも十日か…
天候だってあるしな…雨天は中止だろうしな。
大きな声じゃ言えませんが、ぶっちゃけ、超めんどくせえ…
九郎には決して、断られたりはしないだろうが…
流石に?なん往復もさせられる九郎には、かなり申し訳無いんよね…
で…考えた。
ヨミをタカマ=ガハラに運んだときと同じく、
数人ごとにミューの糸でぐるぐる巻きにして、
【深淵】経由で輸送しようと。
一応?神族を祖に持つという…多分?丈夫なお身体だし、
何人かでテストを行った後、無理そうな者だけは、九郎航空のお世話になろうと。
まあ…今度はミューの負担が増えるが…九郎航空は既に大活躍だしな。
ここはミューにお願いしようかなと。
一旦?ミューに相談してみた。糸のぐるぐるってさ…一回で何人くらいイケそうかなあ?…っと。
え?一回でイケますよ?余裕ですけど…言葉ではないが、明確な意思が…俺に伝えられた。
マジか?…いや、決して疑ってる訳じゃ無いんだよ?
でもさ、流石に二百人以上を一回でって…
ちょっとミューさんや、あなたそれ…かなり無理してませんか?
お父様は心配だよ?
いや?問題無いっすよ?その程度、もう余裕っすね…強い意志が返ってくる。
マジですか?ホントに?
まあ、ミューがそこまで言うのなら仕方無い。そこは信用しよう…
たださあ、いっぺんに引っ越したって、コッチの受け入れ準備が一切まだなんだよな。
一旦、向こうのお家の、片付けアンド準備要員を送ってから…
何より、本人達の引っ越しの準備だって有る…そう、向こうの都合も有るからね。
そこも一旦、皆で相談してから決めようか。
何かの決め事が発生した場合、例の三人を交えてお話するのが、一応の決め事となってるんで、
族長アザゼルと、期待外れ王のマッスーことマステマ…そして、どこかうちのじいちゃんと、マーヤル師匠をも彷彿とさせるグシオン爺様。
で?…寧ろ丁度いいかもしれない適当で適任の人材?
話題のマステマ君で人体実験…おっと違った、
て、テストを行う運びです…が?
…嫌がってるね?
で、早速?やっぱり?
「全然怖くねえし…?」そう言ってイキってる割に?
実験体のマッスー君が、ミューにビビり散らかしてます…
脚が…ヒザが、ガクブルしてます…
何故か族長と爺様も交えて、マッスーの説得を行い…
無理矢…おっと違った、若干、強制的ぽく?糸で巻いて、湖のそれぞれ反対岸へと、移動させました。
【深淵】に入ってる時間はせいぜい一〜二秒程度なので…
特に大きな変化…生き死にするレベルの問題は発生する事も無く、
当然ですが、実験は無事、成功しました。
まあ…特に問題が無いと判って、
マッスー君も、再びイキってるみたいなんで、
まあ…これで良かったんでしょう。知らんけど。
で…この犠牲の無かった人体実験の成功をもって?
一旦、この三人を引き連れ、シャダ商会と俺の国予定地のガイナ村ツアーを敢行する事になった。
ガイナ村は当然ですが、商会には労働環境の確認と、
実際に俺が鬼族全員の食糧を賄えるってのを、実際にその目で見せておこうとの、細やかな配慮です。
【深淵】がどうのこうのと言うのは、今の所、彼らは余り気にしていないですが…
実は生身で入ったら、その瞬間に人生おしまいですよ…っていう衝撃の事実は、
当面、彼らには伏せておこうと思います。特にマッスー君には…
少なくとも、無事全員の大移動が終わるまでは…ね。
そして、三人をぐるぐる巻きにして、ガイナ村に到着しました。移動時間三秒弱…
気候風土や植物の違いで、かなり遠いとこまで来たって事を、三人はその身体で感じてますね。
まずは作戦本部へ移動です。
幸いというか…ここって吹き抜けかよ?ってくらいに、部屋の天井が高いんで、大きい鬼族でも、充分な室内高です。
まあ…入り口は人間サイズですので、実質入場の際は、ほぼ土下座ですが…
そこはいずれ早急になんとかします。
いや、明日からイサクに頑張って貰おう。
取り敢えず?一人につき二つの椅子を提供し、
まずはお茶を用意して…
うーーーん、カップがもう、お猪口にしか見えないね…こりゃ油断してたね…
これも急いで対応せねばなるまい。イサクには、更に頑張って貰おう。
そして、実際に彼らが当分住むことになる廃墟…いや、屋根と壁が一部残った…ギリ住居にご案内した。
若干…いや、相当に心苦しかったが…
勿論、順次建て替えて行くつもりですよ?
だが、誰がどう見たって…廃墟は廃墟だ。
もう開き直る事以外に、俺に出来る事は一切無かった…
きっと、さぞやがっかりした事だろうと、そう思ったのだが…
意外や意外?まさかそうでもなさげ?…
なんなら意外と高評価だった…
ウソ…?
現状、ほぼ完全に野宿だそうで、屋根が有るだけで全然ありがたいと…
何故か生まれて初めて…俺の心はかなり痛かったが、
彼らの、貧乏な状況と思考に、ちょっと救われた気がした。
一応?付近の雑草や余計な木々はすべて取り除いて有るので、廃墟は廃墟でも、割ときれいな廃墟だと…思います…
基準を相当に下げた状態で、使えそうな建物だけでは、若干…足らん感じもするって事で、
家と家をロープで結び、大きめの天幕を張って、簡易的な寝床も造る…
そうか…イサクは…結構大変だな…頑張れっ!
やはり関係者の実地見分があったんで、割と細かいプランニングが出来た。
族長は既に、一族の振り分けを、マッスー君と検討している。
当初の予定では…俺の家族だけの予定だったもんで、水の…井戸の整備や食事用に大きめのキッチンがいるし、トイレの増設は必須だな…
いや待て…ならばそもそも先に、上下水道が必要なのでは?
うーーーん、なんでも思いつきだけで行動すると、
やっぱ、色々と問題が出てくるよな…
まあ…そりゃ当然だとも思うが…
まあ…?困ったときは当然ですが?
俺に恩義のある、有りまくってる竜種さんらには、ここは是非とも頑張って貰おう。
イサクばかりに仕事をなすりつけるのは、いくらなんでも流石に…
ちょっとだけ?忍びないし…な。知らんけど…
そういうわけで?
地竜夫婦には、早速穴掘りを依頼しよう。
うん、忙しくなってきたぞ…なんなら忙しいのはほぼ、イサクだけなんだが…
とにかく忙しくなってきたぞ。
頑張ってほしいよね…イサクには特に。




