New Normal 1
あれからもう、数日経った。
鬼族については、地竜夫婦から俺に一任されてはいるが…
正直、一族郎党皆殺し…なんて、
そっちの考えは、そもそも一ミリも無い。そんなの嫌だし、やらないね。
残虐アーマの残党を生かしておいて、
鬼族は処刑って?…そんなはずはもう、絶対に無いのだよ。
ボケた相手が、さあツッコめ…そう言われたなら勿論、なんでやねんっ!?…っと、喜んでそうするが?
さあ殺せ…って、目の前で言われたってさ、普通は嫌でしょ?嫌だよね?
冗談でもOK…なんて言えないよ?…そういうとこ、俺って、至って普通なんよ?ガチで小市民なの。
なんというかさ、良識があるってい…(※以下略)
…某パイセンとは?その辺りがちょっと、違うんですよ。知らんけど。
なによりもだ、今まさしく、俺の国づくりの…絶対的な労働力が足らんのよ。主に建築要員が。
なんなら?だったら、鬼の手だって借りたいよね?と…
そしたら、こっちが食事は用意してもだ、
そもそも?その体力には文句のつけようが無く…
寝床もほぼ葉っぱの屋根だけって…
ガイナ村の…使えそうなまとも…に近い建物は僅か四つ程だが?…葉っぱの屋根よりもまだマシって物件なら、
そこそこ残ってるんでね。当面はそちらでも…
地表側の整備と建築…なんなら防衛も、だな。
そこまで揃えば、実はかなりの、お買い得な取引だと、俺は思うのよね。
そうそう、実戦向きの連中は商会連合の、海軍に配属って事も可能だし、
女子供は…まあ、取り敢えず農業…或いは屋台のお手伝い…?
何かしら仕事は有ると思う。
当然だが…おこちゃまは勉強も有りだな。
そうそう、なんなら俺の野望の第一歩…異世界プロレスの設立も若干、視野に入れたいのだ。
頑強なマッチョ…これほどリングに映えるヤツら等…そうそう居ないだろう。まさに神が与えしギフトだと思う。
その神?…多分、ヨミの爺さんとか…らしいけどね?
まあすべては…あくまでも、本人らが承諾すれば…だがな。
いや…そもそもだが?
それは鬼さん達が、俺の提案をOKすればってお話であって…
まだ、その答えは聞いて無いのよね。
言うて?根っこは戦闘民族だからな…
全員でどっかに引っ越しますわって…
そう言われたなら、俺の野望もはい、そこまでね…っと。
受け入れ派の爺様と、血の気の多い大将のせめぎ合い?だろうか。
あのシト達ってさあ…本質的にはガチ脳筋だからね?
万が一…
最も最悪のパティーン?
全員で、俺に特攻…とかさ、
それが絶対に無いとは…言い切れないんだよな…
うーーーん、それは一番困るんだよ…
その場合?どうして良いのか、一切まるで判らんのよ…
まあ…俺が殺せない以上は、結局放置するしか無いんだけどね…?
たださ、それってただの、鬼さん達の命の危機の…ちょこっとだけの先延ばしだもんね。
でもさ…一旦ここで拒否られた日にゃ、
幾ら俺でも、そうそうしつこく干渉も出来んしね。
なので若干、答え合わせの…気が引けてるんだよね。
まあ…行くけどさ。
じゃあ、今日はミューと行こうかな。
最悪の場合…みんな固めて、サッサとトンズラできるように…さ。
うーーーん、取り敢えず…グシオン爺さんに期待だな。
まあ…当たって砕け散るんですけどね?
…
で…
やって来ましたよ、と。
ちょこっと離れたトコから、ゆっくりと歩いて近づいています。
急に?一斉に飛び掛かって来られたら嫌だし。距離は大事かなと。
一応?距離をとって…安全マージン?を確保しつつ…って、
なんなら?違う意味で、完全に俺の方がビビってるよね。
すぐに俺に気づいた数人が、鬼さんの大将を呼びに行くのが見えた。
今の所…特攻の気配は無いが、
最悪の想定をして、ミューも横に居てもらう。
しかし…ミューの存在は鬼族を…なぜか恐怖のどん底へと、一気に叩き落したらしい…
阿鼻叫喚…泣くは叫ぶは…
命乞いされるは…
え?ウソ…やった?俺…やっちまったか?
いや、ミューはなにも悪くない。妄想の特攻にビビった、俺の落ち度だとは思う。
だが…もう今更だなと。
向こうから、族長と、意外と理解の無かった、期待外れだったナンバーツー…そして、
一歩遅れて、あの爺様がやって来た。
その表情は険しい…
まだちょっと微妙だな。
前まで来たんで、結果、俺は見上げるよね。
改めて見ると、やっぱコイツらってデケえな。
アンドレ ザ ジャイアント…みたいだよな。見たこと無いけど…
三人はすぐに膝をついた。ちょっと意表を突かれた。
思ってたのとは違ったからだが、
ん?俺が案外、ビビり過ぎたのかな?
「…先日は…あの量の食糧を頂き…一族を代表し…心から感謝する…」族長がまず、口を開いた。
そして、期待外れなナンバーツーが続く…
「此度の騒動に於いて…貴方様を攻撃したのは、すべてこの長であるアザゼルと、このマステマの責任だ。
甘んじてこの命をもって…その償いとさせて貰いたい…」
あ?…やっぱ舐めてんな、テメエら?
ここにいる鬼族の…テメエら責任者だろうが?…あ?
なに勝手に死んで終わらそうとしてんだボケが?
ブチ切れた俺の反応に、族長とナンバーツーが酷く困惑していた。
自分らの命と引き換えに、一族を託そうと…
OK判った…とでも、俺が言うと思ってたらしい…アホか?
死んで詫びろなんて、俺は一切言ってねえよな?
死ぬほど足掻いて、足掻いて、身内の為に死ぬなって、寧ろ、死ぬ程頑張れよって…
…そう、言ったよな?
とにかくだ…そのフザケた考え方が気に入らんっ!
お前ら二人…罰だっ!
両足同時、超痛い痛いバージョンの刑だ!食らえっ!
ガチンッ…ガキッ
「ギャアアアアア…」
「いあああああああ…」
チッ…クソがっ!またつまらぬモノをシバいてしまった…
言っとくがな、簡単に死のうとするヤツはな、
俺はこの世で一番、大キライなんだよっ!!
ちょっとキレちゃった…で?
ふと目線を上げると、爺様がびっくりして固まっていた。
流石に?神に向かってツバを吐いた張本人達だ…この二人の命は諦めるしか…
爺様ですらも…どうもそう、思ってたらしい。
だって…あの?破壊神だもんね…そりゃそうか…そうなりますか?
まあ…俺もなんか、
向こうの意表を、
目一杯、突きまくったみたいだな…
呻きながら、辺りをゴロゴロと転がる、二人の鬼を観ながら…
俺はちょっぴり黄昏たった。




