鬼退治 5
大きな円陣が組まれた鬼さん達の会議の場で、
最終的にはなんと多数決でって?
そんな流れだった…良いのかそれで?
勿論、意見が割れたせいだろうが、そんなもん、親分の一声でどうとでもなりそうなもんだろうがね…
その当の親分が、どうにも考えきれない…決めきれない…その様ですねが?
おいおい、大丈夫かよ?仮にも族長だろ?
しかも鬼族らの大半は、俺と闘って死ぬぞ…って、
そんな馬鹿な考えが、多数っぽいのだわな…
うわうわ…最悪ですやん?
いや?…戦闘民族ならば、そもそもそうなるのかな?知らんけど。
まあ…この人数から?
一斉に?さあ、殺せっ…て、言われるさあ…
コッチの身にも?…俺の都合も聞いて欲しいよね?そんなん嫌でしょよ?
しかも?
服従したらしたで?
俺が服従した鬼さん達に、なんかひどい目を与えるとかさ…勝手にキメつけてやがるのですよ?
ヒドない?
完全に言いがかりやんか?
俺の事、なんにも知りもしないくせにさあ…こんなに優しい俺にむかっ…(※以下略)
ちょっと…いや相当にムカついたんで、
その円陣の、大将の正面に、突如ドカッと座ってやった。
途端にうわー、うわーって…
相変わらず?コイツらリアクションが大きいよな…ダチョウ倶楽部かよ?
まあ…ちょっと好きかも…
すぐ様、皆が剣やら槍やらを俺に向けてぶっ込んできますね…
まあ…残念ながら?
全部スルーからの、全部回収ですね。
ただ…あんま金になりそうな?良い感じの武器は無いね…みんなボロばっかだよ?
あ…ひょっとしてもう、いいやつはとっくに売っぱらったとか?
うーーーん、貧困と飢餓って…最悪ですやん?
アカンやつの、見事なダブルコンボですがな?
こんなん、もう詰みやで?終了のお知らせやん?
これは全部、リーダーはん…アンタの責任とちゃいまっか?…っと、
その上に、ここの連中に無駄死にを選択させるなんざよお、
テメエ、一体なにを考えとんじゃ?
そんなヤツ…大将失格じゃろがいっ!!
俺は大将の胸ぐらを掴んで、首がガックンガックンなるくらい前後に揺すって…
そう強く言ってやった。
境界線の壁を纏っているので、最早大将側から絶対に押し返すなど不可能…
ただ、黙ってガックンガックン…魘れてるだけの大将…
その周りの連中…
周りのヤツがまだ、なんとか俺を殺そうと頑張ってるが…
ぶっちゃけウザい。
もういい加減、正直うっとおしいよな…
一旦、大将を掴んでいた手を離し、ゆっくりと振り返って…
とびきり元気そうな、ヒャッハーなその連中…ざっと十数人いたが…
ソイツらには、黒い炎を纏ったパンチを、手前から順に、
片っ端からぶち込んでって…
強制的に黙らせたった。
その光景を見て…流石に?ようやく?
周りのヤツらも理解出来たようで…
ああ、こりゃ無理だなと。
そこでようやく周りの連中も静かになったね。
首を左右に振って…さっきの、中々話しが通じそうな、素敵なナンバーツーさんを探したが?
ん?…あれ、何処にも居ないな…?
…あ!?ウソ?
まさか、さっきぶっ飛ばしたヤツらの中に、
しっかりと紛れてて…ちょっとビビった…
お前もそこにおるんかいっ!?…
強めのツッコミと共に。
まあ…気を取り直して、もう一回、大将をとっ捕まえて言う。
この大将…強いのは強い、相当に強いのですが…
が…?
見たまんまの脳筋で、喧嘩っぱやく、結果割と失敗の多いタイプ(※当社調べ)の、そんな若造?…らしく、
こんなダメな俺のせいで、この部族が死滅するのだと…そんなプレッシャーと自己嫌悪に、
急に押しつぶされそうになっているらしく?
一切俺に抵抗もしないし…なんなら最初に殺されようとしているのが、もう見え見えだった。
顔の怖さとは反比例する、メンタル弱男だったのだが?
だが…ムカつくんですよね…その態度がさあ…
その姿と態度で俺は、かなりイラッとした。
例え俺が、こんな場面に陥ってもな、
アマジャさんやちびっ子らを簡単には殺させやしないぞ?…
最後の最後の最後まで、とにかく足掻くだろ?代表者なら代表者の意地ってあんだろ?
なにをサッサと諦めとんじゃボケがっ!?
テメエにゃ、全員の命の…その責任が有るだろうが?
その大将の、どっか無責任なその態度で?
なんかちょっと…キレちゃったの、俺…テヘヘいっけね。
このボケエエエ…っと、
思いっきり…ぶっ飛ばしちゃったよ。
あ?つい…カッとなって…
あちゃー、
これじゃ、鬼の大将の思う壺やないかいっ…?
うーーーん、あくまでも話し合いのつもりだったんだけどな。あーあ、やっちまったな。
相当遠くまで飛んでいった大将を、飛んで迎えに行ってから、こっちまで引きずって…円陣のとこまで戻った。
一応…息はしてるから死んでは無いけども、
軽い瀕死?
まあ…ギリ、ギリセーフだったね。
特に、それを見て泣き叫ぶ女子供の視線が、まあ痛いですわ…痛すぎちゃんですけど?
もう完全に、ほんもんの悪党ですやんか、俺が?
結果?
これって話し合いどころか、片っ端から暴力…ですやんね…?
邪悪も邪悪、邪悪極まりないヤツ…ですやんね?
うーーーん、違うのよ、全然違う。これは全くの予定外です。
まあ…でもやっちゃったものは仕方が無い…
一応だが…アレ以降は攻撃は無い…すっかり止んだな。
つまりもう降参だと…降伏したんだよねっと?
外野に問いかけたところ…
一人の老人が、ゆっくりと出て来た。
ん?…アンタは?
「私は…前の族長の補佐をしておったモノで…今はただの、部族のお荷物で御座います…」
そう言って老人が膝をつき、俺に対し最敬礼の姿勢となった。
へ?
そこに居た鬼族全員は勿論だが…
俺もその意表をついた攻撃?で、ポカーンってなった…
「不敬を承知で…率直に申し上げます…貴方様は、軍神様だと…お見受け致しました…」
聞けば、かつて大きな戦を幾度と無く繰り返し、
当時の破壊神パイセンの手によって、一族の大半は壊滅的な被害を受けたのだそうで…
一部を除き、ほぼ皆殺し…
そのわずかな一族の生き残りの?
直系の子孫にあたる…そんな爺様だそうです。
ちな?当時の戦争のお相手は、なんとズク族だったそうです!
いやあ、世間って狭いですね…?へえ〜あのズク族ですか?知ってますよ。
アイツらねえ、妙に薄味派なんですよね~。知らんけど。
その時、鬼族は争いを選び、
結果パイセンにほぼ、滅ぼされたのだが…それは自業自得…
此度は、そうじゃ無く、今は争いもしていないし、
細々と食いつなぎ、ようやくここまで増えた一族が…
わざわざ自ら…俺に?
自ら軍神に殺されようとしているのが、それを族長が、よしとするのが全く持って許せないと…
だが…既に自分は年老いた、ここではただのお荷物である。
故に、昨日までは押し黙っていたが…
流石にこの、親分の態度は無いと…
それが一族を率いる者の態度では無いぞと…
とうとうこの爺さんの、その怒りに触れたのだそうだ。
そして、それは全く持って俺もアンタと同意見だよ。流石にこれはダメだと思うわ。
だが…どうやら話の判るヤツは…
ここに居たらしいな。ありがたい。
爺様の名はグシオン…さん?だそうで、
今じゃすっかりご隠居様だそうだが…
イヤイヤ、鋭い眼光と言い、立派なガタイといい、
きっと昔は随分と、ブイブイとイワしとったんでしょうね?
…そんな感じの爺様だった。
じゃあ、グシオンさんよ、今からはアンタをここの代表者として、俺はアンタと話そう。
大将…絶賛瀕死中…だしね。
だが…あの大将は失格だぞ?
あいつは命の重さを、まるで判っちゃいねえ…
アンタならば、その点は信用出来そうだ。
早速だが…まずは俺の話を聞いて欲しい。




