冬の終わりに 2
割と定期的に、ミューの電撃による漁業…魚の収集を行っているせいで、
【深淵】には大きめの漁船くらい?には、魚のストックが有る。
当然測れる訳は無いんですが、
恐らく単位は、トン だと思う。
しかし電撃である為、魚種は様々である。
イワシの様な、大きな群れだと当然、漁獲量は凄まじく、
うちの食卓だけでは、もはや消費し切れないのだが、
そこは持ってって良かったシャダ商会…である。
その魚も、かつては首を掻っ捌いて、あくまでも食料ですって事で【深淵】に収納していたが、
事前にキチンと血抜きを行っていれば、【深淵】に入れても消えないことが判って以降、
出来るだけきれいな形のまま、保存できている。これは大発見だった。
当然?寄生虫の類も、全て処理出来てしまうので、うちの商品は安心安全ってのも、売りの一つだったりする。
しかも…だ。
わざわざデモンストレーション称して、皆の前で猛毒の魚を焼いて食う…みたいなパフォーマンス付きの実演販売なんかも、ついやっちゃったんもんで…
まあ…興味本位で猛毒の魚ってのも?…
怖いもの見たさ?
食えるってんなら、一度は食ってみたいよなって、誰もが思うのもまあ…判るんだよな。
ただ、かなり危険なのは間違い無いからな、ちびっ子達が真似なんかしたら目も当てられん。
やはり時々で、かつ慎重に行なってはいる。まあ…ある種のイベント?
商会の名物行事?的に。
その商会を支える裏側で…
大層の魚に向けて複数の糸を飛ばし、
同時に大量の血抜きをする技術を、何故かミューは獲得していた。
神獣が進化したのだ。
それは中々、いや、相当に珍しいことらしい…ヨミがかなりビビっていた。
「これを相対する軍隊に行えば…ミューは無限に大型魔法を連発出来てしまうんだが?…」っと。へえ〜そりゃすごいな、知らんけど…
勿論、フグのような毒を持つ魚でさえ、毒抜きや、それの無効化まで行なってくれる。
ちな…ミューはその毒を体内にストックし、更に分析や調合まで行なっているそうです…
相当にヤバい毒は勿論、なんなら逆に?
ワクチン的なもんも作れる様になったらしい。
ここまで来ると、ヨミもただただ、苦笑いしているだけの様だったが…
つまり?
うちの商品なら、まさか猛毒のフグでさえ、そのまま焼いて、
頭からバリバリと齧る事も可能なのだよ?すごくね?
丸ごとの方が、やはりシャダ商会でも重宝される。尾頭付きの方が客受けも良く、高値で売れるんだと。
で…
お願い事を押し付ける以上、さすがに手ぶらも…なので、
赴く前に一旦、魚と大型のイカやタコ…
序に、デッカいめのイノシシなんかも用意しといた。俺は中々、気を使える…(※以下略)
以前と比べ、今では獲物の居る場所も境界線の壁をセンサー代わりに出来て、俺はほぼ秒で、その居場所検索が可能で、
見つけりゃそこに飛んでって、【深淵】ツッコミ…からの、即血抜き、
せいぜい数分も有れば、どんな獲物も狩りは終わっている。
文字通り、朝飯前に全て追われせる事も、余裕で出来るのだ。もう慣れたよなと。
以前までなら、週に一回程度、商会へ食材をおろしていたが、
当然、これからは子供達の分も増やさないとな…って事で、
今回、ちょっと多めにイッといた。
勿論、商会が囲った漁師も漁は行っている。
これらは主に、地元に向けて販売する事が基本である。
実際に漁をする以上、かなり天候にも左右される。
俺だって色々と立て込む事も…なんなら、不意に死ぬ事も有るわけですわ…
安定供給の観点からも、俺と漁師の両方有った方が、商会も安心なのだ。
ただ、お陰さんで…最近は在庫は有ったら有っただけ、
あっというまに売れてしまうらしく、
現状、多い分には幾ら有っても良いらしい。ありがたいコッチャね。
特に、近ごろは塩漬けで魚を運び、他国にも販売できているのが大きいそうだ。
俺が思いつきで始めた、海水からの塩づくりだったが、ここにも用途を見いだせたのは良かった。
特に?ニシンやイワシの塩漬けが獣人達には大好評らしい…特に、臭いやつが…売れまくりなんだと。
そういや、うちの犬や猫って、人のケツや足の裏の匂い…そんなトコばっか、よく嗅いでた気がするな…知らんけど…
頼まれれば、俺が捕れたてピチピチを運ぶ事も有るが、俺の輸送料は高めに設定しているんで、
現状、それほど多くの出番は無い…
確かまだ、二回だけだよな。
ただ、トニーの地元商区では、シャダ商会の近くの、ここらの近海で捕れる魚はかなり珍しいらしく、
また、俺が天気の良い、どこかも知らない遥か未知の領域で獲ってくる、かなり珍しい獲物と、
更に今、イカ焼きと魚醤、そしてシャダ商会の下ろす魚料理が、まとめて一大ブーム、大バズリ中らしく、
バカみたいに売れて売れて、どうにも困ってますよって、本人から何度か聞いたな。
連合の長のマイダスのオッサン、
トニーの父親が、俺がこっちで連合の事務所を開いたせいで、常にそこにいて、
そのせいで息子のトニーも、割としょっちゅうここシャダ商会にも顔を出してる。
この親子…合うたびに妙〜に、目がギラギラしていくのだが…大丈夫なのでしょうか?特にトニーが怖いのだが?
さて、シャダに相談の時間だ。
サッと…突然現れ、そしていきなり告げる。まあ通常運転だが…
さて、シャダ君、お願いが有るのだよ。…っと。
「ああ、会長、どうしました?」
まあ…特に驚きもせず、こっちも割と普通…通常運転だったね…うん。
そう、カクカクシカジカ…でね?
子供達をほんの三十人ほど、しばらく預かってくれ…下さい。
あ、そうそう、これお土産の大イノシシと巨大ヘビ、そして魚…いつもより余計に…卑怯なタイミングで出したった…
まあ…突然の難題に、当然、頭を抱えるシャダだったが…
それでもなんとかしますと、言ってるくれるんだな。
さっすが、頼りになるね。チューしたろかな?ウソやけど…
本当に、いざって時にはマジで頼りになる男だと…
偶然、商会に来ていたトニーが、俺の持ち込んだ巨大ヘビに、随分とご執心だった。
こっちでヘビの唐揚げをいたく気に入ったらしく、
こっちに来れば夕方になると、親子でシャダの店でイカとヘビで呑んだくれて居るそうで…
まあ…そういうことなら、ヘビの半分はトニーに、っと、譲ることになった。
とにかく、連合の動きが全て良い方に動いているらしく、
特にトニーの店の売上が飛躍的に上がってるそうで、相当に上機嫌である。
ずっと俺に礼を言ってくる…まるで神でも見るようなその目が、割と怖いのだが…?
その恐怖…いや、礼に対する礼が、ヘビだった訳だ…
そしてトニー曰く、
海賊船の改修も終えて既に数回、試験航海も行っており、
護衛の武装船とのコンビネーションもいろいろと検討、演習が行われていると。
そして、既に小規模の海賊は見事に蹴散らしてるそうだ。
特に、傭兵団を複数囲ったのもかなり効いているようで、
うちの連合の旗を見れば、海賊の類は今でももう、結構ビビり散らかしてるらしい。
しかも先手必勝、うちは問答無用に先制攻撃が基本だからな。そこは俺が徹底させた。
自衛隊の様に、待っていてはダメだ。こっちの進路に入った段階で敵認定なのだ。
だから海賊よ、こっちの視界に入ったら悪いがもう、さようならの準備をして欲しい…
この世とのな…
知らんけど…
まあ…色々聞いてる限り、特に何も問題なさげだな…トニーが饒舌だ…
アーマ壊滅も、連合結成も…
案外、俺が思ってるよりも、
実は大したこと無いのかな?
まあ…知らんけど…




