将来的な話 1
まだまだ寒いし、吐く息も白い。雪もまだまだ残ってる。
だが…日中は随分と寒さも緩くなった。
ゆっくりとだが、季節が変わっていこうとしているのを、体感で感じている。
春の気配ってやつだな。
まあ唯一?
ラージヒルについては、かなりの力で圧縮したせいか、ほぼ、ガッチガチの氷山の様な状態で、
気温も日に日に上がっては来ているとはいえ、きっと結構、最後まで残る様な気がするな。
そして、春が来ると…だ。
いよいよ、アマジャさんらの本拠地、カーナンへと向かい、本格的に移動を再開すると、
本来ならその予定であったのだが…ここで幾つかの問題?っていうか、
そもそも、俺達は子連れで有ったので、危険なアーマの戦闘地域を避けて、まだ多少安全な海路に逃げたものの…
そのアーマ、 終了のお知らせ …となった訳だな。
勿論、今もアチコチには、アーマの残党は多数存在しているし、
世界征服…とまではいかずとも、地域の支配を目論む、野望に溢れる輩が、すげえ多数、絶賛存在している。
まあ…戦国時代ってやつだな。知らんけど…
そこに、食い扶持を探す傭兵やら、行き場の無くなった、戦争以外の生きる手段を持ってない、残念な連中が、これまたうようよいる訳だが…
そこに盗賊団に海賊、山賊だってまあまあ居るんだよな。
正直、いちいち相手にできないくらいの数は居るのだろう。
で、まず…
今後の進路をどうするのか、
このまま大回りで海路を行くか、或いは、さっさと陸路に戻って、最短距離でカーナンに向かうのか?
…的な話をしようかって、まさにそんなタイミングだった。
そこに、マジメな顔のおっきい組さんらが、神妙な顔つきでやって来た。
ん?…どうした、どうした?
そうか、と。
俺はこのままみんなで移動するのが当たり前だと…
まあ勝手にそう、思っていたんだが…
ここの子供達は、ちょっと違っていたのだ。
まずは大前提で、ここでこのままみんなで…それが一番の希望で有ると。
当然だが、小さい子らもそこは同意見だ。
だがしかし…それだと完全に、俺におんぶに抱っこ…だと、
いつかは自分らも大人になるが、
このままではきっと、良くない気がするの…っと、サラちゃんらは言った。
そしてだ。
ここへ来てから、まずは料理を知った。
エッタさんからは、計算や文字の読み書き、薬草学…
イサクからは鍛冶や物作りを、
アーデやシレンさんからは戦闘術や剣術…
他にも色々と…
特に俺から強く、大きく、影響を受けたんだと…俺の様に強く、いつかは自分の力を試してみたい…っと
俺はそんなご大層なもんじゃ無いんだが…この子らの話の腰を折るなんて無粋な真似など出来やしない。
つまりだ。
この子達にぼんやりとだが、それぞれの、将来の夢が出来たって事だったのだ。
そもそも…海賊らから救出されたものの、何も持たない幼い自分達には、そこになんの選択肢も無かったんだと。
うん、その気持ちは判かる。そうだよな…
勿論、俺達と行くことについては、何か不満が有るわけでは無いのだが…
ここにもう、地上の楽園が有るのに?わざわざ離れた場所に行くのはどうなんだ?…と。
そして、そこに行ってその後、僕たち私達はどうなるの?…って、
大きな疑問と葛藤に、ドーーーンっとブチ当たっていると…
そうか…うーーーん、こりゃ参ったね。この子達はもう、自分の将来について、自分で深く、考えて居たんだな…
ただのちびっ子達…では無く、もう立派な一人の人間としてだ。
そして…それを強烈に後押ししたのが、実は商会をその目で見た、ミーシャちゃんとマーオちゃんの、旅のみやげ話だった様だった。
シャダ商会じゃ確かに、同じくらいの子供達が、色々な勉強と同時に、商会の仕事もしている。
俺を基準にすりゃあ、この子達の年頃…
そう、サラちゃんで小六から中一…辺りかな?
俺のその頃ってさあ、将来?そりゃ、プロ野球選手だべ?…みたいな?
それは…夢っていうか、完全に妄想か妄言?
…もしくは、相当な、ただの勘違い、だったよね…
そこにたどり着く為のプロセスなんてさ、大谷選手じゃ無いし…ただの鼻垂れだった俺は…
ほんの一ミリも、そんなの考えて無かったし、
そもそも実際の目標って話でも無く、認識でも無く、
聞かれたんで、取り敢えず言ってみましたって…そんな感じだったな。
ああ、そうだよな…この世界は俺の育った環境とは、随分と違うんだ…ここって結構、残酷で、かつ過酷なんだよな…
俺は勿論だが…
きっとお爺やんもアマジャさんも、そこまでは考えていないだろうな。取り敢えずは、まずはカーナンに無事着いてからって、そんなとこだと思う。
うーん、これはちょっと、俺だけでは抱えきれない。なので…
はーーい、大人チーム集合っ!!
急遽、大人チームも交え、この島の住人全員による、全体会議を提案した。
きっとアマジャさんらは本来の使命に加え、子供達の安全や生活環境など、
この世界の大人の常識や感覚で、
別行動など、きっと反対するだろうと、まあ勝手にそう思っていたんだが…
ちょくちょく居ない俺と違い、ずっと子供達と一緒に居たせいか、
大人チームは皆、子供達の気持ちの変化を既に、ある程度は感じ取っては居たようだった。
そう、大人チームも、神妙な顔だった…
ちな…実はお爺やんをはじめ、アマジャさんらでさえも、
ぶっちゃけもう、ここで良いのでは無いか?っと、ぼんやりと考えていた様で…
更に?このあと実は、ヨミもここを離れるんだって事も、
結構、ついでにはなってしまったが、その件もこの場で追加発表した、俺が。
本人は呑気にカレー次第、だしな…
だがまあ…その後はもう、混迷の一斗だったよね…
春はお別れの季節でっす♪
…なーんて歌も、有ったけど、じゃ、俺達はどうなんだ?
俺に関してはだ、
当然、特に目標もあても無い。
…いや、ヒルメの討伐が唯一の、ここでの最大で究極の目標では有ったが…
それもあっさり完了した。
ちびっ子達を最後まで見守りたいと…
少なくとも、どっかに落ち着いてある程度、小さい組さんらも、ちゃんと自活出来る様になるまでは、
全て、俺の責任の範疇だと思ってる。
当然、途中で放り出したりなんか絶対にしない。
アマジャさんらは、そもそも別の組織の、アザエルの人間だ。
本拠地のカーナンに、俺を連れ帰るために、数百だか数千年だか、探し回っていた訳で…
いや…そもそも帰還することが第一、では有るのだと…
まあ俺は…カーナンには一回行けば、後はいつでも、何度でも、
好きな時にイケるからな…
皆には、特にアマジャさんと親戚さん、勿論ミゲヤさんには世話になったし、
その義理と破壊神代理の責任で?
一回は行っておくべきだよな…とも思ってる。
エッタさんは、お爺やんらと…勿論、俺とマーオちゃんも込みで、カーナンに行くって、そう考えては居たけども、っと。
そもそもエッタさんも、この世界では完全に弱者だ…選択肢も、ちびっ子達と殆ど変わらんのよね…
ヨミも当然、本来の使命に戻る。ましてや、こいつにはきっちりと神族の管理をお願いしたいしな、と。
アーデとイサク、こいつらは俺と行くと。
そこが例え地獄であっても、別段あても無いし、最後まで付き合うつもりだと…
いや…最後までってなんだよ?
最後って…ちょっと重いんだが、
特にアーデは絶対についてくるだろうな。
なんせ義理堅いわ、頭も固いわ…だし。
一切纏まらないな…
うまい着地点が見えない…
そうなるとだ…
皆はただ、俺を凝視して来るよね…?
なんかこの感じ…
ちょっと…懐かしさもあるよな…この感じは…
そういや昔は、割としょっちゅう、こんな感じだったよな…うーーーん…さて、
困った、困った…こまど…いや、ミーシャちゃん姉妹…?
なんじゃそれ?
あ?…
いやバカ兄弟…白は兎も角、
おめえらは完全にアウトオブ眼中だ、そもそも圏外なんだよっ!
だからこっち見るな!
…ってか、もう帰れよ?帰って?




