夢現 2
クッ…何度も何度も邪魔が入ってしまったが、ようやく食えた。
くうう…美味い…染みるぜ?
遂にこっちの世界で、
そしてこの、マーオちゃんのめでたき日に相応しい偉業を成し遂げた…
史上初の快挙…異世界カレーが遂に、ここに爆誕、完成したのだ。
マッサマンカレーに対抗し、マーオちゃんカレーと名付けたい…
いや…もう、そう決めた。今決めたった。
異論など断じて認めんぞ?
そんなもんはなあ、全てまとめて、この俺が力でねじ伏せてやるわ、ボケがっ…って、知らんけど…
そして肝心のその味だが…
俺の知るカレーとは、若干…誤差は有る…
奥行きやパンチが、正直足りてないな…とは、思う…
思ったが…だが、充分だ。全然美味いと思う。
あきらかに足りないのは辛味成分なのだが、これはちびっ子達基準である以上、流石に仕方が無いのだ。
大人は胡椒と唐辛子を、各自で別途、好きなだけ追加して貰う。
シャダ商会用の鍋は、なんなら辛くしても良かったのだが、
一旦、そこまで辛く無いバージョンで用意した。後で追加できたほうが見本としては良い…そう判断して。
そしてシャダ商会のバージョンでは、イカやタコ、魚や貝…つまりシーフード系の味を計画している。その為に、職に溢れた漁師も既に囲ったのだからな。そこはたっぷりと働いて頂こう。
皆からは当然、絶賛の嵐だったな。
まさに老若男女、皆満足顔って事だった訳だが…
まさかアズラは兎も角、馬鹿な兄弟までが猛烈に感動しているのは、ちょっと…いや、かなり驚きだった…
一切、生肉感は無いはずなのだが…そうなると逆に?…っと、俺を心配にさせるとは、全く恐ろしいヤツらである…
で…
親戚さんだが…完全に壊れた様だ…目がキマってる…ちょっと怖いんだが?テンションもおかしい…
何度も俺を見ては、その都度頷いていたが…怖いんだが?
まあ…うちで一番の、カレーパウダー教の信者だしな。多少は目を瞑ろう。
そして今回造った寸胴だが…全員がおかわりしても、まだまだ余裕、そこそこ残ってるのは良いな。
商会にはこれと同じ寸胴を、あと数本は用意しておこう。
そしてだ。
カレーが真の力を発揮するは、まさに二日目なのだよ?なんなら明日が待ち切れない俺が居る…
ただ、こっちのジャガイモ…的な芋だが…
粒がかなり小振りなのだ…
例えばデンプンの量とか、元の世界と比べ、どうなんだろうか?二日目のポテンシャルを見せてくれるだろうか?
一応…子供達様に、味をマイルドにすべく、牛乳も用意していたが、
このレベルなら、全然大丈夫そうだったな。
なによりマーオちゃんが大喜びだったので、そこがもう、最大かつ一番の成功である。
確かな手応えを感じた。これはイケる…系列でそれぞれ味を変えたり具を変えたり…
フッフッフ…なんだかもう、楽しくなって来やがったぜ?
で…ヨミだ。
このお食事会の後で、お別れの挨拶って流れになってはいたが…
こいつ、カレーに目が眩んでいます…
もう暫く…カレーが尽きるまでは滞在するそうだ…
まあ…ええっちゃええねんけど…偉い神様のクセにさあ、
たかが食い物に、まんまと釣られるとかさあ、どうなんよ?
神様ってなに?
しかも、明日はイカを入れろとかさ、謎にリクエスト入れやがったし…
そんでもう、お爺やんと将棋打ってやがる…やれやれだぜ?
まあ…ええねんけど…
で…皆に混じってマーオちゃんの声が聞こえて来るのが、マジで滅茶苦茶嬉しいよな。
ホントの保護者のエッタさんからも、泣きながらいっぱい礼を言われたしな。
ホントに今日は記念日に制定しようと思う。
勿論、マーオちゃん記念日だぜ。
は?…異論だと?テメぶち殺すぞ?
おっと、つい興奮してしまって、こりゃ申し訳御座いませんね…
でだ。
お前ら兄弟、食って寝る前にもう帰れよ?
そして全て忘れろ。
俺は何処にも居なかった、あれはきっと幻なんだ…そう、バカ王には伝えてくれや…
「いえ、どうか我等の忠誠をお受け取り下さい…」
「一生、ついて行きます…」
…?
は?
…
えーーーっと?
…いやいやいやいや…無理。全然無理。
大丈夫だから、そういうの、もう、全然間に合ってるから…
帰って?
クッ…マジかよ?
こいつら、ちびっ子達を盾にしやがった…
なんて卑怯な真似をしやがるのか?
グヌヌヌヌヌ…
ふー、ふー、
まあ…ええ、今日はめでたい記念日だ。数日の滞在は許可してやっから、
そしたら帰れよ?




