帰路 3
そんな訳で?…二回の休憩を挟み、ようやく神様島へと到着した。
その直前に、実はヨミと相談?打ち合わせを行った。
随分と話す感覚を取り戻しつつは有るものの…
やはり他のちびっ子達と比べるのはまだちょっと辛いのだ…
そこをイジったり、上げ足取るって事を、悪意もなく、子供ってやりがちだからな…
それでマーオちゃんが傷付くのは、本人は勿論だが寧ろ…
絶対に俺が耐えられそうにない。無理なのだ。
「そうだねぇ…じゃあ…主が一足先に帰ってさ、事前に子供達と話せば良いんじゃない?」
おお!なる程。確かに、先にみんなにお願いしとく方が良いよな?じゃあ…
で…
俺だけ速攻で、島に戻った。
そして、直ぐに俺の気配を察知するであろうジョンに向け、
よしっ、って言うまでは決して動くなよと、
遠くから小声で指示を出す…
ジョンは聴覚が異様に鋭いので、相当離れていても、こんな小声でも、
ちゃ〜んと聞こえているのだ。
まずは地面ごとごっそりとくり抜いたブランコを元に戻す。
お片付けは基本中の基本だからな。
まるでおもちゃのブロックの様に、バチッとハマる…
ちょっと気持ちいいな。
で、ジョンに向かって叫ぶ…よしっ!
子供達に囲まれていたジョンが、急にスッと立ち上げる。
直ぐに子供達も理解する…それが何故だか、知っているからだ。
ジョンを先頭に、勢い良く飛び出して来る子供達、
両手を広げて、俺に向かって跳んでくる子供達を受け止めるのも、もはや恒例行事だな…
で…地面にぶっ倒れて、そのうえで子供達にもみくちゃにされるとこまでが、
まあ、デフォだな…
俺は雪まみれのまま、遅れて出て来たアマジャさんらにも囲まれる。
で、まずはマーオちゃんが無事に声を取り戻せた事を報告した。
皆も自分のことの様に喜んでくれた。
で、改めてそこで、みんなにお願いしとく。
ずっと喋れなかったせいで、マーオちゃんはちょっと、声を出す事に苦労しているから、どうか優しく見守って欲しいと…
決してそれを、強くイジったりしないでねっ、と。
やはりここのちびっ子達って、サラちゃんを筆頭に割と大人びてるって感じで、
イジられて嫌になって、だんだん喋れなくなるみたいな?それはなんとか阻止したい…
そんな俺の意図も、みんなとっくに理解してくれている様だった。ありがたいね。
ついうっかり…みたいな事故は、そりゃ有るかもだが…この子達なら多分大丈夫そうだなと。
先触れを完了し、俺は再び九郎の背に戻る。
「どうだった?」ヨミが聞いて来た。
俺はニヤリと笑い、サムズアップをして答えた。
「まあ…あそこの童は皆、賢しいからね…」ヨミも笑った。
…
島が見えて来た。
広場の真ん中に、子達達が手を繋いで、大きな円を描いているな…
ここに降りろって、そんな感じだろな。了解だ。九郎頼むぜ?
ゆっくりと、大きな風を起こさないように、九郎がかなり気を使って着陸してくれた。
本気の着陸なら、きっとちびっ子達は大きく吹き飛んで行くだろうからな…
無事着陸した。
大歓声と拍手が巻き起こった…
きっとこの子達の、熱烈歓迎の気持ちなんだろうな。まるで映画トップガンの、あのラストシーンの様だ…
マーオちゃんとミーシャちゃんを、すかさず専用サドルから解放する。すると…
「みんなあ、しずかにいいっ…」ミーシャちゃんが叫んだ。
一瞬で静まりかえる子供達…そんな中に小さく聞こえるマーオちゃんの声…
「ただいま…」
うおおおおおおおおおーーーー!?
全米?バカ言うな、もう全世界が泣いたぞ?
お爺やんは既に号泣していた。
それとほぼ同時に俺が…僅差でイサクが、そしてエッタさんが泣いていた。
何故か白も泣いていたが…まあ…そこは一旦…
でも、まあ泣くよな?普通こんなモン見たらさ…
そしてマーオちゃんは、テテテテ…っとエッタさんに駆け寄った。
ずっと言いたくても言えなかった、ありがとう…
その一言を言うために…
そのピュアで美しい姿にやられた…
俺の心を、まるで対戦車ライフルとか…50口径の弾丸がぶち抜いた様だった…
ぐうおおおおおおおおお…
俺とお爺やんは、その場で膝から崩れ落ち、そして号泣した…
生きてきて、ここまで感動した事など、有っただろうか?
…否っ!!
無様な姿だよな?
ああ、分かっている…
だが…ここで泣けない奴なんざ…人間じゃあねえよ…そう思うね。
あのアマジャさんでさえ?…軽く涙ぐんでるんだぜ?
ふー、ふー、落ち着け俺の心…
男はそうそう、いつまでも泣いてられんのだよ…知らんけど…
さて、立ち話もなんだし、寒いし、おうちに入ろうか。
必死で嗚咽を堪えつつ、俺は皆を促してうちへと向かう…
へ?…おかしいな…?
その俺の視界の端っこに…
決して見えてはイケナイものが見えた…気がする…
アレ?…おかしいな、俺って、意外と疲れてんのかな?
目をこすった…何度も激しく、目をこすっってみた…
ん?…おかしい、消えねえな…ヤバい薬もやってねえんだが?
だが…どうやら夢でも幻でも無かった様だ…
何故だ?
こりゃ一体、なんの冗談だよ?




