マーオちゃんの旅 4
案内された部屋は、それ程広くは無かったが、まあ…割と小綺麗な感じだった。
二人は既にネムネム状態だったので、さっさとベッドに寝かしつけた。
結構な移動距離だったし、はしゃいでもいたからな…相当にお疲れだろうな…
まあ…ゆっくり寝ると良いよ、
朝が来れば、ようやく声を取り戻せるって事だからな…いい夢も見て欲しいよな…
ちな、取り敢えず…今のところ、ヨミ側には特に、怪しい動きは無い…
まあ…一部のヨミのファンクラブのヤツらが、ちょっと怒っているようだが…そこは気にしない。今更だしな。
ベッドの脇にはミューに居てもらう。
物理攻撃よりも、魔法や【呪】、何より毒が怖いからな。
ミューならほぼ、なんとか出来るそうだって聞いた…ありがたいぜ、マジすげえよな。
更に、ヨミの周囲には、ミューの分体が複数展開している。情報収集だ。
九郎も、常にヨミの同行を、そしてズク族らの行動も、リアルタイムで観察中だ。
最後まで気を抜かず、マーオちゃんの声が戻る瞬間まで、締まっていこうぜ!!
部屋の内側には、岩盤をくり抜いて造った囲いを入れておく。
これでもう、窓からの狙撃も防ぐぜ?
更にこの入口ドアには、開くと鍵の束が落下するトラップも設置済みだ。
気休め?まあ…そうだな。
そして、俺も常に周囲を警戒しつつ、ヨミの様子も直接伺っておくぜ?勿論【深淵】からな…
九郎とミューにも、定期的に接触して、情報交換している。
まあ…これが取越苦労なら、それで良い…寧ろそれがいいのだけどさ。
何故こうも、俺が慎重なのかって云うと…
そもそも理由はよく分からんのだが…
どうにも嫌な予感…感覚がずっとしているのだよ…
気の所為なら寧ろ、そのほうが良いんだが、
この感覚?…上手くは言えんのだが、妙にこっち見られているような?
周りでコソコソされているような?
境界線経由で、そんな感覚が伝わって来るんだよな…
悪意?が、一番近いのかもしれん。
胸騒ぎって多分さ、根拠の薄い…いわゆる、感?のようなものだと思うんだが、
今回ずっと俺が感じているこの感触?…
これはそういうのとは違って…虫の知らせともあきらか違うんだが…
何というのか…それが何かも判らないんだけど、確実に存在してるはずの…何か?なんだよ。有るんだよ…確実に。
でだ。
その感触の主?元?なんだが、
もう間違い無く、気配が神族っぽくってさ…
しかも、かなり強いヤツ?力の有るヤツの気配というか…?
ただ、そうなるとだよ…?
ヒルメは今…絶賛仮死状態で、脳筋弟くんは【煉獄】に監禁中…
そうなんだよ…そうなるとさ、消去法で、残りが一択になるのよね…
そりゃ、疑心暗鬼にもなるでしょ?
たださ…他にも神族が居るとか?
最悪はヒルメもまだ若干、疑ってるのよね…
だってさ、あのヒルメだぜ?
俺と接敵してから五分も経たず、結果ここまで拐って来たわけでさ…
城の奥で動かなかった方が、実際にヒルメの分体、予備だったのかも、
実は今思うとさ、イマイチ納得行かない部分も有るんだよな…
だって本体が弱すぎる?ってか、一切の抵抗さえ、されなかったからな?
…ラスボスだぜ?
そんなのって、あり得るか?
これがフロムの死にゲーだったらさ、完全にあり得ないんだよ、絶対にあり得ないんだよ。
必死こいて倒しても倒してもさ、
二段階目?三段階目の変化で更に強くなって、復活しやがるのが、悪質なラスボスでしょ?
こっちは回復もなんもかんも、完全にすっからかんなのに…
倒した…そう思ってた達成感からの、
あの、途轍もない絶望感…
え?そりゃまあ…確かにゲームの中の話しだけどさあ…
うーーーーん、どうもスッキリせんのよ?
え?…別に、マゾじゃあ無いんだけどね?
まあ…向こうは油断もしてただろうしさ、相当な不意打ちだったのは、間違い無いんだけどさあ?
とにかく、こっちのアキレス腱…最悪は、ちびっ子らを人質にされる事だが…
そうなると、流石にこっちは手も足も出ない…
なので、そこを重点的に警戒しつつ…
最悪の最悪は、悪いがヨミとはここで完全に終わりだ。
悪いが言い訳など、一切聞く気も無いし、躊躇う理由も最早無い…
仮にちびっ子らを人質に取った段階で、ここの全員は問答無用で、俺がこの手で殲滅する。
なんか相当にモヤモヤはするが、
これは…これだけは既に決定事項なのだ。
結局、夜が明けるまで、俺は眠りには付けなかった。
何も無かった…
だが、まだ終わってはいない。寧ろ、ここからって気がする…
それはただの取越苦労だったのか…
或いは、これから起こる、嵐の前の静けさだったのか…
正直、嫌では有る…だがヨミを倒す覚悟も出来た。
まあ…こんな時になんだが、急にコーヒーが飲みたくなった…
仕事カバンからバーナーを取り出し、1杯分だけの湯を沸かす。
コーヒーの香りで、俺のスイッチが完全入った。
ふーーーー、
これですっかり落ち着いた。
じゃあ、いよいよ最終回のマウンドに向かおうか。
締まっていこうぜ?




