マーオちゃんの旅 3
ヒルメの身体…本体を【深淵】に回収したあとだった…
残ってる分体が、急に光り出した。
ビックリしてヨミを見たが、それ程慌てている様には見えず…
これも想定内なのか?
そして、ゆっくりと身体が縮みだしたのだが?
おいヨミ?…コレは?
「ああ、復活しようとはしてるんだろうけど、その力の大半は失ってるからね…」
お?おお…で?
「取り敢えずは…そこの童らよりも、まだ少し幼い頃にまで、戻ると思うよ…精神も身体も…」
へ、へえ…で?
「で?…そうだな…それでも当分は意識も戻らないと思うが…何分、これも初めてなのでね…」
お、おう。そうか、まあ…別に問題は無いんだな?
「勿論…」
で?
お前…いつまでそんなだらしない感じよ?
「う~~んとね、悪いけど、もうあと一日、一日だけ待ってよ…魔力も完全にすっからかんでさ…」
まあ…どう見ても、ただの抜け殻だもんなお前…
ただな、こっちもおいそれとは帰れんのだよ、ここぉ、何か無いのか?何か?
「え?ここに?…ここ、戦闘用の砦なんだけど…」
チッ…使えねえな、テメエはよお?
なんかねえのかよ?滑り台とか、ブランコとか…
「いや主よ、ここ砦だよ?流石にそれはちょっと…」
試作アイスを味見し終わった二人…既に退屈のようだった。マジいな…
おいヨミ、このままじゃ、老害って呼ばれるんだぞ?もっと危機感を持てよ?砦に滑り台とか、有っても良いだろうが?
「ちょっと…何言ってるかよくわから…」
クソが…ならば造るぞ?
「え?」
俺は目を閉じ考える…最善の方法を。
良し!!
俺はすぐ様【深淵】経由で神様島に帰還をし、
雪に深く埋もれたブランコを回収し、再び砦に舞い戻った。
多分、俺の帰還は…ジョン以外には気づかれてはいないはずだ…
砦の地面を抉って、そこに地面ごと運んで来たブランコを収める…
バッチシだ。
じゃじゃーん。この殺風景な戦闘用の砦に…なんということでしょう…奇跡のブランコが爆誕したのだ。
久しぶりのブランコに…御二方はご満悦であった。俺は出来る男だからな…
フー…良かったよ…老害などと思われず済んだ…
異様に疲れたが…まあ…結果オーライである。
抜け殻ヨミのその横で、俺も抜け殻となっていた…
でだ、この日は夕食を挟んでお開き…そんな流れだが…
ズク族らには悪いが、俺達だけはすぺさるメニューなのだよ。
まあ…全てシャダ商会のやつだが…
取り敢えず、動かないヨミの口には、いか焼きを数本、無理矢理ねじ込んだった。こいつは窒息もしないし、別に問題無い…
当然…その後は放置だ。
で、俺達は冬季限定メニュー、肉入りのクリームシチュー風だ。
これも試作に試作を重ねた、俺達商会の、苦労の結晶だった…
「おいしいね~♪」 コクコク…
うーーーん、二人の笑顔とその一言に、救われる思いだな。徹夜して頑張った甲斐があるよ…
まあ…腹も膨れたし、おいヨミ?
「どこで寝れば良いんだよ?」
んぐんぐんぐ…んぐぐ…ぐーぐ…んぐ…
おっと、口が動かんらしい。
いい加減さっさと食えよ?
喋れないヨミだったが、手まねきして誰かを呼んだ…
ん?コイツが案内すんのか?
んぐぐんっぐぐ…コクコク…
…わからんわっ!!まあ…いい。
では君…よろしく頼むよ?
「ははっ…どうぞこちらへ…」
ん?確かこいつ…ずっとヨミのそばに居たやつだよな?
なあ…君名前は?
「え!?…わ、私など名乗る程の者では…」
いや…だから名前わ?
「あ、あの…」
だーかーらー?
「は、はい、オギ…と、申します…」
ほお…オギ君か。ところで、君はヨミの側近なのかい?
「え?…いえいえ、私など、ただの小間使いで御座います…」
ふーん。まあ…何か困ったら、オギ君を頼るが、構わんかね?
「はい、どうぞなんなりと…」
うむ…そうか。それでさあ、オギ君…
君…嘘つきだね?
…俺さあ、嘘や悪意は通じ無いよ?バレバレなのだよ。ヨミから聞いてないか?
どうした?怖い顔して?
一戦交える気なら、よーく考えろよ?
悪いが君程度…全くモウマンタイだが?
「も、申し訳御座いません…」
ん?…どうしたどうした?やるの?やらないの?
「本当に申し訳御座いません…余りにも…我等が父神様に対し、貴方の振る舞いがどうしても許せず…」
ああ、そっち?
良いかね君…オギ君よ。俺とヨミは種族を超えたマブダチなんだぞ?
ついでに言うとな、俺の方が強い…つまり偉いのだよ?格上なのだよ?知らんけど…
君が俺を否定するなら、それはヨミをも否定すると知れ?
「も、申し訳御座いませんっ、決して、そ、そのような…」
あ?全くよお…とにかくだ。俺とヨミは同格のマブダチだと?よーーく、覚えとけ?
「…御意」
危ねえ…知らずにヨミの親衛隊を敵に回していたとわ…
そうか…アイツここじゃ父神様か…
そりゃ、口にパンパンにいか焼き突っ込まれたら、そら怒るか?…怒るよな?
うーーーん気をつけよう。




