猿モンスターとの激戦
「キュー!」
(二リハ、気を付けて。何か来ますよ!)
次の村へ移動している最中に、シャインが急にそう言った。
「ギャウ!」
(あっちだ!)
「にゃー!」
(今回はなんかヤバそうだぜ!)
「ピー!」
(私見てくるわ!)
「いいえ、ミドリは周囲も警戒して。戦うのは気持ち半分でいいわ!」
もし本当に来るのが強敵だとしたら、さらなる敵の出現が非常に厄介になる。ここは空を飛べるミドリには周囲の警戒を頼みたい。
私がミドリに指示を出している間に、モエル達が一方を睨んで立ち止まる。
「シャスデリは私の後ろへ!」
「ああ、わかっている!」
よし。後は敵を押さえながら倒すだけ。
そう思っていると、目の前の茂みからモンスターが一体とびだしてきた。
「ウキー!」
そいつは紫色の猿だった。
頭には人の頭蓋骨みたいなものを被っている。そして手足の先が毒々しい濃い紫色。
その猿がもの凄い勢いで私へ迫ってきた。
ま、まずい、ちょっと予想以上に速いかも!
そう思った直後、モエルとテムが動く。
「にゃー!」
(火魔法!)
「ギャウ!」
(くらえ!)
火と剣が猿に当たる。
「ウキー!」
その直前、猿が空中で回転し、二本の腕でモエルの火とテムの武器を振り払ってしまった。
少しはダメージがあるはず。でも、効いている様子はあまりない。
「ハードガード、パワースラッシュ!」
一方私は、ふたりが攻撃したことでやる気スイッチが入った。
ギリギリのところでぶつかってくる猿を迎撃する。剣は顔を狙ったが、爪で弾かれてしまった。
「ウキキー!」
そして、そのまま猿が猛烈な接近戦を強いてくる。
「くっ、ツヴァイブレード、ハードガード!」
なんとか技を使って攻撃をさばく。けど、相手が強すぎてこのままじゃもたない!
「キュー!」
(このー!)
「ピー!」
(木魔法!)
「にゃー!」
(火魔法!)
「ギャウ!」
(くらえ!)
皆の攻撃が猿に当たる。すると猿は私から離れた。
やった。なんとかしのげた。そう思ったけど、安心するのはまだ早かった。
「ウキー!」
「にゃあ!」
(この!)
猿は私ではなくモエルを狙っていた。猿の腕がギリギリのところで空振る。
そうだ。私から目をそらしたら、次は皆の誰かが狙われるんだ。
不謹慎だけど、それがシャスデリならまだいい。モエルやシャインがこの強さの敵に攻撃されても、きっともたない。
最悪、全滅もありえる。
いけない。戦いの最中に安心なんて。私は盾を使えるんだから、常に皆を守ってあげないと!
意識を切り替えて猿に接近すると、その時猿が何か液体を吐いた。
その液体がモエルに当たる。
「にゃあ、にゃー!」
(ぎゃっ、ぐああああー!)
すると、モエルが悲鳴をあげた。
「モエル!」
いけない、遅かった!
「ウキ!」
猿はその場で喜ぶと、また液体を口からとばしてきた。
狙いは私。なんとか盾で防ぐ。
けど液体は盾に当たって飛び散って、水滴となって私の頬に当たった。
するとそこから、肌が溶けるような熱さと、頬が膨らむような痺れが襲ってきた。
なにこれ、魔法、でもない?
でも、こんなに酷い攻撃を、モエルは全身浴びてしまった。
許せない。なんとしても、こいつを早く倒さなきゃ!
「パワーアップ、ゲイザースラッシュ!」
「ウキ!」
私の全力の一撃を、猿は簡単にかわした。そして、素早く反撃してくる。
「く、パワースラッシュ、ハードガード!」
やっぱり、強い。こいつ、悔しいけど私以上の強さだ。
だけど、ここで勝てなきゃ、皆やられる!
「ミドリ、テム!」
「ピー!」
(木魔法!)
「ギャウ!」
(うおー!)
皆で攻撃するも、猿はそれら全てを余裕で回避する。
「ウキ!」
「ギャウ!」
(グウウウウ!)
そして、今度はテムが猿の吐いた体液にやられる。いけない、このままじゃ!
「キュー!」
(回復魔法、先輩、平気ですか!)
「にゃ、にゃあー」
(全然駄目だ。そんなことより、シャイン。お前、俺をあいつの目の前まで運べ!)
「キュ、キュー!」
(わ、わかりました!)
「ウキ!」
またしても私に体液を吐いてきた。でも、これを受けたら絶対まずい。今度は全力で回避する。
すると、猿はまた私に迫ってきた。望むところ、今度こそ、倒す!
「パワーアップ、ゲイザースラッシュ!」
「ウキ!」
くそ、やっぱり全力攻撃は避けられる。このままじゃ、決定打が決まらない!
「にゃー!」
(よし、こっちだ猿野郎ー!)
そんな時、足元でモエルの声がした。
「キュー!」
(先輩、着きました!)
「にゃあ!」
(よくやった。全力、火魔法!)
私の目の前で、猿が炎に包まれる。
「ウキー!」
猿が苦しみながら後退した。チャンス、私はこの隙を逃しちゃいけない!
「ギャウ!」
(へ、くらいやがれー!)
そして、この瞬間をテムも逃さなかった。
テムのつづらから、赤い剣が飛ばされる。
その剣は猿の胸に刺さった。
あの剣は、魔力を込めれば炎が出るっていう、魔法の剣だ!
「はあー!」
私はその剣を握って、ありったけの魔力を込めた。
「ウキイイイー!」
猿は絶叫して、最後に私を攻撃する。
けれどそれは、全部鎧によって阻まれた。
そしてやっと、猿が倒れ、動かなくなる。
「はあ、はあ。やった」
けど、今はまだ、まずい。体の様子が、おかしい。うっ。
「熱い、寒い」
全身から汗が吹き出し、力が抜ける。
これは、何?




