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ラノベ残酷物語  作者: 秋山完
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46●『NieA_7』貧乏な君たちはどう生きるか?:21世紀、ボンビーはギャグからリアルへと変貌した。

46●『NieA_7』貧乏な君たちはどう生きるか?:21世紀、ボンビーはギャグからリアルへと変貌した。





 『NieA_7』にみる主人公、まゆ子とニアのボンビー生活。

 作品のテーマに、“貧困”の要素が含まれていることは明らかですね。

 放映は西暦2000年、今から23年前になります。


       *


 ここで、現実の貧困に目を向けてみましょう。

 いわば、「21世紀ニッポン貧困史」です。


① 年越し派遣村

年越し派遣村としこしはけんむらは、リーマン・ショックの影響により派遣切り等がおき、複数のNPO及び労働組合によって組織された実行委員会が2008年12月31日から2009年1月5日まで東京都千代田区の日比谷公園に、生活困窮者が年を越せるように開設した一種の避難所である。(以上、ウィキペディアより)


② 子ども食堂

子ども食堂こどもしょくどうは、子供やその保護者および地域住民に対し、無料または安価で栄養のある食事や温かな団欒を提供するための日本の社会活動。2010年代頃よりテレビなどマスメディアで多く報じられたことで動きが活発化し…中略…、「NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」などによると、2022年9月から2022年11月の調査では、7331か所ある。(以上、ウィキペディアより)


③ ヤングケアラー

ヤングケアラー(英:young carer)とは、…中略…大人が担うようなケア責任を引き受け、家族の世話全般(家事や介護、感情面、家計面のサポート)を行っている18歳未満の子どもを指す。…中略…毎日新聞社が2020年3月に総務省の2017年就業構造基本調査を独自に分析し、15歳未満のヤングケアラーはこの分析には含まれてないが、家族などの介護を担っている15~19歳の若者は2017年時点で推計37,000人おり、……


       *


 「年越し派遣村」「子ども食堂」「ヤングケアラー」いずれも2008年のリーマンショック以降の21世紀に顕在化した問題であり、その主要な原因のひとつとして、非正規雇用や母子家庭などの収入が上がらず、一方で食料品などの物価は(変動の大きな生鮮食料品を除いても)、2012年以降の11年で2割以上も上がっていることにあると思われます。


●厚労省の資料(平均給与(実質)の推移)による日本人の平均年収は……

1989年:452.1万円

1999年:463.6万円

2018年:433.3万円

※30年かけても上がらず、逆にやや下がっています。


●平均賃金は先進国の下位クラス

経済協力開発機構(OECD)の調査によれば、2020年の日本の平均賃金は3万8515ドルです。1ドル=110円換算にすると、約424万円となります。調査対象35ヵ国の中で22番目であり、韓国よりも低い水準です。調査対象国の平均は4万9165ドル(1ドル=110円:約540万円)でした。(以上、ファイナンシャルフィールドの調査より)


●食料〈生鮮食料品を除く〉の消費者物価指数の推移(全国:2012年1月~2023年6月)……厚労省データ

  2020年の指数を100とすると……

2012年はほぼ90 → 2020年までの8年で100となった。

2020年は基準年として100。

2023年ではほぼ112 → 2020年からの3年で112となった。


※2020年を境として、それまでの8年で「10」増えた一方で、それ以後の3年で「12」増えたことになる。ここ三年の食料品価格の高騰が極めて著しい。

 2012年以降の11年で2割以上は価格が上がっていることになる。


       *


 つまり、収入がやや減少する中で、物価は高騰する。

 ここ数年の食品の高騰は、実感として倍々ゲームです。

 卵は十個150円ほどだったのが、今は300円以上。

 牛乳は1リットル120円ほどだったのが、250円以上。


 私たちは間違いなく、ボンビー国民への道をまっしぐらに進んでいます。

 体感的には、2012年以降に「デフレ脱却」を掲げて物価上昇を誘導したABノミクスが元凶でした。それまでの物価は、デフレで何もかも安かったのです。だから年収が伸びなくてもやっていけた。

 しかし2014年に消費税が5%から10%に倍増したことで、物価高騰が家計を直撃するようになりました。


 なにしろ、物価が倍になれば、支払う消費税も倍になる。

 値上げの嵐は、消費税の嵐であるわけです。

 支出の中の食費比率が高い、ハイエンゲル係数なボンビー生活者にとって、値段が上がればそれだけボッタクラレる消費税はまさに“悪魔の税”でありましょう。


 「年越し派遣村」「子ども食堂」「ヤングケアラー」ともに、2008年のリーマンショック以降の21世紀に顕在化した問題です。

 それまでは、ボンビーといえばどこか遠くの、内戦や干ばつに苦しむ発展途上国のことだと、私たちは楽観していました。

 21世紀のこの国が、かくも惨めな暗黒時代を迎えるとは……

 それほどに、この国はボンビーを大増産したのです。


       *


 したがいまして……


 『NieA_7』(ニア アンダーセブン)が放映されたのは西暦2000年。

 当時はITバブルの兆しがあり、世の中は1991年にバブル景気が崩壊してから、不況だ不況だと騒いでいましたが、それでもまだ、2023年の現在と比べて、大衆の生活はマシだったのです。

 TVの午後のドラマで、20~30年昔のサスペンス劇場なんかを再放送していますね。そこで描かれる生活の水準に注目。スマホがなくガラケーで、TV画面の左右に余白ができるという違いはあれど、2023年の現在と比べて、なんら遜色のない豊かさであることに驚かされます。


 あの頃は、むしろ生活が豊かだった。

 だから、まゆ子とニアのボンビー生活ぶりは、ギャグとして笑いを取れる面がありました。

 しかし21世紀、2023年の現在は、どうでしょうか?



ネットのニュース

●「うどん1玉を4人で分ける」「どんなに猛暑でもエアコンつけたことない」困窮家庭ひっ迫する夏休み【認定NPO法人キッズドア調査】

MBSニュース 2023年7/29(土) 8:00配信

認定NPO法人キッズドアが、食糧支援に登録している家庭に対してアンケート調査を行いました(5月30日~6月6日)。そこには、コロナ禍の影響でダメージを受けた困窮家庭が、止まらない物価高によってこれ以上ないほど追い詰められている現状が浮かび上がっていました。

例えば今回の調査で、食費が1食当たり110円以下の家庭が4割という結果が出ています。調査に寄せられた声で食事に関するものでは…。

【調査に寄せられた声】

・電気代やガス代なども上がって、更に食料品まで。肉や魚はほとんど買わず、週に2、3回食事を抜いています。

・お腹が空いても水を飲んでごまかしてた。1日1食の時もあった。空腹で日中も寝てごまかしてた。

・平日の晩ご飯は週に1回から2回は納豆だけ、ふりかけだけの食事がある。

・うどん1玉を4人で分け合って食べた。

アンケートに回答した1538件のうち、9割が母子家庭の世帯で、2023年に予想される世帯所得は「100~200万円未満」が43%と最も多く、全体の86%が世帯所得300万円未満です。

コロナ禍がいったん収束して、世の中では景気回復や賃上げのニュースも聞かれるようになりましたが、アンケート結果では、去年と比べて「賃金上昇しなかった」が85%、「賃金上昇の見込みなし」が76%となっていて、困窮家庭にはいい兆しがないまま物価高騰が直撃しています。


      *


 いったいこれが、21世紀の文明国家なのか?

 事実ならば、全く、あきれるしかないではありませんか?

 どうしてこんなに、貧しい国になったのかと。


 フィクションである、まゆ子とニアの生活が、シャレ抜きのリアルライフとなって、国内報道に登場するようになりました。


 23年前と比べて、この国はブーメラン的に、悪い方へと転回し、今も転落を続けている。そう考えざるを得ません。

 『NieA_7』の、まゆ子とニア、そして貧乏宇宙人の生活は、今や笑うに笑えない冗談として、現実の私たち自身の鏡面像になりつつあるのです。




  【次章へ続きます】




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