第56話 薄々感づいていたが、やっぱり太子は邪悪の権化だった
また、文字数オーバーしてしまった。
どうもすいません。
王城付近の草原。
昼。
俺、御剣 響夜はコソコソと魔王軍と王国軍の戦力を削ってたのだが。
ちょっとしたヘマをやらかして、う~☆ゲロゲロゴージャスに発見されてしまう。
結果、怒れる太子と戦う流れに。
アイツのが怒りを買う行為をしたからだ。
「《ウインドボール》!」
「ぎゃあッ!」
太子は風の球を撃ち出す。
俺はガードしようとした。
だが、ガードが間に合わず腹に直撃。
勢いよく吹っ飛ばされてダウン。
足軽鎧も砕かれ。防具が笠だけになってしまった。
「なんて威力!?」
軽装とはいえ。中級魔法程度で鎧を砕くほどの高い威力。
相変わらず圧倒的過ぎだろ。
今の俺が真っ向勝負しても、返り討ちになるのが関の山。
絶望的な状況だ……。
「いいぞぉ、もっとやれ!」
「うるさい! 私に命令するな!」
「ンゴッ!?」
おちゃらけたのが癇に障ったのか。
太子は風の球をう~☆ゲロゲロゴージャスに放つ。
攻撃は右脚に命中し、転倒。
傷みでピクピクしてらぁ。
「まだだ!」
太子は攻撃の手を緩めない。
倒れるう~☆ゲロゲロゴージャスの前髪を掴むと、顔面にグーパンチ。
「デッヘェエエエエエエ!?」
う~☆ゲロゲロゴージャスはパンチをまともに食らって鼻血ブー。
確実に追い詰めていく。
相変わらずえげつない戦いっぷり。
「キョウヤさ~ん、キョウヤさ~ん」
「何だよ藪から棒に」
突如、う~☆ゲロゲロゴージャスは猫なで声で俺の名を呼ぶ。
普段の態度から想像できな声出すもんだから、どうにも気色悪い。
「助けて!」
「俺を一方的に追い出しといて助けてとか、よく言えるな!」
「おれっピを助けてくれたら軍団のナンバー2にしてやるぞ」
「この期に及んで上から目線とか、どんな神経してんだよ!」
「図太い神経はおれっピの長所だっピ」
「呆れた……やってられれねー」
とても人にものを頼む態度ではない。
見捨てようかと思ったが――
「《ウインドボール》!」
「のわッ!」
太子は俺にも攻撃してくる。
咄嗟の判断で、紙一重でかわせたが危なかった。
直撃してたら大ダメージだったぞ。
「太子のヤツ、俺とう~☆ゲロゲロゴージャス両方とも潰す気だ」
邪魔者は徹底的に排除。
あの女らしい考えだ。
ほんに始末に悪い。
「う~☆ゲロゲロゴージャスよ。俺としちゃあ納得してねぇが、他に方法がねぇ。ここは共闘して太子を倒そう!」
「おれっピに命令する気? 生意気な小娘だ」
「まだ上から目線かよ! いい加減にしろ」
助けを求めながら。いざ援助の手を差し伸べたら拒む。
とんだ天邪鬼だ。性格が悪い。
「こいつ置いてって逃げようかな?」
「見捨てないでくりいいいいいいいいいッ!!」
「どっちなんだよ!」
本気で見捨てようとすれば蛇みたいに絡みつきながら縋りついてくる。
めんどくさくてウザったい女だなぁ。
「ともかく共闘すっぞ! 《ヒール》!」
「おうよ! 一緒にあの女をぶっ殺そう」
それでも太子よりかはマシ。
回復魔法を発動してう~☆ゲロゲロゴージャスの傷を治す。
軽傷だったので、万全な状態に回復。
鼻血も止まる。
けっきょく見捨てられずに共闘する流れに。
「どうしたどうした、お前の実力はその程度か?」
「猿の分際で!」
「そうだ。オイラは猿よ!」
「クッ!」
俺が共闘を決意する中。
キングは弓使いに果敢に接近戦を挑む。
キングは腕の長さを活かし、ガンガンパンチを打ち込む。
プロボクサーと同等か、それ以上のパンチを繰り出す。
太子には劣るが、十分強い。
遠距離戦闘主体の弓使いは苦戦。キングの挑発的態度に歯軋りしてらぁ。
実を言うと。この戦闘にキングの猿軍団も使うつもりだったが。
キングは『自分がいればだいじょうぶだ』とか言って、配下の猿達を故郷に帰してしまう。
正直『こいつ自信過剰じゃね?』と思い、心配してた。
アニメとかだと、この手の発言をするヤツは口だけのヤツというのが大抵だが、キングは真っ向勝負でも凄まじく強い。
自信家で高飛車な言動も納得である。
「グォラァアア!」
「クッ! なんて馬鹿力……!?」
とうせん坊は槍使いと交戦中。
槍で対抗している。
卓越した槍の技術を持つ槍使いに、槍対決を挑むなど無謀であるが。
以外にも善戦してる。
単純な技術及び、武器の質ではとうせん坊のが劣るだろう。
だが、パワーでは大きく勝ってる。
その利点を最大限に生かし、押している。
「とうせん坊は優れた戦闘のセンスの持ち主……」
今まで仲間の不甲斐ないところばかり見てきたせいか、仲間が活躍する場面は新鮮な感覚。
ちょっと嬉しく思えた。
「のあああああ!」
「はいやぁ!」
「トわぁアアアアア!」
なお、残りの仲間はザコを相手に戦ってる。
っと同時に彼らには“ある職業の者”を積極的に倒すように指示してある。
正直言って華の無い戦いだが。
戦場で好き好んで大物狙うヤツは、主人公でもない限りだいたい早死にする。
生き残るにはベストな選択と言っていいだろう。
皆、勇敢に戦ってくれてる――
「のぎぇあああああああ! 死ぬううううううううッ!」
約一名、西川を除いて。
「《ウインドボール》!」
「危ねッ!」
仲間に感心してる場合ではなかった。
なんとか回避に成功したが。最強の敵と戦ってる最中だったのだ。
ちょっとでも気を抜けば、あっという間に潰されるだろう。
油断ならない相手なのだ。
「《収納魔法》出し!」
「なんだその大剣!?」
「これぞ異世界の天才ケンの作り出した大業物――悪一文字なりぃ!!」
「悪一文字!?」
う~☆ゲロゲロゴージャスは剣を出して右手に構えるが。
その剣のデカいのなんのって。長さが180センチぐらいあるぞ。
その上に肉厚・幅広で柄も長いから、相当重いだろう。
俺ではとても使いこなせそうにない。
それを片手で持てるからう~☆ゲロゲロゴージャスは相当な怪力。
恐れ入るぜ。
「横幅が一尺八寸の大太刀ぐらいあるんじゃないかしら?」
「おわっ!? 西川、いきなり背後から現れるな! ビックリするじゃないか」
「あら、お呼びでなかった?」
「お呼びじゃねぇ! さっさと持ち場に戻れ」
「戻りますから、怒っちゃやーよ」
突然話しかけられるもんだから驚いて変な声出してしまった。
西川を他の仲間達と一緒に戦うようにくぎを刺す。
「死ね死ね死ね死ねェ!」
などとやってると。う~☆ゲロゲロゴージャスが大剣を振り回してしる。
しかし肝心の攻撃は太子に悉くかわされて掠りもしない。
これは悪一文字の大きさと重量から「打ち降ろす」か「薙ぎ払う」かに限定される弱点を見抜かれたと思われる。
攻撃パターンが限定される為、攻撃を読まれやすいのだ。
と言っても、重量故に受け止める方法はほぼ皆無、サイズ故に射程が広く長く、速さもあるので、伏せても躱せないが低過ぎでもない高さの横薙ぎには、振る前に接近戦に持ち込むか、人の身長以上に跳躍する以外回避すら困難になるので、ぶっちゃけチートの領域に入る。
それをいとも簡単に回避できるのだからムカつくぐらい勘が鋭い。
本当に嫌な女。
「《サンダーボール》!」
「ビリビリビリッ!?」
攻撃を回避しながら、隙を突いて雷の球を撃ち出す。
雷の球はう~☆ゲロゲロゴージャスの胸に直撃。
痺れてしまう。
「まだよ!」
「ンゴッ!」
太子は追撃の手を緩めない。
ジャンプして空中回し蹴りを右の頬目掛けて繰り出す。
これまたまともにくらって、ドッシーンとぶっ倒れる。
身長が二メートル以上あるう~☆ゲロゲロゴージャスが倒れる姿は、木が切り倒されるみたいな迫力がある。
それは森林伐採の風景が脳裏に浮かぶ程に。
「トドメッ!」
上級魔法を発動させようとする。
まずい。
このままではう~☆ゲロゲロゴージャスが殺されてしまう。
そう悟った俺は、援護射撃にファイアーボールを使用したその時である――
「おれの妻に何するんだぞぉ!」
「!?」
乱入者の参戦。
それは福の神であった。
彼は太子に体当たり攻撃。
しかしひらりとかわされ、奇襲は不発に終わる。
「福の神、何しに来た!? ってか妻って?」
「結婚したんだぞぉ」
「マジかよ!? よくもまぁ、あんな人格破綻者と結婚する気になったな」
「そう褒めるな。照れるんだぞぉ」
「褒めとらん!」
衝撃発言に目玉が飛び出そうになるも。
呆れさせられる。
「ハァッ!」
「ンンッ!」
漫才みたいなやり取りしとると。
太子はストマックブローを繰り出す。
福の神、まともにくらってダウン。
神で魔王の肩書き持ってたくせにどうにも弱い。
肩書き・名前負けしてるぞこりゃあ。
「響夜、次はあんたがこうなる番だ」
「簡単に倒されてたまるかよ!」
太子は福の神を一撃で沈めると、次は俺を標的に。
俺はバックステップで距離をとると。槍を体の前で回して攻撃を防ぐ盾とする。
これで少しぐらいは時間稼ぎになるだろう。
「《アースボール》!」
「のぎゃ!」
太子は土の球を撃ち出し、一撃で槍を破壊。
攻撃を防ぎきれずによろける。
僅かな時間稼ぎにさえならなんだ。
「今の太子が相手では、ビッチ合体しても良くて互角か……」
さっきの攻撃でわかった。
ヤツはまだ本気を出してないと。
そんな状態で前回戦った時と同程度の強さ。
冗談抜きで勝てる見込み皆無。
どないしよ……。
「半端な強さなど無いに等しい。御剣響夜、お前がそれだ」
「グサッ!」
体勢を崩した俺を、太子は名指しで嘲笑う。
人の神経を逆なでする態度は、まさに悪者である。
棘のある言葉に、精神に大ダメージ。
挫けそうになる。
アイツの言葉はどうにも刺さる。
そういうところも嫌いなんだよなぁ。
「トドメだ。死ぬがよい!」
「なぜそこまで非情なれる! 抵抗できない相手を殺すのがお前の正義なのか?」
「そうだ! 敵に情けは無用」
「神様がみてるから、そんな非情な真似はやめろ!」
「呼んだ?」
「おめえじゃねーよ!!」
気絶したと思われた福の神が突然起き上がると。自らが神だと猛アピール。
だが怒って突っぱねると、さっさと引き下がる。
そういえばこいつも一応は神様だったな……。
「ともかく。もう非情な真似はやめろ!」
「口先だけの偽善者の言葉なんて胸糞悪いだけさ」
「その言葉、お前にだけは言われたくはない!」
偽善者である太子にだけは偽善者呼ばわりされたくはない。
本気でムカついた。
「正義のためなら何をしてもいい! 跡形もなく消し飛ばしてやる!」
「そこまで腐ったか!」
良心に訴えかけてみるも、効果はなかった。
普通、人間には邪心と良心があり、双方が闘えば必ず両親が勝つもの。
しかし、太子には良心らしきものが微塵も感じられない。
さっきの会話で確信した。
今の今まで、太子は“抑えつけられる事を根っから嫌う反骨心を持つ者”だと思ってた。
いや……そうでないと、敢えてそう考えようとしていたのかもしれない。
だが、それは間違いだった。
ヤツは“敵に対しては一切容赦せず徹底的に叩きつぶす考え”の持ち主。
そんなヤツが悪事に手を染めたのなら、歯止めが効かなくなる恐れがある。
「自らの命に代えてでも太子を食い止めるねば!」
覚悟が決まった瞬間だった。
悪一文字について
・約400年前に、とある異世界の万能の天才ビシュラ・ケンによって製造された巨大な剣。
・長さ六尺、横幅一尺八寸。
・刃は両刃かつ肉厚・幅広で柄も長い。
・あらゆるものを斬ることを目的に冗談で製造された大業物。
・冗談で作られた剣だが。切れ味は抜群で、名剣の部類に入る。
・しかし、その重量は刀剣類の中でも最大級で、完璧に使いこなせたものは作ったビシュラ・ケン のみとされる(凄まじい馬鹿力の持ち主なら「打ち降ろす」か「薙ぎ払う」かに限定されるが、使用は可能)。従って、う~☆ゲロゲロゴージャスは力任せに振り回してるに過ぎない。
・作中で語られたように響夜には使用不可。




