↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
分岐点
53/64

第52話 異なる育成方法その2だ

またちょっと文字数オーバーしてしまいました。

どうもすいません。


 加藤家所有(かとうけしょゆう)の山。

 日の入り時。


「ャアッ! いくぜヤロー共」

「わかった」

「了解です、ジャイアンザウルス様!」

 

 ぼく、加藤(かとう)よしふみは朝も早(は)よから契約獣ジャイアンザウルスの指揮のもと、一緒に猛獣狩りをしていた。

 標的はこの世界では効率の良い動物――ツキノワグマ。


 目的は勿論、自分の奴隷――アフリカゾウの亜人ゾウレンジャーを強くするためや。

 

 響夜(きょうや)にいちゃんは鰭耳竜族(ひれみみりゅうぞく)とかいう希少種族以外興味ないみたいだったから1番小さい子を貰った。

 弟が欲しかったから、弟分にしたった。


「お兄ちゃん、そっちにツキノワグマが逃げます」

「お兄ちゃんに任せなさい。《ファイアーボール》!」


 ちょこまかと逃げ回るツキノワグマに火の球を撃ち出して牽制。

 徐々に追い込んでいく。


 ゾウレンジャーはぼくを、お兄ちゃん、と呼んで慕ってくれる。

 理想の弟と出会えた気がした。


「オラァッ!」


 ジャイアンザウルスは口は悪いけど、戦闘は慣れたもの。

 故郷に滞在中は、彼に作戦を任せておくのが得策やな。

 響夜にいちゃんには劣るけど、頼れる兄貴分やわ。


 方針の違いから別行動、ってなったんだけど。

 くじ引きで場所を決めて、ぼくは故郷に決まったねん。

 西川(にしかわ)のおじちゃんにスキルで送ってもらう時。響夜にいちゃんは、経験値稼ぎには効率が悪い場所、ってぼくを気の毒そうに見てたけど。

 勝手知ったる所やから、ハズレくじ引いたとは思っとらん。


「追い込んだぞ! ジャイアンザウルス、噛みつけ」

「オウヨ!」

「ブォー!」


 全員で取り囲み、逃げ場を無くすと。ジャイアンザウルスがツキノワグマの右後ろ足を噛みちぎり、そのままゴックン。

 致命傷を負ったツキノワグマは歩行に支障をきたし、動きが鈍る。


「オラァッ!」

「ブォー!」


 ジャイアンザウルスは攻撃を緩めない。

 動きの鈍ったツキノワグマの左後ろ足、右前足、左前足の順に食い千切っていく。

 そして響くツキノワグマの断末魔の咆哮。


「残忍な戦い方やわ……」


 それは人間でいえば四肢切断に等しい。

 絶命したツキノワグマを見て、鳥肌が立った。


 しかし強い。

 肉食恐竜最強――ティラノサウルスだけはある。日本最強クラスの猛獣も屁とも思わない。

 恐竜界のスパースターはひと味もふた味も違うんだな。

 

 そのティラノサウルスを契約獣に選んだぼくは賢い♪

 自分のセンスに惚れ惚れするわ~。


「この調子でジャンジャンバリバリ猛獣を狩ろう」

「オウッ! 当り前よ」

「お兄ちゃんの仰せのままに」

 

 ぼくの考えにジャイアンザウルスもゾウレンジャーも首を縦に振ってくれる。

 従ってくれるなら、遠慮はない。

 力の限りぶち当たるでぇ!


 響夜にいちゃんは、熊とイノシシは狩りすぎると生態系に影響を与えてしまう、って言ってたけど。

 ツキノワグマの人身被害や林業への被害は結構なもの。

 だからうんと少なくした方が良いに決まってる。

 

 自分の山だから最悪狩り尽くしれも誰にも文句言わさない。

 この際、響夜にいちゃんの忠告は無視して好きにやらしてもらお。


 ◆


 ジャングルの朽ち果てた遺跡。

 お昼。


「これはまずいわ……」


 アタシ、西川(にしかわ) 徳川家光(とくがわけひかり)カブレノ豊臣側(とよとみがわ)は現在進行形で大ピンチ。

 ツチブタの獣人――福富(ふくとみ)くんと一緒に別世界に移動して、早々に二百匹以上のお猿さんの軍団に取り囲まれてしまったわ。

 適当に狩場を選んだのが間違いだったわ。どうしましょう……。


「ウッホォッ」

 

 奥から貫禄たっぷりのおっきなお猿さんが出て来たわ。

 他のお猿さんの大きさが二尺ぐらいしかないのに、このお猿さんは五尺以上あるんじゃないかしら。

 間違いなくこのお猿さんが総大将だわ。


「ヤバいわ! 助けて、響夜様ぁ」


 今日ほど響夜様がありがたみを感じた日はないわ。

 あのお方が指示してくれるから上手くいくし。危機的状況だって切り抜けられる。

 やっぱしアタシは一人じゃ何もできない半人前なのね。

 かなぴー。


「ガタガタガタ」

 

 福富くんも恐怖で突っ立ったままブルブル震えてるだけで役に立たない。


「アタシのバカバカバカァ! 響夜様と別行動したらピンチの時助けてもらえないじゃないのー」


 異なる強化方法を信じて実践するために別行動したけど。

 早々に後悔したわ。


「なんでもしますから殺さないでー」


 ひれ伏せて命乞い。

 響夜様という後ろ盾がないから、生き延びるのに手段なんて選んでいられないわ。

 お猿さんも鬼じゃないから、必死に頼み込めば命だけは見逃してくれる……わよね? 


「そうビビんなよ。捕って食うでもない」

「はへ?」


 このお猿さん、人語を使うじゃないの!?

 それに予想に反して交友的に接してくれる。

 厳つい顔してるけれど、意外と話しがわかるみたい。


 じっくり見てみると、このお猿さん、長く粗い赤褐色の体毛で被われる。

 顔の両脇には特徴的なでっぱり。ずんぐりむっくりな体型。

 腕は脚の2倍の長さがあるわね。

 アタシの故郷にもお猿さんはいたけど、こんなお猿さんじゃなかったわ。

 

 こういう時、動物に詳しい響夜様ならわかるでしょうけど。アタシにはさっぱりだわ。

 何者かしら?


「オイラはキング・モイ。このジャングルで一番偉い猿だ」

「ご丁寧にどうも。アタシは国民的アイドル、白馬の忍者さん徳川家光カブレノ豊臣側。で、こっちの子は福富よ」

「そうかそうか。では、この世界について教えてやろう。ついてこい」

「お願いしますわ」


 挨拶も程々に、朽ち果てた遺跡に案内される。

 そこでいろいろ教えてもらったわ。


 キング様によると、この世界は何らかの原因で滅んだ世界。

 

 地表の多くはジャングルと化しているが随所に文明が栄えていた頃の遺跡が多数ある。

 その昔には人類も存在したらしいけど。現在は絶滅し、猿がこの世界の覇者となったらしい。


「お前は人間ではないのか?」

「はい、確かにアタシは人間ですが、それがなにか?」


 よく人間離れしてるとか言われるけれど。

 アタシはれっきとした人間。そこをとやかく言われたくはないわ。


「腹を割って話すとしよう。オイラは猿の暮らしに飽き飽きした。だから人間になりたい。オイラを人間にしてくれ」

「えッ!?」


 キング様は唐突にとんでもないお願いしてきたわ。

 確かにアタシは人間だけど、お猿さんを人間にする能力なんてないわ。

 どうしましょう……。


「そんなの無理ですわ」 

「ごまかすなよ。人間になる方法は人間だけが知ると、記されてたぞ」

「あー……」 


 遺跡の壁画を指差してキング様は猛アピール。

 きっと壁画の内容を鵜吞みにしたんだわ。


 アタシも見てみるけど。

 意味不明な文字で書かれてあって、殆どわからないじゃない。

 こんな時、響夜様ならスキルでちょちょいと解読してくれるけど。

 アタシには無理だわ。響夜様の器用さが羨ましい……!


「ごめんなさい。アタシには無理だわ」 


 期待を裏切るのは心無いけど。

 できない以上、土下座して平謝りするしかなかったわ。

 

「クソッ! せっかく生きた人間と出会えたのに」 

「ヒイッ!?」


 キング様は行き場のない怒りから石畳を殴る。

 すると石畳はむちゃくちゃに壊れてしまったじゃない。

 とんでもない馬鹿力だわ。


「マスターカブレ、ここは此奴(こやつ)は自分が食い止めます! どうかお逃げください」


 福富くんが気を使ってアタシを逃がそうとしてくれる。

 なんていい子なんでしょう。

 でも感心してる場合じゃないわね。


 福富くん一人に戦わせても一方的に負けるのが関の山でしょう。

 知り合って間もないけど、見殺しになんてできないわ。

 どうにかして二人共生き残る術を考えないと。


「神様、仏様、お釈迦様、響夜様、どうかアタシに逃れる術をお教えください……!」


 考えたけど、祈る以外できなかったわ。

 アタシって無力なのね……。


「真っ赤な火をおこせれば人間になれるってのによぉ!」

「あら……?」

 

 キング様は荒れ狂ってたけれど。

 火がどうとかって言ってたわね。

 もしかしたら何とかなるかも。


「アタシ、火ならおこせますわ」

「ホントか?」


 キング様目の色変えてアタシにすり寄る。

 それは人間が何かに縋る時のそれに似ているかしら。


 彼の顔迫力あるから、ちょっとゾクッとしちゃったわ。


「はい、ホントです」

「すぐにおこしてくれ」

「では、薪(まき)になりそうな木を用意してください」

「お前達、気を用意しろ」

「「「「はいサー」」」」


 子分のお猿さんに命令すると、手早く丸太ん棒を五本も持ってきたわ。

 手際良いじゃない。


「では、お披露目~」


 懐から火打石(ひうちいし)を取り出す。

 打ち付けるて火花を起こすんだけど。思うように丸太ん棒に着火しないわねえ。


「ちょっと待っててくださいね」


 懐から火薬袋を取り出して、中に入ってる黒色火薬を丸太ん棒に振りかけてみる。

 で、もっかいやってみた。

 そしたら丸太ん坊はボウボウと燃えたわ。

  

 今度は上手くいったと思ったんだけど――


「あら大変!?」


 火薬の量が多過ぎて火事みたいになっちゃった。


「きゃあ、風が!?」


 悪いことは続くもので、突然の突風で飛び火。

 火の粉がジャングルに燃え移ってしまったじゃないの!?


「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ、よいよいよいよい!」


 火はあっという間に森林火災(しんりんかさい)に発展。

 凄い勢いで燃え広がってく。


「みなさーん、丘の上に避難してくださーい!」

 

 やらかした責任上、お猿さん達を丘の上に誘導。

 一匹の命だって奪わせないわよ!


 ◆


「「「「ジャングルが燃えてゆく……」」」」


 アタシ、西川徳川家光カブレノ豊臣側はお猿さん達を丘の上に避難成功。

 

 子分のお猿さんの何匹かが膝をついて絶望してるわ。

 でも、無力のアタシ達は、指をくわえて自然鎮火を待つしかなかった。


 とんでもない失敗をやらしてしまった。

 どう償えばいいのかしら……。


「そうしょ気るな、ジャングルはいずれ回復する。お前達が無事だっただけ儲けもんじゃねえか」

「「「「キング……」」」」


 キング様はしょ気る子分を元気づけてる。

 確かにかなりの広範囲で森は焼け野原になっちゃったけど、お猿さんの犠牲はゼロ。

 失ったものより、残ったものを重視する


「カブレもオイラの無理な頼みをしたばっかりに、酷い目に遭わしてすまなかったな」

「いえ、そんな……」

 

 やらかしちゃったアタシも寛大な心で許してくれる。

 やっぱし総大将は器が違うわ。


 

 その後、アタシは罪滅ぼしに焼畑農法(やきはたのうほう)で果物畑を作ってあげたわ。

 お猿さん達喜んでくれた。

 嬉しい。


ゾウレンジャーのプロフィール

・性別:男

・種族:アフリカゾウの亜人

・血液型:AB型

・年齢:15歳

・誕生日:9月15日

・一人称 :ボキ

・身長:110センチ

・体重:14キロ

・毛色:ぶどう色2号

・瞳の色:ぶどう色2号

・好きな食べ物:葉物全般

・嫌いな食べ物:特になし

・趣味:お絵描き

・性格:従順でちょっと甘えん坊

・概要:響夜のスキルで蘇生した者の一人。その中でも最も小さく、最年長。響夜が早々にどうでもいい扱いされ、よしふみの奴隷になる。廃棄されると勘違いしたところをよしふみに拾われたため忠誠心は極めて強い。一方で、響夜は少し嫌っている。体が小さいので、よしふみは年下だと決めつけて弟のようにされてるが、実際はゾウレンジャーの方が年上である。よしふみの弟分である今の方が好きという理由で受け入れている。名前の由来は特になく、よしふみが勢いで名付けた。


福富のプロフィール

・性別:男

・種族:ツチブタの獣人

・血液型:A型

・年齢:10歳

・誕生日:8月31日

・一人称 :自分

・身長:120センチ

・体重:21キロ

・瞳の色:赤黒色

・好きな食べ物:特になし(食べるのにそれほど興味がないため)

・嫌いな食べ物:特になし

・趣味:瞑想

・性格:真面目、堅物、頑張り屋

・概要:響夜のスキルで蘇生した者の一人だが、ゾウレンジャー同様に響夜に愛想を尽かしたため西川が自身の奴隷とする。救いの手を差し伸べてくれた西川に懐いているが、響夜のことは内心かなり嫌っている。非常に身軽。ツチブタの性質上穴掘りが得意。まじめで頑張り屋なため、厳しい修行も苦としない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。