第51話 異なる育成方法
今回は珍しく響夜くんが活躍する。
はたしてどんな活躍かな?
城下町近くの森林地帯。
お昼前。
俺、御剣 響夜はとうせん坊と一緒に奴隷商で入手した奴隷の育成に力を注いでいる。
要するにモンスター狩りね。
なお、西川とよしふみくんは育成方針の違いから、別行動をとっている。
別世界でそれぞれの奴隷を異なる方法で育成。
半月後に集まり、結果発表となっている。
「キョロキョロキョロッ」
足軽の装備を身にまとって、いつでも戦闘準備はできている。
あとはモンスターを発見するだけ。
首をキョロキョロさせながら進む。
「みーつけた♪」
三分程歩くとゴブリンの群れを発見。
呑気に焚き火なんぞやっとる。
数はおよそ百十。
大規模な群れだ。
「あいつらは俺ととうせん坊がやっつけてくるから。フォルティスは茂みに隠れてなさい」
「はい、ご主人様」
入手した奴隷は三人共名無し。
名前がないと不便なので、マスターとなる者が名前を付けてやった。
西川がツチブタの獣人少年に福富。
よしふみくんがアフリカゾウの亜人少年にゾウレンジャー。
そして俺が鰭耳竜族の亜人少女にフォルティスと名付けた。
ちなみに名前の由来はFortis。
Fortisとはラテン語で強力の意。
鰭耳竜族という強力かつ希少な亜人に相応しい名である。
「ゆくぞ、とうせん坊」
「はい、お頭!」
得物を発見したら強襲あるのみ。
一気に突撃する。
◆
「ざっとこんなもんか」
俺、御剣響夜。
二十分後、戦闘終了。
結果は俺達の圧勝。
ゴブリン軍団は全滅した。
なにせ、鬼の左手を持つ俺と百人力のとうせん坊の前では、ゴブリンが束になったとしても万に一つの勝機もない。
これは当然の結果である。
「ご主人様、フォルティスのレベルが五になりました」
戦闘に参加すれば経験値が頭割りで与えられる。
仲間が援護や声援だけで一切戦闘に参加させずともレベルアップわけ。
「うーん……中々の成長率」
入手した当初のフォルティスは今にもぶっ倒れそうなぐらい弱ってたが。
レベルアップの影響か顔色も良くなり、体も一回り大きくなったように見える。
アイスブルーの瞳は美しい宝石のように輝き。
肌は艶やかに。
ただ、毛色がメタリックグレーなせいか。ディアクティブモードのデスティニーガ〇ダムかレジェンドガ〇ダムみたいに思えて仕方ないが。
「ご主人様、お腹が減りました」
「よし、昼ご飯を作ってやろう。《収納魔法》出し!」
「わーい」
俺が食材と調理道具を出すと。
それを見たフォルティスは、その場でピョンピョン飛び跳ねて、無邪気にはしゃぐ。
その姿はなんともいえん初々しさがある。
娘を持つってこんな感じなのだろうか?
……まあ、それはともかく。
亜人は成人になるのが早い。
幼いころからレベルを上げると比例して肉体が最も効率の良いように急成長する。その際、成長するための栄養を求めて飢餓状態になり、通常時の数倍の食事を必要とし、成長痛を起こすとか。
たっぷりご飯作って食わしたろ。
「フォルティスが見目麗しい美少女になるのも、そう遠くないだろう」
などと、成長後の姿をイメージしながら、ニタニタ顔で料理する。
完成するのが待ち遠しいぜ!
◆
城下町近くの山岳地帯。
夕方前。
俺、御剣響夜御一行は足軽の装備を身にまとい。
歩きながら、あるモンスターを探していた。
「とうせん坊、あれから何日ぐらい経つ?」
「十日ですぜ、お頭」
「おぉ、そうか。光陰矢の如し。すっかり時間が経つのを忘れとったわい」
などと口ではふざけているが。
内心では緊張していた。
なにせ今回の相手は高額な賞金がかけられた賞金首モンスター。
自然と神経も尖る。
「ギャオー!」
「出やがった!」
とかなんとかやってると。
どこからともなく上空からお目当てのモンスターが現れる。
ヤツは大口開けてこっちに向かって急降下。
どうやら俺達を獲物とみた模様。
「むこうの方から出向いてくれるとは探す手間が省けるぜ。全員戦闘態勢をとれ!」
「「はい!」」
こちらも負けじと槍を構える。
なお、お目当てのモンスターの名は――レッドホーンワイバーン。
こいつは鼻先に一本の赤く長大な角を備えた、翼開長が18メートルに達する強力で危険なモンスター。
中級クラスのモンスターとして扱われる事が多い普通のワイバーンとは別格の存在。
噂によると、何者かによって本来の縄張りを追われたとか。
追われたってとこがなんか引っかかるな。
近隣に結構な被害を及ぼしてるらしい。
にも拘らずギルドはレッドホーンワイバーンを放置している。
それは何故か?
レッドホーンワイバーンの強さと凶暴さに冒険者達は恐れをなし討伐したがる者が現れず。
で、困り果てたギルドは山岳地帯を立ち入り禁止エリアに指定。
いちおう依頼は出してるらしいが、実質棚上げ状態。
被害が拡大し続けてるのもギルドの杜撰な管理が発端なのだ。
で、俺はこれ以上の被害を防ぐためにも討伐を決意したわけ。
「ギャワッ!?」
「「ウワッ!?」」
レッドホーンワイバーンは翼を羽ばたかせ、突風を巻き上げる。
俺達は吹き飛ばされ、すってんころりん。
「こんにゃろう、やりやがったな!」
立ち上がって睨みつけるも。
レッドホーンワイバーンはまるで動じない。
肝が据わってる。
貫禄も十分。高額賞金首なだけはあるな。
いつもの俺なら『できるだけ強いヤツとは会いたくないし、戦いたくもない』とか言っていただろう。
だが今日は違う。
強力な戦力があるのだ。
懐から契約の魔石取り出し、地面に叩きつける。
「こうなりゃこれを使う! 現れろ、グリフォンノヴァ!」
契約の魔石から、青銀色のグリフォンを出す。
こいつは奴隷商から押し売りされ、契約獣としたもの。
購入時には翼に大きな傷を負い、全身ボロボロの粗悪品だったが。西川の回復魔法で完全復活させたった。
こうなると強力な戦力に早変わり。
奴隷商脱帽してたな。
俺から毟り取るつもりだったらしいが、不発に終わったわけ。
ザマーみろ! 俺を舐めんなっての。
「やっちまえ、グリフォンノヴァ」
「グワッ!」
命令すると、グリフォンノヴァすぐに動いてくれる。
グリフォンノヴァはまだ人語は話せないが理解することはできるので、さほど問題にはならない。
性格も素直だし、使えるヤツだと思っている。
レベルアップすれば人語も話せるだろうしね。
「グワッ!」
「グワッ!」
グリフォンノヴァはレッドホーンワイバーンに飛び込んでゆく。
これにレッドホーンワイバーン、危険を予知し、翼を大きく広げて飛翔しようとする。
「ゴガッ!」
「ッ!?」
しかし、グリフォンもワイバーン同様に飛行能力を有する。
こちらも空を飛び、レッドホーンワイバーンの上につくと。のしかかって押さえこむ。
体長7メートル程のグリフォンノヴァでは全体の大きさは劣るも。相手は翼で大きさの数値を稼いでいるに過ぎない。
だから、全身を覆う筋肉ではグリフォンのが発達している。
総合力ではどうかわからないが、少なくともパワーではグリフォンノヴァのが勝っているだろう。
その証拠に、グリフォンノヴァが鋭い爪でレッドホーンワイバーンを組み伏せている。
「一気に畳みかける! 現れろ、ディサイプル! アプレンティス!」
だが、このままでは決定打とはならない。
そう察し、他の契約獣二体を出して加勢。
「おめえらもやっちまえ!」
「「はい!」」
とうせん坊とフォルティスも加勢。
俺もそれに続く。
「------ッ!」
レッドホーンワイバーンも奮戦するが、次第に手数で押されていき、全身を痛めつけられてついには絶命。
俺達全員がレベル7以上にレベルアップ。
戦闘力が強化された。
多勢に無勢で負かしたような印象があるが。
それでも勝ちは勝ち。
後ろめたいものはない…………と思う。
「《収納魔法》入れ!」
使い道は考えてないけど。とりあえずレッドホーンワイバーンの死骸を回収しとく。
「いい調子だ♪」
育成が順調に進んでるので思わずニッコリ。
暫し勝利の余韻に浸るのであった。
フォルティスのプロフィール
・性別:女
・種族:鰭耳竜族の亜人
・血液型:ボンベイ型(稀血)
・年齢:7歳
・誕生日:7月29日
・一人称 :フォルティス
・身長:115センチ→125センチ
・体重:20キロ→29キロ
・スリーサイズ:B小さい W細い Hちっこい
・毛色:メタリックグレー
・瞳の色:アイスブルー
・好きな食べ物:おいしいものならなんでも好き♪
・嫌いな食べ物:特になし
・趣味:食べること
・性格:比較的素直、食道楽で食い意地が張ってる
・概要:亜人狩りに捕まり奴隷となった末に衰弱死したが、響夜の蘇生スキルで復活。以後、響夜の奴隷となる。一応、名前はあったらしいが、その記憶は失われている。
51話現在の響夜のパーティーのレベル
・御剣 響夜、レベル7(レッドホーンワイバーン討伐時)
・とうせん坊、レベル7(レッドホーンワイバーン討伐時)
・フォルティス、レベル1(購入時)→レベル5(ゴブリン軍団討伐時)→レベル7(レッドホーンワイバーン討伐時)
・ディサイプル、レベル10
・アプレンティス、レベル10
・グリフォンノヴァ、レベル35




