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不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
恐るべき破壊力爆裂魔法
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番外編 響夜が爆裂魔法を習得するまで

今回の『不当なる者世界に仇なす』は、響夜がまだ男だった頃のお話となります。


 爆裂魔法。

 それは恐るべき破壊力と最長射程を誇る攻撃魔法。

 その爆発はいわゆる無属性で人類やモンスターなど生物は勿論、神や悪魔、霊体などあらゆる存在にもダメージを与える。


 ――俺、御剣(みつるぎ) 響夜(きょうや)も習得はしてるが。

 実戦で使用はしてない。

 はじめて使用した時の苦い思い出のせいで使う気にならんのだ。


 発端は、俺がまだ本来の姿だった頃。

 つまりは男だった頃まで遡る――


 ◆


 昼前。

 城下町の冒険者ギルド。

 

 俺、御剣響夜は一人、ギルドの片隅にあるテーブルにて、ある人物を今や遅しと待っていた。


 その相手は――爆裂魔法を使える高名な魔法使い。

 爆裂魔法とは、習得が極めて難しいと言われる爆発系最上級クラスの魔法。

 その魔法を教えて貰おうというわけ。

 

 待ち遠しくって、待ち合わせ時間の一時間前に待ち合わせ場所に到着してしまった。

 はやる気持ちを抑えれなかったのだ。


「まだかなぁ……」


 この城下町に凄腕のウィザードとして名を馳せる爆裂魔法の使い手が住んでると情報を掴んだ俺は、手紙を書いてそいつの家に送った。

 内容はもちろん『爆裂魔法を伝授してほしい』というもの。

 

 んだが、見ず知らずの相手からこんな図々しいお願いして快く引き受けてくれる筈がない。

 手紙の投函(とうかん)から数分後、それに気づいて失敗したと後悔した。


 けれども、お返事は意外にも『爆裂魔法を覚えたいなら幾らでも教えてあげましょう』っと、好意的。

 また、手紙には『共に爆裂魔法のすばらしさを世に広めましょう! 私と一緒に爆裂道を歩もうじゃないか!』とも書かれていた。


 快く引き受けてくれたのは嬉しいが。

 手紙の内容から妙な違和感と嫌な予感がした。


「年端も行かぬ少女かな? それともマッチョなおっさんかな?」


 落ち着かずに貧乏揺すりしながら、これから会う魔法使いのイメージを口に出すが。

 前者はともかく、後者の可能性は皆無。

 魔法使い職は肉体面のほとんどでステータスが低く、オマケに打たれ弱さから筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)になるなどあり得ない。

 事実、王道のファンタジー作品でボディビルダーみたいな脂ぎったたくましい魔法使いなど出てこない。

 

 たぶん、そいつは冒険者引退した老いぼれだと思う。

 なにせ爆裂魔法は習得に必要なスキルポイントは50であり、あらゆる職(ジョブ)のスキルで最も多い。

 爆裂魔法のみの習得を専念したとこで、道のりは気が遠くなるほど長いとされる。

 はっきり言って、正攻法で到達できる領域ではない。

 

 引退後、スキルポイントに余裕がある物好きの隠居者が気まぐれで覚えた、とかだろう。

 

「まだかなぁまだかなぁ」


 心配したってはじまらないが。挙動不審にソワソワしてしまう。

 こういう時の待ち時間は実に長くて辛い。

 今や遅しと持ち受けていた。


「あなたがミツルギキョウヤでしょうか?」

「そうだが。んっ――!?」


 現れた高名な魔法使いとして名を馳せてるそいつは――紅い瞳の巨乳のチャンネー。


 髪型はぱっつん前髪な黒髪ショート。

 黒マントに黒ローブにとんがり帽子と、いかにも魔法使いっぽい服装をしている。

 身長は俺 (165cm) よりも高く、170cm前後。

 歳は二十歳前後か。


 驚いた。結構な美人だ。

 予想外なのが出てきたよ。


「我が名はうっきゅっぽゎ! 最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操り、爆裂魔法に愛される一族の末裔なり……!」

「……あだ名ですか?」

「本名です」

「……」

「おい、なんで黙ってる? 私の名前に文句があるなら聞こうじゃないか」


 あまりに変ちくりんな名前に思考が一時的にフリーズしてると。喧嘩売られる。

 こいつは『売られた喧嘩は買う』ってタイプだ。

 たぶん、マウント取りたがるヤツなのだろう。

 

 だが、ここでご機嫌を損ねれば爆裂魔法習得は水の泡。

 めんどくせえが、ご機嫌取りするか。


「あまりにもあなたがおキレイなもんで見惚れてたんですよ。いやあ、本当にお美しい」

「煽ててもなにも出ませんよ。ウエイトレスさん、こちらによく冷えた飲み物を」


 素っ気ない反応だったが。満更でもないご様子。

 ドリンク一杯ごちそうしてくれたよ。

 ちょろい。


「あなた、爆裂魔法に興味を持つとはセンスありますよ」

「どうも」

「しかし爆裂魔法習得には大量のスキルポイントが必要になりますよ。そこんとこ大丈夫ですか?」

「スキルポイントは有り余ってるから問題ねぇ」

「本当ですか? 《能力透視》」


 俺の言葉が信じられないらしく。うっきゅっぽゎはスキル・能力透視を発動。

 俺のステータスを確認する。


「なっ! スキルポイント1970ですと!?」


 うっきゅっぽゎが俺のスキルポイント見て絶句しとる。


 何を隠そう俺、スキルポイントに関しては超優秀。

 中級魔法や回復魔法などのスキル習得でスキルポイントを30使ったが。その程度使ったところで痛くもかゆくもなかった。


「で、爆裂魔法習得に必要なスキルポイントはいくつなんだ。100か? 200か?」

「50……です……」

「なんでぇ、それっぽっちか」

「……」


 爆裂魔法習得は、あらゆる職のスキルで最も多いスキルポイントが必要。

 しかしこの膨大なスキルポイントの前では爆裂魔法習得に必要なスキルポイントも軽微。

 スキルポイント長者様の俺には屁とも思わない。


 マウント絶頂だったうっきゅっぽゎは俺の素質の凄さに気後れ。

 落ち込み、俯いてた。


「俺、スキルポイントは優秀ですが、それ以外は普通ですよ。高名な魔法使いであるあなたには及びません」

「そうですね。私は優秀ですから」


 ちょっと謙遜(けんそん)すると途端に元気を取り戻す。

 メンタル脆いが、単純な精神構造で助かる。


「そもそも爆裂魔法とは――」


 正面の席にそいつは座ると、勝手に語り出す。

 グイグイ行くなこいつ。

 

 しかし、うっきゅっぽゎの顔を直視してると。

 整った顔をしてたが。顔だけだと13歳前後にしか見えない。

 早い話――ロリっ子――である。大人の体に子供の首くっつけたみたいな独特のバランス。

 それでもいい女だぜ。


 また、どことなくコウマと雰囲気が似ている。

 こいつも、かつて魔法の研究者が、魔力を増幅する改造手術を施された改造人間の末裔なのかも。

 

「それで、授業料は如何程で?」


 ここが重要。

 金額次第では教えて欲しくても教われないという最悪の展開も予想される。

 

「我の望みは、爆裂魔法の素晴らしさを世に広める事。教えるのは無報酬でいいと考えてる」

「マジですか!? 助かる」

「話しを続けますよ」

「お、おぉ」


 この頃は金欠だったので、無償で教えてくれたのは助かったが。

 うっきゅっぽゎの爆裂魔法愛を語り出したら止まらず。

 話し出してから三時間が経過した辺りで、教えを乞うたの後悔したよ。

 話しがあんまり長くて退屈なもんで、何度も眠りそうになった。


 しかし熱弁するもんだから、もういいですとも言えず。黙って聞くしかなかった。

 でもまあ、話すに夢中になってて胸を何度チラ見しても全然気づいてなかったから。そこんとこは唯一よかったかな。


 けっきょく話しが終わったのは六時間後であった。


 ◆


 王城付近の草原。


「では、爆裂魔法を見せてあげましょう!」 

「はい、お願いします」


 爆裂魔法の講義が終わると。次は実技。

 俺、御剣響夜とうっきゅっぽゎは野外に出ると。実際に爆裂魔法を発動すべく、杖を構える。


「先祖代々受け継がれし幻の光よ、今ここに力を示せ! 《爆裂魔法》ッ!」

 

 詠唱が終わると。草原のド真ん中に閃光が走り抜ける。

 その直後、恐るべき魔法の効果が現れた。


 世界が白くなるような閃光だ。続いて熱風。次に振動。最後に、轟音が耳をつんざいた。

 地球最初の荒しのようだ。

 凄まじい爆風に吹き飛ばされそうになりながらも、俺は足を踏ん張ってどうにか耐えれた。


 爆煙が晴れると、魔法が放たれた場所には三十メートル以上のクレーターができており、その威力の凶悪さを物語っていた。


「……すんげー。これが爆裂魔法か……」


 俺は爆裂魔法の威力に感動。

 とても清々しい気分になる。

 その爽快感ときたら、長話で溜まった鬱憤(うっぷん)を全て吹き飛ばすほど。


 アボリジニの伝説に『炎が一瞬にして世界を照らし、生き物達を驚かせた』なんて歌があるが。

 無意識に頭の中で爆裂魔法とその歌と重ねてしまっていた。


「ふ……。どうですか、我が一族の奥義である爆裂魔法の絶大な威力は?」

「あぁ、恐れ入ったよ」 


 うっきゅっぽゎの方を向くと。

 そこにはうっきゅっぽゎが倒れていた。


 自分の技の反動に耐えられなかったの?

 

「爆裂魔法は凄腕アークウィザードとして名を馳せる我でも一日一回が限界。全魔力を使い果たしたので身動き一つ取れません。城下町まで運んでください」

「なぬっ!?」


 こいつ、一発爆裂魔法放ってガス欠起こしやがった。

 自分の技使いこなせてないとかダサダサだぞ。

 あまりの情けなさに呆れた。


「しょうがねえなあ」

「迷惑おかけします」


 とはいえ、このままほったらかしにしとくわけにもいかない。

 やむなくおんぶして帰る。


「んおっ!?」

「どうかしましたか?」

「なんでもない」

「?」


 最初は気乗りしなかったのだが。

 いざ、おんぶすると。うっきゅっぽゎの豊満な胸の感触を背中に感じる。

 これはは堪らん!

 それこそ、城下町に帰るまでの時間が少しでも長ければいいと願ったぐらいだ。


 今日一番嬉しいと思った瞬間だった。


 ◆


 明くる日。

 俺、御剣響夜は一人で草原に出向くと。習得した爆裂魔法をテストしてみる。


「《爆裂魔法》ッ! ヌオオオオオオッ!?」


 発動と同時に俺の全魔力を使い果たす。

 それでも足りなかったらしく、体力までゴッソリ持っていかれた。


 凄まじい消耗に体が耐えられず、そのままぶっ倒れる。

 

「なんてこったい。行動不能になってしまった……」


 爆裂魔法は、俺の魔力と体力をありったけ掻っ攫っても一切(いっさい)爆発してくれない。

 魔力・体力ゼロの状態では動くこともできない。

 これだけやって不発という結果。

 俺は絶望した。


 今できるのは、虚しく助けを待つのみ。

 

 その後、コウマとフープが救出に来るのは二時間後であった。



 ……っとまぁ、これが爆裂魔法習得の一部始終である。

 説明終わり。



うっきゅっぽゎのプロフィール

・性別:女

・種族:魔力を増幅する改造手術を施された改造人間の末裔

・年齢:20歳

・身長:169センチ

・体重:58キロ

・スリーサイズ:B100 W53 H79

・一人称 :私(感情が高ぶったときは「我」になることもある)

・毛色:黒

・瞳の色:紅色(赤色)

・好きな食べ物:揚げ物全般

・嫌いな食べ物:とろろなどのネバネバした食べ物全般

・趣味:爆裂魔法

・性格:気取り屋で好戦的

・概要:美人で豊満な身体を持つ凄腕のウィザード。かつては冒険者として活躍してたが、現在は魔道具職人として働いている。普段は冷静だが煽てに滅法弱い。いちおう成人しているが、顔付きはロリ顔。爆裂魔法をこよなく愛するが、それは先祖代々受け継がれてるもので、彼女だけのものではない。コウマと同じく魔力を増幅する改造手術を施された改造人間の末裔だが、交雑を繰り返して誕生したコウマと異なり純血。そのため魔力が非常に高く、魔法使いとしての高い適性を持つ。純血を保つのに余念がなく、外に取り込むべき同種の血がない場合は血を薄めないために近親婚すら平然と行う。最終的な目的は最強の魔法使いを作ること。名前の意味は赤ちゃんの鳴き声のオシッコ(西川談)

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