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不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
大魔女う~☆ゲロゲロゴージャス
45/64

第45話 冤罪とか酷い!

このお話から数字の表記をちょっと変えます。


「ぐはあぁ……!」


 俺、御剣(みつるぎ) 響夜(きょうや)。

 魔王城のパーティー会場にて現在進行形で大ピンチ。

 う~☆ゲロゲロゴージャスのベアハッグくらってる。


「こんにゃろう! 響夜にーちゃんを放せ」

「お頭、今助けますだぁ」

「アタシも助太刀するわ」


 よしふみくん、とうせん坊、西川が助けに駆けつけてくれる。

 いい仲間をもったと、ちょっと感動した。


 だが――


「《中級風魔法》!」

「「「ぐわっ!」」」


 突如、サーキちゃんが風魔法で3人を転倒させる。


「サーキちゃん、なにするか!」

「黙れ小童(こわっぱ)! ぼくちゃんはご先祖様に尽くすと決めたんだっちゅーの」

「なぬっ!? そんな素振りはなかった筈」

「最初はそうでもなかったけど。だんだん隙になったんだっちゅーに」

「マジかよ……」


 信じられない。

 あれだけ俺にお熱だったサーキちゃんが手の平を返すなんて。

 まさに青天(せいてん)の霹靂(へきれき)である。


「だから響夜はもう用済みだっちゅーの。ご先祖様、好きにやっちゃってくださいっちゅーに」

「でかしたぞ子孫! 後で可愛がってやろう」

「はい♪」


 あかん。サーキちゃんはう~☆ゲロゲロゴージャスご執心だ。

 その証拠に目をハートにさせとる。

 

「このおおおお! 放せええええっ」 


 ジタバタもがくも。う~☆ゲロゲロゴージャスの馬鹿力でがっちりロックされてて、力ずくで外すのは不可能。

 西川もよしふみくんもとうせん坊もサーキちゃんに行く手を阻まれ助けは期待できない。


「ロックが甘いうちにさっさと脱出しとけばよかったぁ。男の性に従った俺のバカバカバカァ……!」


 などと思うも後の祭り。

 もうダメだと思っとその時である――


「その辺にしといてやりなさい」


 どこからか助け船が。

 声の主は魔王軍幹部の1人――かぐや姫。

 意外なヤツに助けられたな。


 あいつ、俺を目の敵にしてるはずなんだけど。

 どういう風の吹き回しか今日はいやに親切だ。

 なんか裏がありそうな予感。


「ポイッ」

「フンギャア!?」


 う~☆ゲロゲロゴージャスはベアハッグを解除し、俺を放り投げる。

 技が外されたものの。受け身が取れずにすってんころりん。


「おれっピに文句あるわけ?」

「わたくしに考えがあるわ。耳貸しなさい」


 威圧感たっぷりにかぐや姫に詰め寄る。

 しかしかぐや姫はなにやら秘密話しはじめる。


「サーキちゃん、俺よりう~のが大切なのか?」

「そうだっちゅーの」

「あぁそうかよ! もうお前とは縁切りだな」


 一方、俺はサーキちゃん、う~☆ゲロゲロゴージャスとどちらが優先順位が上か問い詰めも。

 その返答は俺のが下。

 あれだけ慕ってたやつがこうも簡単に心変わりするとは……。


「これは出世払いにした装備品の代金だ。受け取れ!」

「毎度♪」 


 頭にきて、戦利品で手に入れた王の指をサーキちゃんに思いっ切り顔面に投げつけるも。あっさりキャッチされた。

 そしてニコニコ顔で遠慮なく受け取ると。自らの指にはめ込む。

 イヤミでやったのになんも感じてねぇ。ムカつく。


「フンッ!」 

「響夜にーちゃん、まだパーティー終わってないよ」

「ちょっと、響夜様! 待ってぇ」

「お頭(かしら)!」 


 金額的にはこっちのが遥かに上だろうが。

 この際金額などどうでもいい。利子だと思ってくれてやった。

 そしてプリプリと怒りながら、さっさとパーティー会場から立ち去る。


 その際に西川、とうせん坊、よしふみくんがついて来る。

 まだ自分を気にかけてくれるヤツがいると知り。ちょっとだけ気分がよくなった。


「……そいつはいいな」

「でしょ」


 帰り際、互いに邪悪な笑みを浮かべるう~☆ゲロゲロゴージャスとかぐや姫が視界に入る。

 それは良からぬ企みをする時のそれ。

 何する気かはわからないが。警戒しといたほうがいいかも。

 そう心に誓った。


 ◆


 魔王城幹部の部屋。

 幹部の部屋は豪華な作りで。高級ホテルのスイートルームを思わせる。

 

 そんな部屋で俺、御剣響夜及び、西川、とうせん坊、よしふみくんは寛いでた。


「うーん……」


 俺はテーブル越し難しい顔で唸ってた。

 反対側には西川。

 何をやってるかと言いますと。将棋をしているのだ。


 なお、将棋をしてるのは。気持ちを落ち着かせるのが目的。


「響夜様、遊びでそんなにムキにならなくても」

「うるせえ、黙ってろ! このまま勝ち逃げされてたまるか」


 西川は滅茶苦茶将棋が強い。


 現在五連敗中。

 小学生の頃、将棋クラブに入り、そこで中堅の強さだった俺だが。

 まるで歯が立たない。


 軽い気持ちではじめたのに。今ではマジになって、勝たねばやめられない状態。

 このまま一回も勝てずに終わったら悔しくて今晩眠れなくなる。

 何としてでも勝たねば。


「王手です、響夜様」

「んぎゃあっ!?」


 またしても追い込まれる。

 俺の駒は半分以上取られてるのに西川は無傷。

 三敗してからハンデで二枚落ちにしてもらっても負け。

 現在六枚落ちでやってもらうが。それでも圧倒的な差があるとか、強過ぎ。

 プロ棋士かて!


「御剣響夜様、おりますでしょうか?」

「あん?」

「ひいっ!?」


 来訪者はボーイ服着たオーク。

 連敗の悔しさと怒りが混ざった顔で返事したらビビッた。

 ちょっとやっちまったな。


「で、なんだぁ?」

「は、はい! 魔王様がお呼びです」

「魔王が? いったい何用だろう」

「さあ。私奴(わたくしめ)にはわかりかねます」

「なんだかよくわからんが。行ってみるか」

 

 オークはしどろもどろな受け答え。

 少々引っかかるものがあったが。

 呼び出した本人に聞くのが手っ取り早いので。とりあえず一人で魔王の部屋に行ってみる。


 ◆


「ん?」


 俺、御剣響夜が魔王城の廊下を歩いていると。

 どこからか俺の名前が混じった会話が聞こえた。


「声はここから漏れてたんだな」


 前方十数メートル先の部屋の扉が開いてる。

 大方、誰かが俺の噂話でもしてるのだろう。

 気になる。

 

 ブチハイエナの亜人少女となった今の俺はブチハイエナと同等の聴力を持つ。

 ブチハイエナの鋭い聴覚ならば多少離れててもはっきり聞き取れるに違いない。

 で、耳を澄まして聞き耳してみる。


『響夜には過酷な仕事を馬車馬のようにさせてつぶすとしましょう』

『そいつはいい。あのいけ好かない響夜が窶(やつ)れてくの見れると思うと、楽しみでならんっピ』

『そうだっちゅーの』


 部屋ではかぐや姫が俺を陥れる計画をサーキちゃんとう~☆ゲロゲロゴージャスで練っとる。


「己(おのれ)らぁ……!!」

「「「!?」」」


 俺は怒りを抑えられず部屋に突入。

 三人は驚く。


「よくも俺をつぶそうとしたな! 《収納魔法》出し」

「何をする響夜!? フンヌゥ!」

「折れた!?」


 細剣を出し、三人に斬りかかる。

 しかし細剣はう~☆ゲロゲロゴージャスに真剣白刃取りされ。そのまま手を合わせる力でへし折った。

 なんて馬鹿力!?


「反乱だ! 響夜が反乱を起こしたぞ。誰か!」


 かぐや姫が反逆者の濡れ衣を着せてくる。

 ヤバい! 最悪な展開に突入してるじゃねーか。


「「「「何事ですか!」」」」


 かぐや姫の一声で下級モンスターがぞろぞろ現れる。あっという間に取り囲まれた。


「響夜様、何やらかしたの?」


 モンスターに紛れ、西川、とうせん坊、よしふみくんも駆けつけていた。

 幸いにも三人は俺に味方してくれる。


「こいつは反逆者よ。わたくしに味方しなさい」


 かぐや姫はでたらめ言って三人を引き抜こうとする。

 悪賢い口八丁め。

 

 厄介な女に睨まれちまった。


「ぼくは響夜にいちゃんを信じる」

「おらもお頭に生涯仕(しょうがいつか)えると決めたんだあ」

「ア、アタシ響夜様を信じるわ」

 

 とうせん坊もよしふみくんも躊躇(ためら)わず俺を信じて、庇うように前に出てくれる。

 ジーンと感動して、涙が出そうになったぞ。


 一方で、西川も信じてくれるものの。ちょっと躊躇(ちゅうちょ)。

 あいつ日和見主義者だから、魔王軍に残るか俺について来るかで判断が遅れたんだろうな。


「従わないなら。敵とみなすしかないわね」


 かぐや姫は敵意のこもった眼差しをを向けた。


「のぞむところだ! かかってこい、おばちゃん」

「お、おばちゃんですと!? あのクソガキを殺せ!」


 これによしふみくんは売り言葉に買い言葉。

 売られたケンカは買うってか。


 しかしこの状況でそれは火に油で。

 かぐや姫の逆鱗に触れて凄まじい形相に。

 年頃の女性におばちゃん扱いはいかんて。


 あれは確実にマジギレしたよ。

 よしふみくんもやっちゃってくれたなぁ……。


「ここで戦うのは好ましくない。外に出るぞ!」


 狭い場所では思いっ切り戦えないので。折られた細剣を投げつけ、窓をブチ破る。

 外に出るためだ。


「とうせん坊、俺の背中にしがみつけ」

「はい、お頭」

「よしふみ様はアタシが運びますわ」

「頼む」

 

 その際にとうせん坊を背中に担ぐ。

 ここは城の二階。忍法バッタ跳びを使えないとうせん坊に飛び降りさせるのは危険だと判断したためだ。

 大きいとうせん坊を担ぐのを買って出たのは、非力な西川には力不足と判断したから。


 西川はよしふみくんをお姫様だっこして準備OK(オッケー)。


「「忍法《バッタ跳び》!」」


 で、同時に飛び降りる。


「逃がすな! 後を追え」

「「「「はい、かぐや姫様!」」」」


 部屋でギャーギャー騒いでるのが聞こえたが無視して逃げるのに専念しよ。




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