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不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
大魔女う~☆ゲロゲロゴージャス
44/64

第44話 手を組んでやる――おれっピがな!!


「ゼハハハハ! どうだ、おれっピの秘密基地スゲーだろ♪」

「ああ、恐れ入ったよ」


 俺、御剣(みつるぎ) 響夜(きょうや)。

 現在サーキちゃん隠れ家改め、う~☆ゲロゲロゴージャスの秘密基地でお空を移動中。

 早い話、山が飛んでるわけ。


 なんでこうなったのか経緯を説明しますと――


 ◆

 

 う~☆ゲロゲロゴージャスが俺、御剣響夜のパーティーに入った後。魔王城に帰ろうとしたのだのだけど。

 

「歩いて向かうのかっだるい」


 と、ごねる。


「てぃろッ」

「ゴクリッ」


 う~☆ゲロゲロゴージャス、おもむろに胸の谷間からテレビのリモコンみたいなものを取り出す。

 

 凄い光景に俺は思わず生唾ごっくん。

 う~☆ゲロゲロゴージャスはサーキちゃん以上のバストの持ち主。リモコンもすっぽり納まる。

 それは驚異の胸囲! 他を圧倒する存在感を放ってた。

 

「おれっピの秘密基地で行こう」

「は? とういうこと?」 

「論より証拠! 動け、北アルプスの野次ヶ岳(やじがたけ)!」


 う~☆ゲロゲロゴージャスはリモコンをちょこちょこっと操作。

 すると――


「きゃあ!? 地震よ!」 

「……ッハ!?」


 突如、激しい地響き。

 これに西川は慌てふためき。とうせん坊思考停止。

 こいつら不確定要素に弱いな。

 予想外の事態に対する適応能力が低すぎ。


 ……メンタルトレーニングさせた方がいいかも。


「……これは山が動いてるんだ」

「ピンポーン! チビは勘が鋭いな」 

「どうも……」


 イヤミ感じる言い方だったので、少し皮肉っぽい言い方で返してやった。

 でも、う~☆ゲロゲロゴージャスは気づいてないみたい。

 鈍チンだな。


「鈍チン共のために外の様子を見せたる」


 う~☆ゲロゲロゴージャス、再びリモコンをいじると。天井からなにかが下ろされる。

 それは学校の体育館で使うようなスクリーンだった。

 

 スクリーンが下ろされると。後ろの床の一部がスライドし、映写機が露出。

 と、同時に照明が落とされ、スクリーンに映像が映し出される

 それは雲を突っ切る映像だった。

 

 自転車程度のスピードだけど、秘密基地は間違いなく飛んでいたのだ。


「うおッ!」

「「ポカーン……」」

 

 俺は驚き、興奮した。

 それははじめて飛行機に乗った時の胸の高鳴りに似ていた。


 一方、とうせん坊と西川は口を開けたままポカーンとしてた。


 しかし、山が飛ぶとは驚きだ。

 最初のうちは何言ってるのか理解できなかったが。

 山が浮上し、魔王城に向かって飛ぶと認識を改めざるをえない。


 ホント、なんでもありな世界だよ。


「飛べるだけじゃねーぞ。おれっピの秘密基地には開閉式な強力な大砲が複数搭載されてんだっピ。スゲーだろ」


 う~☆ゲロゲロゴージャスが俺の顔をチラッチラ見てくる。

 ここは煽てるのが得策か。

 太鼓持ちに転じよ。


「まさに無敵の機動要塞と呼べる代物だな。大魔女の異名は伊達じゃないな」

「ゼハハハハ! だろ、だろ! おれっピは凄いのだ! 世界一凄いのだっピ!!」

 

 安っぽい煽て文句に、う~☆ゲロゲロゴージャスは胸張って自慢気にゲラゲラ笑う。

 完全に天狗になっとるな。


 どうにも軽いヤツである。

 内心呆れたよ。


 ◆


 ――そんなで現在に至る。

 

 前置きは少々アレだったが。

 俺、御剣響夜は労せずして強力な機動要塞を戦力にできたわけだ。

 思わぬ収穫に、だらしなくにんまり。


「んで、魔王城ってのはどこにあるんだ?」

「北に向かって進めばいい」

「よしきた。北に全速力!」


 リモコンをいじると秘密基地は加速。

 そのスピードはレシプロ機に匹敵するスピード。

 

 小山とはいえ、う~☆ゲロゲロゴージャスの秘密基地は標高100メートル級の山。

 大きさ的にも形状的にもこんなものが猛スピードで飛ぶのは無理が生じる筈。

 にも拘らずそれができてしまうのだからう~☆ゲロゲロゴージャスの技術力と科学力は常軌を逸する。

 ――大魔女の二つ名は伊達じゃないな。


「おー! 見えてきた見えてきた」


 そうこうしてるうちに魔王城が見えてくると。う~☆ゲロゲロゴージャスはちびっ子みたいにはしゃぎだす。

 大魔女とか謳(うた)われてる割に子供っぽい。

 誇張とかじゃないよな?


「おいお前、おれっピに疑惑向けた?」

「なにも思っちゃいねーよ。ただ、う~☆ゲロゲロゴージャスを見てただけだ」 

「ホントか? おれっピは疑い眼でおめえを見るぜ。ギローーーーーーリ」


 う~☆ゲロゲロゴージャスのヤツ感づきやがった。

 意外と感が鋭い。

 はぐらかすも疑いの目を向けてる。

 俺は動揺して背中から嫌な汗が流れた。


 こりゃあまずいな。

 どうやって取り繕ったものか……。

 

 ◆


「お前が伝説の大魔女う~☆ゲロゲロゴージャスなのか?」

「おうよ! おれっピが伝説の大魔女う~☆ゲロゲロゴージャスだっピ」


 俺、御剣響夜。


 魔王城に到着すると。付近の空き地に秘密基地を着陸。

 秘密基地から出る。


 俺達が出て来るタイミングで、魔王城入り口から魔王福の神とその配下の者が出迎えてくれる。

 強い人材を仲間にできたと、――スキル・念話で福の神に伝えたからだ。

 スキル・念話は魔力によって自分以外の相手と交信する魔法である。


「上がってくれだぞぉ」 

「おう! じゃまするぜ」


 う~☆ゲロゲロゴージャスは遠慮もなく、ずかずかと魔王城に入って行く。

 魔王城内では、とうせん坊の時と同じく祝賀パーティーが準備されてた。

 福の神は祝い事が好きなのだろうと思うけど。

 ついこないだ盛大にパーティーを上げたばかりなのに、こんな豪勢なパーティーして魔王軍の財政は大丈夫なのだろうか。


 大赤字の財政難だったらどうしよう……。

 

「功労者の響夜を胴上げするんだぞぉ」 

「「「「はい、魔王様」」」」

「えっ!? ちょっとぉ!」


 10人程配下の人間が俺を取り囲むと。

 四の五の言わさず胴上げ。


「「「「わっしょい、わっしょい」」」」


 なすがままに胴上げされたが、悪い気はしない。

 それどころかプロ野球の優勝の際の監督にでもなったみたいで、むっちゃ気分いい。


「わっしょい! 響夜さんって見た目より重いな」

「だな! 胴上げ大変だ」


 胴上げ中に何人かが小声で愚痴をこぼす。


「……お前ら、聞こえてるぞ」

「「ギャ! すいません」」


 しかし、俺は悪口を聞き逃さない。

 すぐに指摘すると、そいつら顔を青くして謝る。


 新参者とはいえ俺は幹部。

 そんなヤツに睨まれては今後の立場が危ういとでも思ったのだろう。


「西川のおじちゃん、響夜にいちゃんの体重ってどのぐらいあるの?」

「たぶん18貫ぐらいだったと思うわ」


 部屋の片隅で、西川とよしふみくんが何やら俺の体重の話しているが。

 単位がわからん。


 俺ってホントに重いのかな。

 そういえば、西川にお姫様だっこしてもらった時に、重い重い、っとほざいてたが。

 今の体重はどのぐらいあるのだろうか?

 そのうち体重測定したほうがいいかも。


「交代せい」

「んぎゃあ!?」


 空中に放り投げられた瞬間、突然う~☆ゲロゲロゴージャスが突っ張りをしてくる。

 俺は弾かれ、バランスを崩す。

 放り投げる者達は受け止められず。

 結果、背中から床に体を打ち付けた。


「なにしやがる」


 背中を擦りながら立ち上がり、う~☆ゲロゲロゴージャスに詰め寄って文句を言うと、


「主役はおれっピだ。脇役はすっこんどれ」

「お前、胴上げされたいのか?」

「ったりめーだ」

「うわー。素直さんだ」


 自らの欲求を包み隠さず暴露。

 正直呆れた。

 

「う~☆ゲロゲロゴージャスを胴上げするんだぞぉ」 

「「「「はい、魔王様」」」」


 また、呆れてる間に福の神が胴上げするように指示。

 結果として俺は言い返すタイムングを失う。


「「「「わあああああああっ、」」」」


 う~☆ゲロゲロゴージャスを胴上げしようとするも、全然持ち上がらない。

 

 無理もない。

 ヤツは2メートルをはるかに超える巨体。

 それに比例して体重が重いのは明々白々だ。

 そんなヤツを胴上げするのは容易ではない。

 多分、胴上げは失敗するであろう。


「「「「しょい!!」」」」

「重すぎなんだよ!!」


 ついには手を放してしまう。

 う~☆ゲロゲロゴージャス勢いよく床に背中を打ち付ける。


 痛そうだが。ちょっぴりざまぁと思ったのは内緒だ。


「駄目だあ、重すぎる」

「っていうか、お前、起きろよ!」


 床に倒れてるう~☆ゲロゲロゴージャスをなおも胴上げしようとする魔王軍の皆さん。

 健気であったが。そこまでムキになってするものでもない。

 

 俺はう~☆ゲロゲロゴージャスに自分で起き上がるように言う。

 あの程度で気を失うようなヤツじゃないと思ったからだ。


「胴上げされたいんじゃあ!」

「まだ言ってるよこの人……」


 案の定う~☆ゲロゲロゴージャスはピンピンしてた。

 この期に及んでまだ駄々をこねる。


「いい加減諦めろ。お前は胴上げできん! 重すぎるからな」

「なんやとぉ!」

「おわっ!?」

 

 う~☆ゲロゲロゴージャス、起き上がると同時に文句を言う。

 そして俺の胸ぐらを掴み、そのまま軽々と持ち上げる。

 まるで高い高いされたみたいになる。

 

 高校生にもなって高い高いされるとは思っとらんかったよ。

 しかしまあ、あきれた馬鹿力だ。


「デブとはなんだ! デブとはっ!」

「んなこと言っとらんだろ!」 


 言ってもいないことを言った扱いされ。グイグイと胸ぐらを締め上げてゆく。

 今のう~☆ゲロゲロゴージャスは暴れ牛のそれと変わらん。

 こりゃあ何を言っても聞く耳持たずだな。


「く、くるしいっ! でも、気持ちいい……!」


 う~☆ゲロゲロゴージャス、両腕で俺の胴回りを抱き込み、絞り込むように締め付け、背骨から肋骨にかけてを圧迫する。

 ベアハッグだ!

 

 徐々に強くなっていく締め付けに焦るものの。

 大ボリュームの胸の圧力に抗えん。

 それは返せる力があっても返したくない状況。

 少しでも長くそのままでいたいと思う男の本能なのだ。


「こりゃあかんてっ! 助けてえええええええ」 


 あばら骨と背骨が軋む音に、マジでヤバいと焦るも。

 今の俺のパワーでは到底敵わない。

 

 楽しようとして制御不能な特大級の大ポカを蘇らせてしまった。

 どうしよう……。


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