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不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
魔王
42/64

第42話 これが新たなるビッチ合体の力……凄いエネルギーじゃねえか!?


「ダォリャアアアアアア!」


 俺、よしふみ響夜(きょうや)。

 御剣(みつるぎ) 響夜(きょうや)と加藤(かとう)よしふみがビッチ合体した戦士だ。


 合体後、俺はレンを下がらせてとうせん坊に肉弾戦にを仕掛ける。

 最初、西川以外(にしかわいがい)の相手と合体してだいじょうぶなのか不安だったけど。

 まったくもって問題なかった。


「どうしたどうした! お前の力はその程度か?」

「なんて力だ!?」


 その証拠にスキル技使わないでもとうせん坊を圧倒。

 腕組みした状態で、蹴り技でガンガン攻めている。

 早い話が舐めプね。


 ぶっちゃけ、両腕使わなくても勝てるかもしれん。

 まあ、余裕ぶっこいてるとヘマをやらかすからやめとこ。


「これでもくらえ!」

「貴様、なにをッ!?」


 蹴り技で浮き上がったとうせん坊の体を抱えると、勢いよくパワーボムをぶちかます。


「フグワアアアアアアアッ!」


 パワーボムをまともにくらったとうせん坊は地面にめり込む。

 俺はバックステップで距離をとって様子を見る。


 土の地面とはいえ、手ごたえは十分。

 相当なダメージだと思われる。

 今ので決まってればいいが。たぶん決まってないだろうな。


「ガ、ガハアッ!」

「手応えはあったんだけどやっぱり決まってなかったか……」

 

 案の定とうせん坊は倒せてなかった。

 ヤツは腕の力でめり込んだ頭を引き抜くと、息を切らしながら俺を睨み付けてくる。

 怖え……!


「怖いから速攻で沈めよ」


 さっさととうせん坊とおさらばしたいので。右腕を構え、とうせん坊に向かってダッシュする。


「次の一撃で決める!」

「こいつ、真正面から!」

「なんてね!」

「なッ!?」


 真っ向から挑むと見せかけて急転換。

 背後に回り込み、背中によじ登る。


「トドメだ!」


 背後から相手の後頭部に自分の片膝をあて、そのまま勢い良く前方に倒れこむ。


「グワァアアアアアッ!」


 とうせん坊、踏ん張ろうとしたが。俺の全体重を支えなかった。

 技は決まり、頭を地面に叩きつける。


「からの!」

「ゴッ!?」


 倒れてもなおも立ちあがろうとするとうせん坊に追撃のジャーマン・スープレックス。

 とうせん坊たまらずうつ伏せにダウン。


「もう一発!」

「!? !? !?」


 最後にダメ押し。

 ダウンしたとうせん坊の背中目掛けて全体重をかけたヒップドロップ。

 これで倒せたかな?


「くそぉ、くそぉ、くそぉ……!」


 とうせん坊は大ダメージを負ってなお戦う気だった。

 しかし、ついには肉体が限界に達し気を失う。

 この瞬間勝敗が決したのであった。


「勝ったぞ! 俺がナンバーワーン!」


 激闘の末に勝利。

 喜びからか。叫び右手人差し指を高々と挙げる動作を行う。

 ちょっとカッコつけて勝利宣言したった。


「ありゃ!?」

「おりょ!?」


 勝利宣言したのも束の間。ビッチ合体が時間切れ。

 合体が解除され、元の2人に戻る。


「もう30分経つのか……」

 

 意外と時間使ってたらしい。

 もうちょっと長引いてたら戦闘中に分離してたのか。

 想像するとゾッとする。


 驕り高ぶらんでよかったぁ。


 ◆


 さて。

 俺、御剣(みつるぎ) 響夜(きょうや)はとうせん坊を倒すと。縄でぐるぐる巻きにした。

 気を取り戻した際に暴れさせないためだ。


「《ヒール》!」


 また、とうせん坊に傷つけられた人達を治癒魔法で治してやる。


「あなた様はお釈迦様(しゃかさま)だ」

「いいや、観音様(かんのんさま)だ」


 怪我を治してやったら、なんかスッゲー崇められた。

 しかし、お釈迦様とか観音様とか持ち上げ過ぎな気がするが。でもまあ、悪い気はしない。


 なお、とうせん坊にも治癒魔法使ってやった。


「起きろとうせん坊!」


 横たわるとうせん坊に、桶(おけ)で水をぶっかけて目覚めさせる。


「今からお前のをどうするか決める。談判をはじめようじゃないか」


 ここからが本題。

 とうせん坊との直接交渉に入る。


「こんなヤツ、崖(がけ)に投げ捨てやるだぁよ!」

「「「「そおだぁ! そおだぁ!」」」」


 とうせん坊の被害を受けた村人達が勝手に話しを進めようとした。

 彼らはとうせんぼうに酷い目にあわされたのだから無理もない。


「勝手に決めるな! 決めるのは俺、御剣響夜だ」

「「「「むむむっ……」」」」


 だが、そうなるととうせん坊が殺されてしまう。

 なので俺は権利を主張。

 

 そうすると、村を救った英雄の言い分に村人は逆らるなんてできん。

 心ならずも従い、黙るのだった。


「とうせん坊よ、お前は悪くない」

「?」

「俺はお前が捻くれた原因を知っている。心無い者達に虐げられてきたから?」

「な、なぜそれをっ!?」 


 予想外の言葉にとうせん坊は驚き、動揺した。


 それというのも俺が昔ばなしの『とうせん坊』を本で読んだことがあるからだ。

 だからとうせん坊の精神状態を理解できた。


「自分を虐めた連中を見返してやりたかっただけなのだろう?」

「うっ……」


 俺の言葉にとうせん坊は激しく動揺。

 心が揺らいでる。

 こうなりゃこっちのもんだ。一気に畳みかける!


「今ならまだ間に合う。観音様から授かりしその力を世の中のために使ってくれないだろうか?」


 そう言って縄を解き、手を差し伸べる。

 ちょいと芝居がかっちまったが。上手くやれたと思う。

 俺って演技派だな。


「参りました。あなた様に従います……!」


 とうせん坊は俺の目の前で伏し拝み、忠誠を誓う。

 と同時に、とうせん坊の灰色の心に温(ぬく)もりが甦った瞬間でもあった。


「いいことをした。悪人を改心させれた」


 なんて思ったけれど。

 もしも相手がとうせん坊でなく太子(たこ)だったら、きっと荒波にでもぶち込んでたであろう。

 とうせん坊を味方につけたのも太子に復讐するため。


 世に『憎むな、殺すな、赦(ゆる)しましょう』という理念があるが。

 憎い者には復讐しようとか考えるあたり、やっぱし俺って性格破綻者なのかも……。


「響夜よくやったぞ。見事であった」


 自分の人格の歪み具合を疑問に思ってると。

 魔王・福の神が労をねぎらってくる。


「とうせん坊よ。今日からオマエは九大魔将軍の一員なんだぞぉ」

「?」


 俺に労をねぎらったのも束の間。

 今度はとうせん坊に


 しかしながら、福の神は一方的に話しを進めてる。

 とうせん坊は訳が分からずにポカンとしてる。

 

「福の神様、ここで詳しい話をするのもなんですから、一旦城に戻ってからにしません?」


 福の神は聞かれたらなんでもベラベラ喋ってしまうような性分。

 世界に仇なす存在とバレると不味いので、元の世界に帰るよう促す。


「それもそうだなぁ。よし! 帰るか」


 で、すぐさま帰還。

 長居するとボロが出そうだからな。


「それでは皆さんさようなら~」

 

 その際に俺はニッコリと微笑みながら愛想よく手を振る。

 思いっ切り愛想振りまいて好印象持たせる。

 再びこの異世界に来た際に俺達をいいヤツらだと思わせるためだ。

 我ながら打算的。


「村を救ってくれてありがとう」

「傷を治してくれてありがとう」


 しかしながら、行動の甲斐あってか村人達も手を振って見送り。口々に「ありがとう!」と言って別れを惜しむ。

 短い時間であったが、情が移ってしまった。

 悪人であるのを隠し、彼らを欺いてるのにちょっと罪悪感。


 ……まあ、それはともあれ。

 俺達は帰還するのであった。


 ◆


「魔王様、お待ちしておりました」 

「用意は万全にございます」 

「うむ! ご苦労であったぞぉ」 


 俺、御剣響夜。

 魔王城に帰ると。多くの配下達が丁重に魔王・福の神を出迎える。


 また、祝賀パーティーも準備されとる。

 おまけに『ようこそ魔王軍へ』とか『とうせん坊九大魔将軍』とか書かれた幟が吊るされてた。

 用意周到なのはいいが。もしも失敗してたらどうする気だった。残念パーティーでもする気だったのか?


「これからお前は魔王軍幹部なんだぞぉ」 

「断る」 

「なんだってぇ!?」


 とうせん坊を九大魔将軍の地位に就くのを拒否。

 福の神は驚き、その場の空気が凍りつく。


「おらぁ、御剣響夜様に従っただぁ。だから将軍にはならねぇ」

「響夜も九大魔将軍にしてやるんだぞぉ」


 福の神、幟の1つを指差す。

 確かに俺の魔将軍就任を祝う内容が書いてあったが、明らかに小さい。

 これでは刺身のつまみたいなもの。

 取ってつけたみたいなついで扱い。


「ムッ!」 

 

 内心ムカついてたよ。

 だけど文句言いたいのガマンして、眉をひそめるだけにしたよ。


「おらは御剣響夜様の下に就きてぇ」

「なら、響夜の一番の子分にしてもらうといいぞぉ」 

「ならいいだぁ」 


 福の神、とうせん坊の言い分を了承。

 意外と柔軟だな。


「ちょっと待ちなさい。響夜様の一番の子分はアタシよ!」 


 とうせん坊と福の神が握手し、丸く収まりそうな場面で。突然西川がしゃしゃり出る。

 空気読めんヤツだなぁ、おい!


「ならばおらが今日から一番の子分じゃ」

「あなたに譲るつもりはないわよ!」 

「なんじゃと!」

「なによ!」


 で、口論に発展。

 グダグダとなる。

 

「響夜にーちゃん、どうするの?」

「知らんわい」


 よしふみくんにどうするか問われる。

 

 慕ってくれるのは嬉しいが。正直言って、面倒ごとを押し付けないでほしい。

 そう思いながら俺はとうせん坊と西川の口論を静視するのだった。



よしふみ響夜のプロフィール(42話時点で) 


・身長184cm 

・体重97kg


 加藤よしふみと御剣響夜がビッチ合体した戦士。

 2人の体の相性は完璧(9段階評価で上の上)で。プラスアルファの上昇率だけを見た場合、カブレノ響夜を上回る。

 しかし、合体相手のポテンシャルでは加藤よしふみより徳川家光カブレノ豊臣側のが上のため、よしふみ響夜の総合力はカブレノ響夜と同じか、僅かに勝ってる程度。


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