第40話 魔王軍に入れる条件?
俺、御剣 響夜は魔王の部屋にて、魔王福の神と交渉中。
魔王軍に入れてもらうために自ら売り込み入る。
「おーい、酒持ってくるんだぞぉ」
そんな最中、魔王は配下の者を呼び、酒と肴を持ってこさせると一杯やり出す。
なお、出された酒は高そうな銘柄の赤ワイン。
しかし、和風のイメージの福の神がワイングラスで酒を嗜む姿はどうにも違和感。
はっきり言って似合わない。
日本酒飲んでるほうがよっぽど似合うぜ。
「飲むんだぞぉ」
「頂こう」
脳内でツッコミを入れてると魔王が酒を勧めてくる。
最初、毒でも盛られてるのでは、っと疑うも。
魔王が先に酒を飲んでたし。いざとなれば解毒魔法でなんとかなるので、俺はその誘いに乗り酒を口にする。
俺は未成年だから本来飲酒はダメなのだが。
この異世界では日本と異なり未成年者の飲酒は禁止されていないが、『何かあった際には自己責任で』という暗黙のルールになっている。
だから飲んだ。
「イケるなこれ」
「そうだろー。一級品だからな」
「そりゃあすげぇ」
「こんないい酒が飲めるのも。おれのせいだぞぉ、おれのせいだぞぉ」
酒を酌み交わす間、少々魔王の絡みがウザったいものがあったが。
話してみると、意外にも魔王は話のわかるヤツ。
また、俺を知ってて高く評価してくれた。
しかし――
「腐肉食の響夜の二つ名は伊達じゃないんだな」
「なんだと! それ、誰が広めた?」
「たしか、太子とかいう女だったぞぉ」
「あんにゃろう……!」
不名誉な『異名(二つ名)』が付けられてたと知る。
スカベンジャー扱いとかかっこ悪い。
確かにハイエナはスカベンジャーの代表格だけどさ。
また、それ以外にも『小賢しい響夜』とか『悪知恵の響夜』とか『屍肉食の響夜』とか
それを広めたのは太子だというのだから腸が煮え返る。
「お前は強そうだから仲間にしてもいいぞぉ」
「本当か!」
嫌な思いしたら、幸運が転がり込む。『塞翁が馬』だね。
お陰で怒りの感情を忘れさせてくれた。
「よろしく頼むんだぞぉ」
「あぁ、こちらこそよろしく頼む」
魔王が握手を求めらてきたので、それに応じる。
がっちりと握手をしていると――
「お待ちください福の神様」
どこからともなく待ったをかける者が。
そいつは黒髪ロングの和風美女だった。
凄い美女だ。
俺や太子に勝るとも劣らない類希な美貌の持ち主。
絶世の美女ってのは、きっとこういうヤツなんだろうな。
「どこの馬の骨とも知れぬ者を配下に加えるなど、どうかと思います」
「俺が馬の骨だとぉ!? おしとやかそうな見かけによらず失礼なヤツだな」
あの女、俺の評価を下げ始めやがった。
第一印象良かったのに、今ので株価大暴落だよ。
「魔王様、この人はいったい?」
「おう! 九大魔将軍のかぐや姫だぞぉ。おれの妻なんだぞぉ」
「つ、妻ぁ!?」
外見でこいつがかぐや姫なのは容易に想像できたが。
妻で幹部ってのはびっくり仰天。
ぶっちゃけ強そうには見えないが、人は見かけによらないってか?
「わたくしはこやつを配下に加えるのは反対です」
この女、余計なこと言いやがって。
このままでは、うんと言うものも言わなくなってしまう。
「俺は強いですよ。なんならお見せしましょうか?」
こちらも黙ってはいられない。
手放したくない有能な人材だとアピール。
俺の力を見せつけてようとした。
「ちょっと来なさい」
「え? なに?」
力を示そうとした矢先。
かぐや姫は俺の右手をいきなし引っ張りどこかに連れて行く。
◆
「あんた、どういうつもり?」
俺、御剣響夜は倉庫らしき部屋に連れてかれると。そこでかぐや姫に壁ドンされる。
なんだかよくわからないけど、かぐや姫はピリピリしてる感じ。
「お前、俺に惚れたか?」
「ふざけんじゃないわよ!!」
ちょっとふざけてみると、かぐや姫マジギレ。
冗談の通じない相手だ。
「あんたの魂胆は知れたことよ」
「魂胆って、魔王軍幹部の椅子か?」
「とぼけるんじゃないわよ! 福の神に色目使ったじゃない!」
かぐや姫は怒りをあらわに、いきなり俺の胸ぐらを掴む。
どうやらさっきさっきの悪ふざけでヒートアップしてしまったらしい。
怒りの炎に油を注いじまった。
「フンッ!」
「ぁあああああああ!!」
胸ぐらを締め上げてきたので、咄嗟に右手でアイアンクローの反撃。
正当防衛だ。
「嘘だろ? こいつ幹部なのにこんなに弱いのか?」
あっという間に組み伏せてしまった。
一応はかぐや姫は魔王軍幹部の肩書きを持つ者。なのにあの弱さとは。
ぶっちゃけ、看守のオーガのが強いんじゃね。
知謀による功績によって幹部の椅子を得たのか?
それとも見込み違い?
魔王軍の人選がどうなってんのかさっぱりわからん。
「誰か、誰か居らぬか!」
「あ、ヤベッ!」
自分の力でどうにかできないとわかると。かぐや姫は配下のモンスターを呼びやがった。
他力本願かて!
しかしこれはまずい。
今の状態では、誰がどう見ても暴行してると勘違いされる。
こんな状態見られたら言い逃れできんぞ。
「こうなりゃ《テレポート》!」
咄嗟の判断でかぐや姫ごとテレポートした。
◆
「うぉあっ!? えらい所に出てきてまった!」
俺、御剣響夜。
咄嗟にテレポートしたのものの。行き先を一切考えてなかった。
そのせいで魔王城の屋根の上に出てしまった。
それも一番高い所。
「うえー! 怖っ!」
そりゃあもう目もくらむような高さ。
足が震えてしまう。
「あんた、こんなことしてタダで済むと思ってるの!」
アイアンクローしたままのかぐや姫がジタバタ踠いてる。
こんな状況でも憎まれ口をたたけるとか、大した悪女だよ。
「ギャアギャアうるさい! こっから突き落とすぞ!」
「ヒイッ!」
あんまりかぐや姫が騒ぐもんだから、イラッとしてアイアンクロー掛けたまま宙ぶらりんにしたった。
「ま、待ちなさい! は、話せば分かる」
さっきまでの威張った態度はどこへやら。弱腰になり、諭し出す。
やっぱし命は惜しいのだろう。
「ちゃんと話し合いしてくれるか?」
「する! する!」
落ち着きを失って勢いよく首を縦に振るかぐや姫。
こうなると美女も台無しだな。
でもまあ、これでようやくまともな対話ができそうだ。
アイアンクローを解除し、瓦屋根に座らせる。
「それで、なんで俺をそんなに毛嫌いするんだ?」
「アンタが福の神に色目使ったからよ」
「だから、色目なんぞ使っとらんちゅーとろーが」
「本当?」
「本当だ」
「……わかったわ。認めようじゃないの」
かぐや姫の瞳を真剣な眼差しで見つめながら話しをすると。俺の疑いが晴れた。
「それで、福の神の側室の座を奪いにきたのではないと?」
「当たり前だ。俺は憎き太子に復讐するのが目的。そのためには悪に身を染めてもいい」
「疑ってすまなかったわね。でも、福の神に色仕掛けしたら容赦しないわよ」
「しないから! お前、魔王を溺愛しとるなぁ」
「そんなわけないでしょ! 誰があんな不細工」
「あら~ぁ」
どうやらかぐや姫は魔王の地位を利用して"寄生"しているだけで恋愛関係ではないらしい。
きっと類希な美貌を武器にして魔王をたぶらかしたんだろうな。
酷い悪女。
なんだか魔王が気の毒になってきた。
「まあ、魔王の妻だの側室だのになる気はないから安心してくれ。それにアンタにも従おうじゃないか」
「ふーん。いい心がけじゃない。今はその言葉を信じようじゃないの」
「ありがとう。ただし、見返りに俺をそれなりのポストに就かせてくだせえよ」
「考えとくわ」
「頼みますぜ、かぐや姫さん」
柄にもなく胡麻すり。
その甲斐あって便宜をはかって貰えそう。
正直、悪に堕ちるなど本来あってはならぬ行為だが。
それだけ魔王の力に賭けているのだ。
置き去りにした仲間達を救出するために。
憎き太子に復讐するために。
そのためには魔王軍と手を組んででも……。
「かぐや姫さん、そろそろ戻りますか?」
「そうね、そうしてちょうだい」
「わかりました。では《テレポート》!」
で、テレポートで魔王の部屋に戻る。
なんやかんやで かぐや姫と協力関係を結ぶ。
まあ、上っ面だけの協力関係だからあんまし信用してないけど……。
かぐや姫のプロフィール
・性別:女
・種族:月人
・血液型:不明
・年齢:19歳
・一人称 :わたくし
・身長:158センチ
・体重:42キロ
・スリーサイズ:B80/W59/H83
・好きな食べ物:高い物全般。
・嫌いな食べ物:安っぽい物全般。
・趣味:貢がせること、男をたぶらかすこと、豪華な装飾品で聞かざること、自分自身に酔うこと。
・性格:タカビーでプライドが高く、浪費家でわがまま。
・人物:類希な美貌の持ち主で、これぞ日本美女と呼ぶに相応しい外見。その類希な美貌を武器にして福の神の妻の座を得た。しかし、見た目の美しさとは正反対に中身は最悪な悪女。魔王福の神の妻ではあるが、愛情は全くなく、ただ利用してるだけ。悪賢いが、腕っぷしは大したものではなく、魔王軍幹部の中で最も弱いだろう。そのため、彼女は滅多に最前線には出てこない。




