第37話 ぼくのガールフレンドやねん
下校時間。
通学路。
ぼく、加藤よしふみはクラスメートのまさひろくんと忠義くんとひろゆきくんと下校してた。
「みんな、聞いてなぁ。ぼく、ガールフレンドができたねん」
相手はもちろん響夜にーちゃん。
かわいいガールフレンド自慢したくて、月曜日に学校行くのだ楽しみやった。
「嘘やろ」
「あぁ、嘘やな」
「嘘つきめ。お前みたいなのにガールフレンドなんてありえへん」
誰も信じてくれへん。
「なら、これはどうや。ぼく、ティラノサウルス飼っとるねん」
「お前、アホちゃうか」
「嘘言うならもっと頭使いや、頭ぁ」
「だな」
「「アハハハハハハッ」」
これも信じてくれへん。
みんなに笑われた。
みんな疑り深いやっちゃなぁ。
「嘘やない! ホントや!」
「なら、見せてみぃ」
「「そうや、そうや」」
「ええど。今家に居るから来るとええわ」
嘘つき呼ばわりされて頭に来た。
信じてくれへんから直接見せたる。
3人を家に連れて行く。
◆
「「バリボリバリボリ」」
俺、御剣 響夜は西川と一緒にシアタールームでせんべいかじりながらテレビを見てた。
なお、レンは1人でどっか行ってる。
しかしながら40インチオーバーの大画面で見るテレビ番組は大迫力。まるで映画館にでも行った気分になる。
ちなみに見てる番組はおか〇さんといっしょ。
この番組は安心して見れるので気に入ってる。
「響夜様、アタシうたのおにいさんになりたいわ」
「夢は寝て見ろ」
「響夜様ったらひどぉ~い」
西川がバカ言うから適当にあしらう。
あいつにまともに付き合ってたら疲れるからな。
「でも、ちびっこ達と遊ぶのは楽しそうだわ」
「まあ、確かにな。それは同感だ」
「それにうたのおにいさんになれたら、未亡人の熟女美人とお知り合いになれる機会も増えますしね♪」
「打算的だな、おい!?」
聞いてもいないことをベラベラ言うもんだから、こっちも反応してしまう。
俺ってツッコミ体質なの?
「これがぼくのガールフレンドです」
バカやってると、突然よしふみくんがシアタールームに入って来る。
後ろには同級生と思われる角刈りと丸刈りと五分刈りの男子3人。
俺を指差して何やらわからん発言をする。
リラックス状態で油断しきってたので、だらしない姿見られてしまった。
慌てて立ち上がるが、時すでに遅し。
恥ずかしい。
「このでっかい顔のオッサンがよしふみの彼女か」
「ちげーよ!」
五分刈りの男子が西川を指差してよしふみくんを揶揄う。
詳しい事情はわからんが。今ので何となく察しがついた。
「アタシは彼女じゃないわよ。アタシの名は西川 徳川家光カブレノ豊臣側。よしふみ様と響夜様の子分よ」
「え? 西川、なに?」
西川のフルネーム聞いてアタフタしてる。
無理もない。あいつの名前は長い。1回聞いただけで覚えるのは難しいだらう。
ぶっちゃけ俺も西川のフルネーム覚えられてないので、西川っとしか呼んでない。
「こっちがぼくのガールフレンドや」
よしふみくんが俺にウインクしてくる。
合わせろってか。
しゃあねえ。合わせるか。
「……俺がよしふみくんの彼女御剣響夜だ」
「男らしい声と名前ですね」
「そこんとこは指摘せんでくれ」
「すんません」
五分刈りが聞かれたくないこと聞くから黙らせた。
こういうのはしっかりしとかんといかんからな。
「か、かわいい……!」
角刈りが俺を見てうっとりしてる。
やっぱし俺って容姿に優れてんだな。
「いいやろ」
「よしふみ、羨まし過ぎるぞ!」
よしふみくんが自慢すると、角刈りは歯軋り。
よっぽど悔しかったのだろう。
まあ、俺が角刈りの立場なら、同じように悔しがってただろう。
美少女の彼女自慢とか男として許せん。
「獣耳少女ですか?」
「これはコスプレだ」
丸刈りが俺のブチハイエナ耳をチラッチラッ見ながらソワソワしとる。
こいつ動物好きか?
鬼の左手はミトンしてたから見られてないが。獣耳は隠してなかったから、しっかり見られてしまった。
こりゃあ、面倒事になりそう。今度から頭巾でも被って隠すとしよう。
とはいえ、なっちまったものはしょうがないので。どうにかするまで。
見ず知らずのヤツに真実を語る義理はないから適当にあしらうとしよ。
「これがコスプレですか。精巧にできてますね」
「凝り性だからな」
「触ってもいいですか?」
「……まあいいだろう」
物凄い真剣な眼差しを向けるもんだから、つい了承してしまった。
熱心に頼むヤツを断るの苦手なんだよ。
とはいえ、約束したからには守らねばならぬ。
男に二言は許されぬのだ。
俺の肉体は女だが、心は男のつもりでいる。だから約束は破れん。
この耳がホントにくっついてるのがバレないといいが……。
「ほれ、触れよ」
丸刈りを筆頭に、他の2人もよしふみくんと同じぐらいの背丈。
だから、俺のが少し背が高い。
丸刈りの身長にあわせて少し屈む。
「おおー! すげー!」
丸刈りは俺の耳をわしゃわしゃしだす。
なんか嫌な予感。
「うおー! モフモフー!」
嫌な予感は的中。
丸刈りは興奮して、俺のハイエナ耳に頬ずりしはじめた。
こいつ、モフモフマニアか!?
「ひろゆきくん、ぼくのガールフレンドになにする! やめろ!」
「いやだ!」
よしふみくんが丸刈りを羽交い絞めにして引き離そうとするが。
丸刈り、これを断固拒否。
よしふみくんを跳ね除ける。
「ぼくの力だけでは無理だ。まさひろくんと忠義くんも手伝って」
「お、おう」
「そうやな。今のひろゆきはキモいからな」
で、3人掛かりで丸刈りを引っ張る。
「ふぬぬっ!」
「執着し過ぎだぞ、このバカ!」
「そうだぞ、羨ましいことしやがって!」
角刈りが聞き捨てならない発言をする。
身の危険を感じるも。それは男として仕方のない本能。
ここは見逃してやるか。
「痛ででッ! 耳がもげる!」
丸刈りを引き離そうとしてくれるよしふみくん達だが。
丸刈りは引き離されまいと俺の耳を力一杯掴む。
そんなんだから痛くて堪らん。
「いい加減にしろ!」
「ブフッ!?」
ついには我慢の限界に達し、丸刈りの頬にぶん殴る。
「あ、ヤベッ! 《ヒール》!」
右ストレートをモロにくらった丸刈りはダウン。
頬は腫れ、白目で失神しとる。
パワーアップしたの忘れてやり過ぎてしまった。
こりゃあいかんと、慌てて治癒魔法発動して怪我を治す。
「……あれ、全然痛くない。どうなってるねん!?」
ぶん殴られて気絶した丸刈り。
とはいえ、ダメージの程度は低い。なので治癒魔法1発で完全回復。
っと同時に意識も取り戻す。
「……今のって、魔法?」
「まあ、そんなとこかな」
「響夜さんは魔法少女だったんですね」
「魔法は使えるが魔法少女ではないぞ」
五分刈りに魔法を見抜かれてしまった。
意外と鋭い。
しかし、角刈りは思い違いをしている。
「魔法少女に変身してください」
「できんから」
「じゃあ、コスプレでもいいから」
「己は魔法少女マニアかて!」
「うん!」
「認めやがったよこいつ!?」
角刈りの大胆カミングアウトに俺はビックリ。
「「「うわぁ……」」」
よしふみくん達もドン引きしとる。
小学生のセンスでもこれはキツイらしい。
「お願いします! どうか魔法少女姿を一目でもいいから見せてください!」
「土下座して頼むな! プライドはないんかい」
「目的達成のためならプライドなんていくらでも捨てます!」
「言ってる内容は立派だ。だが、目的が目的だからまるで締まらんな」
だんだん角刈りの将来が心配になる。
もしかしたら既に手遅れかもしれん。
「一生のお願いです!」
「こんなのに一生のお願い使っちゃうの!?」
すごい誠意を見せて来たよ。
ヤツの覚悟は紛れもなく本物だ。
これを裏切っては男が廃る。
「……今は衣装がないから、また今度な」
「ありがとうございます!! この御恩は一生忘れません」
「大袈裟だなぁ」
少々呆れたが。
了承すると角刈りは床にめり込むぐらい深くひざまずいて手をつき、額を下に付けて礼をした。
その顔は嬉し泣きし、満足したものだった。
これで魔法少女の衣装作る羽目になった。
とはいえ、俺はミシン縫いも手縫いも得意なので作ること自体は問題とならない。
問題はどんな風に仕上げるか。
センスが試されるな。
◆
「それではお披露目や。これがジャイアンザウルスでーす!」
加藤家の庭。
よしふみくんが仕切ってる。
俺、御剣響夜をはじめ、シアタールームに居た6人は庭に移動。
それというのも、よしふみくんが自分の契約獣であるティラノサウルスを見せびらかすためだ。
本来はここでとめるべきだが。
今の俺はやけっぱち状態。
魔法がバレてしまい、少なからず異世界の秘密を喋る羽目に。
このような出来事があった後ではどうでもよくなってたので黙認した。
「現れろジャイアンザウルス!」
よしふみくんがズボンのポケットから契約の魔石を取り出すと、それを地面に叩きつける。
契約の魔石はバリーンと割れ、ティラノサウルスが姿を現す。
「す、すげぇ!?」
「「でたぁ!? こわーい」」
目の前に現れたティラノサウルスの迫力に五分刈りは驚きの声を上げ、縮み上がり。
他の2人は恐怖で失神。
「ドヤ!」
驚きのあまり静かになってる友達を前によしふみくんは胸を張ってた。




