第29話 合体が解除されたぞ!?
このお話で重要キャラクターの1人が死にます。
西川と合体してカブレノ響夜となった俺、御剣響夜。
城の謁見の間にて4人の勇者と戦い、2人を倒したが。
そんな最中に宿敵である太子が現れてしまう。
で、否応なしに戦う流れに。
「だぁああああああっ!!」
「こ……これは……!?」
俺は忍者刀を収納魔法でしまい。壮絶なラッシュ攻撃を太子に仕掛けてる。
速攻で決着をつけねば。
猛攻に太子は防戦一方。
しかしガードは固い。
善戦しとるものの。今のところ有効打となる攻撃を当たってない。
「おりゃおりゃあああああああ!」
おごり高ぶってるヤツの性格から、こうして攻め続ければ必ずチャンスが生まれるはず。
今はそのチャンスを待つのみ。
ラッシュ攻撃を続ける。
「今、必殺のおおおおっ!!」
「ンッ!?」
――ラッシュ攻撃の中、太子の見せた一瞬の隙を俺は見逃さなかった。
その一瞬の隙を突き、強烈な回し蹴りを横っ腹にぶちかます。
蹴りをまともにくらった太子は勢いよく吹き飛び、壁に直撃。
壁をぶち破る――
そして、壁がガタンと崩れて倒れた太子の上に落ちた。
「我ながらすごい力……」
自分の力ながらにわかに信じ難い。
異世界チートキャラの太子を相手に優位に立ってるの。
今までこんな経験なかったから素直に驚いたよ。
ホコリが舞い散ってて様子がわからないけど。
さっきの攻撃で因縁の対決に終止符を打てただろうか?
◆
「道がわからない! ここはどこだっちゅーの?」
響夜くんが太子と激闘を繰り広げていましたが。
一方、そのころサーキちゃんは城の中で迷子になってた。
「誰だよ、あいつについて行けば最短で王に会えるって言ったヤツは?」
「知らないよ!」
「お前がついて行くって言っただろうが!」
「言ってない!」
「嘘つけ!」
「嘘なんて言うか!」
「こんなことならついて行くんじゃなかった」
「違いねぇ……」
サーキちゃんが城内に詳しいと思ってついてきた美青年307名は大後悔。
責任を押し付け合い。
罵り合ってた。
「こっちだ!」
また当てずっぽうで突き進むサーキちゃん。
彼女はまだまだ彷徨うことになりそうです。
◆
「さっきはよくもやってくれたな!」
――俺、カブレノ響夜。
太子は凄まじい猛攻を繰り出してる。
結果、攻防が逆転。
押し戻されちゃったよ。
「死ねッ! 死ねッ! 死ねーーーーッ!」
「なんてパワーなんだよ!? 今までと比べ物にならん」
強烈な一撃を決めるも。太子は倒れてなかった。
やっぱしそう簡単にやられるヤツではないか。
現在、太子はブチ切れ状態。
怒りに任せてメチャクチャ攻撃してくる。
正直凄く強い。
アイツ実力を隠してやがった。
つくづくしたたかな女だわ。
「来るな! 来るなッ!」
いつもよりは余裕があるものの。
押されてるのに変わりなく。
なんとか攻撃をさばいてる状態。
この状況をどうしたものか。
「力の差を思い知らせてくれる!」
「ングッ!?」
不意に急接近すると、胸ぐらを掴みかかってくる。
柔道技でも繰り出すつもりみたいだが。これは好都合――
なぜなら、合体した今の俺の身長は2メートル近い。
体格で勝る状態。力比べならなんとかなるかも。
「力比べじゃ!」
「ぬぅ!」
足で踏ん張り、パワーにパワーで対抗。
相撲の要領で力強く組み合う。
太子もその挑発に乗り力比べ。
お互いの足場が軋み、床がひび割れてく。
「これでもくらえ!」
「だりぁあああああああ!」
「ングッ!?」
互角の力比べをする中で太子は大外刈を仕掛けようとする。
――ならば柔道技には柔道技で対抗。
俺は太子を前に崩し、真後ろに身を捨てつつ、釣り手側の足裏を相手の腹部または、腿の付け根に当てて、押し上げるように真後ろに投げる。
巴投だ!
「なっ!?」
技をもろにくらった太子は目を白黒させてる。
たぶん、今までまともに攻撃をくらうことがなかったのだろう。
強者らしく『負けの経験は乏しい』ってところか。
全くもってあいつらしいぜ。
「次はコレとコレだ!」
「ッ!?」
間髪を容れず一本背負い。
続けてパイルドライバーをぶちかます。
どちらの技もまともに決まり、太子はダウン。
まだ戦闘不能状態にはなってはいないが。結構なダメージとなって悶絶してる。
ちょっといい気味。
基本的、格闘技の心得のない俺だけど。柔道技もプロレス技も使いこなせとる。
これは合体して身体能力が上がってるのが大きいが。漫画などを参考にしてるので、なんとか使えた。
漫画様様ね。
「敗北の味を知らなかったのがお前の敗因だ!!」
俺はトドメを刺すために大ジャンプ。
落下の勢いを乗せて強烈なラ〇ダーキックを決めようとした――
「ありゃあ!?」
ところが落下中に突然合体が解除。
元の2人に分離して、俺は4人の王の目の前に。
西川は盾使いの上に落っこちる。
「きゃあ!?」
「い!」
俺は何とか受け身を取れたが。
何も知らずに分離された西川は受け身が取れなかった。
尻から落っこち。それがヒップドロップとなる。
「ごめんなさい。上に落っこちちゃったわ」
「貴様ぁ……!」
「怒っちゃやーよ」
盾使いの上に落ちたのでダメージは軽減できたものの。
クッションにされた盾使いは怒り顔。
そりゃあ、尻に敷かれたのだから無理もない。
西川はオドオドしながらも盾使いから退くと。
現状把握のために周りをキョロキョロ見渡す。
あの様子だと、何が何だか分からないといったところか。
「とりあえず、ステータス魔法で調べっか」
だが、それは俺も同じ。
原因を解明すべく、スキルを調べ直す。
「なになに……時間制限!?」
調べてみるとビッチ合体は合体していられる時間は30分だと判明。
「クールタイムも長い! 30分もかよ」
分離した後は再びビッチ合体するまで30分を要するとか詰んどる。
よく調べてなかった俺が悪いのだが。
大幅にパワーアップできるスキルに胡坐をかくとか俺のバカァ!
「ヤバいぞ! 最大の強敵相手に30分も持ち堪えろって無理ゲーじゃん」
余裕がなくなり、感情をむき出し状態。
周りが見えなくなる。
精神的に脆いな俺。
「そうか、その合体は30分できないのか」
「あ、ヤベッ!」
気が動転して全部口に出してた。
太子の口元がニヤリと緩む。
あれは勝ったと確信した顔だ。
何もかもが悪い方向に向かっとる。
「こうなりゃ、あの手でいくか」
起死回生の手段として俺がしたのは――
「これが目に入らぬか! ちょっとでも変な真似してみろ。アカイ王の首が吹っ飛ぶぞ」
俺はダッシュでアカイ王の背後に回ると。
忍者刀をアカイ王の首に向ける。
毎度のことながら、困った時の人質作戦。
またこのパターンかよ!
「こいつ、王様を人質に!」
「卑怯者め」
セコくて悪い作戦を盾使いと剣使いが非難してくる。
心ならずもやってることだが。俺だって好きでやってる訳ではない。
生き残るために仕方なしにやってるのだ。
「なんとでも言ってろ! 人質がどうなっても知らんぞ」
「「クッ!」」
手出しできない悔しさから歯軋り。
2人共、俺との戦闘で折ったダメージからまともに動けない。今の状態では助けられないと悟ったのだろう。
しっかし、ビッチ合体はしてた時は正々堂々をモットーとしてたのに。合体が解除された途端に卑怯な戦法が使えるようになった。
大なり小なり合体が心境の変化となるのか。
「俺達は関係ないぞ!」
「そうだ!」
「逃げるけど、悪く思うなよ」
「薄情者!」
アカイ王を人質に取る最中。一緒にいた他の3人の王は逃げようとする。
王とはいっても所詮は人間。
我が身可愛さにアカイ王を見捨てた。
一方、見捨てられたアカイ王は他の3人の王を罵った。
「太子よ、俺と西川が城から出るまで一切手出しするんじゃ――」
「《インフェルノ》ッ!」
俺が言い終わる前に太子が巨大な炎を放つ。
あれは最高位の炎の魔法だ。
あいつ、いつの間に上級魔法なんて習得した!?
「「ドワアアアアアアアア!」」
「「「チョ……!!」」」
巨大な炎は俺とアカイ王。果ては他の3人の王も巻き込み、一瞬で灰にした。
――俺は死んでしまった。
「響夜様ぁああああああああ! 響夜様が死んじゃったわぁ」
西川の嘆きの声がこだまする。
本気で泣いてくれてる。
迫害や裏切りで人間不信に陥ってたが。
俺って慕われてたんだな。
もしも人生がもう一度あるなら西川を大切にしてやろう。
――しかし不思議なことに死んだのに意識がある。
俺は幽霊にでもなったのか?
もしそうだとしたら怨霊か悪霊のどっちかだな。
まあ、どっちも嫌だが……。
『――《蘇らせた兵士なのだ》』
突然、頭にそのスキル名が浮かび、口にしてた。
「ありゃりゃ」
するとどうであろうか。
スキルが発動され、塵にされた俺と4人の王の体は完全復活。
文字通り――生き返ったのだ。
驚きである。
「響夜様が生き返ったわぁああああああああ!」
西川は俺が生き返ったのを泣いて喜んだ。
悲しくても泣いて、嬉しくても泣くとか、涙もろいヤツだ。
でもまあ、悪い気はしない。
「我は死んだ筈……?」
「勇者太子に殺されたと思ったが」
「確かに殺された筈」
「だが、我らは生きておる。何がどうなってるのじゃ?」
死んで即座に生き返ったのに4人の王も驚き、困惑してるご様子。
まあ、そりゃあそうだわな。
「「あー……」」
盾使いと剣使いは口あんぐり。
固まっとる。
でもまあ、燃え尽きて灰になった人間が蘇ったんだから、思考が停止するのも無理はない。
「!? なん、だと……」
だが、最も驚いてるのは誰であろう太子であった。
激しく動揺してるみたいだけど。
無理もない。なにせ殺した相手が瞬く間に生き返ったのだから。
このような状況となっては、必然的に戦いは仕切り直し。
第2ラウンドに突入するのであった。
スキル《蘇らせた兵士なのだ》について
・自信を含め、死者を生き返らせるスキル。
・人間、モンスター、種族問わず蘇生可能。
・蘇生させるには蘇生させたい者の亡骸 (体の一部) から蘇生させるため、何も無しに蘇生させることは不可 (ただし、一片の破片 (それこそ、燃えて灰になってても) さえあれば蘇生できる)
・死後どれだけ時間が経過してても蘇生可 (それこそ、1憶年前の化石からでも蘇生できます)
・寿命(自然死)で死んだ者は蘇生不可。蘇生できるのは戦死・病死など何らかの原因で間接的に寿命が縮めてしまった者のみ。
・同じ相手を複数回蘇生させることは不可。もう一度スキルを使っても生き返ることはできない。
・クールタイムは0秒。MPが続く限り連発使用もできる。
・発動者が強く祈った場合、想いの強さに比例して蘇生者のステータスが生前よりパワーアップする。
・使用すると“自然の摂理を捻じ曲げる”力が全異世界に何らかの形で悪影響を及ぼす。




