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不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
美青年達暴徒と化す
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第27話 ビッチ合体

今回のお話で響夜くんは合体します。


 俺、御剣響夜(みつるぎきょうや)は現在謁見の間にて4人の勇者と戦っている。

 敵対する者と出会えば戦いになるのは必然。

 こうなることは何となくわかってた。


「ひいー死ぬぅ!!」


 だが、あいつらは俺に4人がかりで襲い掛かってきやがる。

 収納魔法で収納してあった細剣を出して応戦するも防戦一方。

 動きにくいドレスなんぞ着て戦ってるからムッチャ押されている。


「てめえら、か弱い少女1人相手に大の女が4人揃って掛かってくるとか卑怯だぞ!」

「……か弱い少女?」

「どの口が言う」

「極悪人の言葉に聞く耳などない」


 泣き落とししてみるが、ヤツら攻撃の手を少しも緩めない。

 一度敵だと認識した相手の言葉は全く聞き入れずってか。

 やっぱし俺を悪だと頭から決めつけてる連中に泣き落としは通用せんよな。


 部屋の隅にいるアカイ王を人質にしようかとも考えたが、勇者達の攻撃が凄まじいてアカイ王に近づく隙がねえ。

 早々に手詰まりかて。

 どないしよ……。


「うへー、ボロボロだ」


 4人の猛攻に細剣はあっという間に刃毀(はこぼ)れ。

 並みの剣でヤツらの高級な装備品とやり合えばこうなるのも当然か。


「折れた!?」


 ついには細剣が真ん中から折れてしまう。

 絶体絶命のピンチ。

 これで終わりかと思われたその時である――


「皆の衆、響夜姫様に加勢するぞ!」

「「「「おう!」」」」


 将棋倒しになってた美青年達が起き上がって、謁見の間なだれ込む。

 俺は先頭で倒れたのですぐに立ち上がれたが。後ろにいた彼らは密集してたためもみくちゃ状態。

 結果として崩れた体勢を立て直す時間がかかったのだ。


「「「「突撃いいいいいいいっ!!」」」」


 俺を守るために暴徒と化す。


「「「!?」」」

「なんのっ!」


 突然の介入者に勇者達は出遅れ。

 防御力に優れてる盾使い以外の勇者は美青年達の攻撃をまともに食らう。

 盾使い以外の3人は防ぐの苦手なのか?


「すげぇ……。槍使いの顔面に回し蹴り食らわしたぞ……」


 しかし、美青年達の戦いっぷりには恐れ入る。

 女相手に容赦ない。ガンガン攻め込む。

 

 それは男女平等主義の俺でさえ引くレベル。

 悪い意味ですげぇヤツらだよ。


 とは言え、彼らの戦う姿は勇敢そのもの。

 死を恐れず敵中に飛び込む彼らは、まさに『理想的な兵士』だな。


「おりゃあぁ!」

「このォ!」


 そうこう思ってる間に戦闘は激しくなっていく。


 最初、50対4の戦いに押されてた勇者達だが。単純な戦闘力では4人の勇者のが上。

 徐々に押し返してゆく。


「イケメンだからって、私の顔を傷つけたからには容赦しないですぞ!!」 


 ――特に顔面を蹴られた槍使いはマジギレ。

 逆上して暴れるもんだから、ヤツに向かっていった犠牲者が1番多い。

 

 確かに槍使いの言うように、彼女の右頬に痣ができてる。 

 顔は女の命と言われているが。槍使いもその口(くち)か。

 あいつ顔面偏差値高いからその傾向が強いのかも。


 自意識過剰だな。

 まあ、槍使いのチャンネーは美女なのは認めるが。


「グハッ!!」 

「グエッ!?」


 ケンカするのに頭数ほど頼もしいもんはねえものの。圧倒的な力の差があるとどうしようもないな。

 やっぱし強者が相手では、数だけが頼りのヤツらではどうにもならんか。


「……もういい。でしゃばるなまぬけ!!」


 1人、また1人と仲間が散ってゆくさまに業を煮やした俺は再び最前線に立つ。


「もういい。これ以上きさまらのぶざまな戦いぶりは見たくない」


 下心持って接近してきたけど、俺を慕ってくれる仲間。

 そんな仲間が倒される姿は見るに堪えない。

 だからヤツらを守るために前に出たのだ。


 それが俺の奮い立った理由――


 まあ、30人以上犠牲になってから行動しても遅い気がするけど。

 それもこれも我が身可愛さ故。

 ビビっちまったのだ。


「響夜姫様が出る幕ではございませんよ」

「そうです。ここは我々にお任せください」


 などと止められる。

 そして勇者達に向かってく美青年達。

 気持ちは嬉しいが、こいつら放っておくと全滅しかねん。


 事実、今も1人、また1人と仲間が散ってゆく。


「あんなヤツら俺が蹴散らしてやるから、お前らは下がってろ」

「「「「しかし」」」」


 などと促すも、もちろん口先だけのハッタリ。

 俺1人の力でどうにかなる相手ではない。

 ――けれども仲間を救いたいという気持ちに嘘偽りはない。

 

「いいから退け!!」

「「「「響夜姫様……」」」」


 ごねる美青年達に一喝。

 すると察してくれたのか、美青年達は駆け足で謁見の間から出て行く。


「僕達を蹴散らす?」

「できるわけないじゃん」

「どうせ口先だけに決まってる」

「ですな」


 一方、勇者達は俺のハッタリを鼻で笑いやがった。

 ヤツら好き放題言いやがって。ムカつく。


「あんにゃろう! なめやがって。後悔させてやる」

「ならやってもらおうじゃないか」

「やったろうじゃないの!」


 売り言葉に買い言葉。

 俺は怒りにまかせて拳を振り上げて向かっていき――


「グハッ!!」


 盾使いの腹パンをもろに食らう。


「ゴフッ! って、なんじゃこりゃあ!?」


 盾使いの強烈な一撃に俺は吐血した。

 吐血したことにも驚いた。だが、1番驚いたのは――


「緑色だ……」


 吐血した血の色が緑色だったことだ。

 どうなってんだよ俺の体。

 融合した少女は何者なんだ?


「……今考えるこっちゃねえな」

 

 目的がちょいと横道にそれるが。すぐに本来の目的を思い出し、軌道修正。

 危ない危ない。


「来い西川(にしかわ)!」 

「は~い!」 


 案の定1人では到底勝ち目がないと早々に思い知らされたので、俺は西川を呼び出す。

 ――奥の手を使うために。


「国民的アイドル、白馬の忍者さん徳川家光(とくがわけひかり)カブレノ豊臣側(とよとみがわ)ただいま惨状。キャー、カッコイイー! しびれるう」 

 

 バイコーンに乗って勇ましく現れるが。

 カッコつけすぎだ。やり過ぎて逆にダサく見える。


「親兵衛(しんべえ)くんご苦労様。ちょっと休んでて」


 バイコーンから降りると、契約の魔石に戻し懐にしまう。

 てか、バイコーンの名前親兵衛にしたのか。


 あのバイコーンの性別雌だったが、たぶん性別分かってないんだろうな。

 でも今言うと面倒臭くなりそうだから黙っとこ。


「で、なんか用か?」


 西川は普段は俺に敬語で会話するのだが、時々砕けた口調になるんだよな。

 

 まあ、それはともかく。

 奥の手を実行せねば。


「西川、俺と合体しろ」

「お断りします。響夜様はアタシの好みの女性じゃないから」

「性的に合体するんじゃねえよ!! 釣り〇カ日誌的合体想像すな!」


 意思疎通が上手く通じとらん。

 これではコントもいいところ。

 ああ、情けない。


「何やってるの?」

「これでは漫才だな」

「こいつらは我々をおちょくってる」

「ですな」


 俺と西川のやり取りは勇者達の怒りの炎に油を注ぐ結果になる。

 4人の勇者の怒り顔 (特に槍使い) 見て小便チビリそうになった。


「合体って言ってるけど、合体ってのがよくわかんないのよね」

「合体ってのはロボットアニメとかで……見たことねぇよな……」


 戦国時代からやって来たようなヤツにロボットアニメ説明するだけムダというもの。

 どう説明したら理解してくれるか。


「「「「覚悟!」」」」

「ヤべッ!?」


 そうこうやってる間に4人の勇者が一斉に襲い掛かってくる。



「いいから合体だ! 《ビッチ合体》ッ!」

「ちょっ!? 何するの!」


 四の五の言わさずに強制的に合体スキルを発動。

 このスキルは――大魔女う~☆ゲロゲロゴージャスが残した魔導書に記されてたもの。

 魔道具室で発見したので速攻で習得した。

 このような自らが編み出したスキルを後世に残してくれてくれるとか、大魔女の異名は伊達じゃねえな。

 

 感謝しますう~☆ゲロゲロゴージャス。


「体が曲がってはいけない方向に曲がってくっ!?」


 西川がギャーギャー騒いでる。

 無理もない。人間の関節の構造的に曲がらない方向に勝手に曲がってくのだから。

 これには俺も驚いてる。脳内情報量がオーバーフローして理解が追いつかん。

 

 それを例えるなら『立体パズルを組み替えるごとく部品単位で組み替える』と言ったところ。

 変形ロボットにでもなったみたいだ。


 とか説明してる間に俺達はロボットが合体するかのごとく上半身と下半身に変形してゆく。

 そして上下に合体。


 合体に要した時間は18秒ぐらいの短い時間だったけど。脳内時間はそれ以上に感じた。


「完成! カブレノ響夜」


 名前は合体完了時に頭の中に自然と浮かんできた。

 互いの名前くっつけただけの安直な名前だ。

 でもまあ覚えやすいから良しとしよ。


「「「「あっはっはっはっはっはっは!!」」」」


 合体が完了した俺を見るなり4人の勇者は大笑い。

 

「何がおかしい」

「はっはっは。あいつわからないらしい」

「ですな。プークスクス」

「くすくす。ジュンコ、教えてやりなよ」

「あははは。そうだな。《ミラーシールド》」

「んなっ!?」


 盾使いの大盾が鏡状に変化。俺の姿が映し出される。

 その姿に驚愕。

 なんと、股間に俺の首がついているのだ。

 嫌でも気になってしまう。

 これじゃあ『歩く18禁』もいいところ。冗談抜きでダサ過ぎ。

 う~☆ゲロゲロゴージャスは何でこんなスキル編み出した!?


 てか、上下に合体するのに下半身になった方に意識あるのか。

 どうにも型破りな合体だな。

 う~☆ゲロゲロゴージャスを感謝したのを後悔したぞ。


「「「「あっはっはっはっはっはっは!!」」」」

「おめえら笑い過ぎだぞ」


 とは愚痴るものの。

 このへんちくりんな合体に勇者達は腹抱えてゲラゲラ笑うもんだから隙だらけ。

 腹筋崩壊するぐらい笑ってる。

 不愉快だ!


「……だがまあ、結果的に時間稼ぎぐらいにはなったと解釈できなくもないな」


 立ち尽くしながらそんなこと思った。

 

 この時、不意打ちを仕掛けようと思えばできたのに、なぜかやる気になれなかった。

 なんでだろう?


 まあ、なにはともあれ。勇者達の笑いが収まるまで戦いは仕切り直しとなった。


ビッチ合体について


 ・上半身と下半身に変形して合体する。

 ・合体後の戦闘力は基本的、合体する2人の合計×4倍。

 ・隠し要素に合体する2人の体の相性 (性の相性) 補正が存在し、相性が良いと戦闘力がプラスアルファで上げる (冗談でないくらい上がる)

 ・逆に相性が悪いとプラスアルファが得られないばかりか、基本数値の4倍をも下回ることも。

 ・タイムリミットは30分。

 ・クールタイムも30分。

 ・合体するためには合体する2人のどちらかがビッチ合体のスキルを習得してなければならない。

 ・合体する2人の身長差が倍以上ある場合合体できない。

 ・合体すると意思の支配権はメイン (下半身) となった者のみとなる。サブとなった者の意思はなくなる。

 ・ただし、メインとなった者が失神した場合は主導権がサブに移る。

 ・名前はそれぞれつなげただけ (上半身になった者・下半身になった者の順である)

 ・ビッチ合体の名前の由来は、スキルを持ってれば誰とでも合体できるから。

 ・合体するパートナーが合体を激しく拒絶した場合は合体できなくなる。

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