第26話 強敵登場。ドッカーン!
「なんでこうなるんだよ!?」
「オレに聞くな」
――魔王の本拠地に攻め込んでた太子の4人の仲間ですが。
城の一大事と知らされて引き返す羽目に。
盾使い盾子がテレポートで城の前に出てきますが。
駆けつけて早々に盾子とレンが仲間割れ。
それというのも4人の勇者の仲はとにかく悪い。
太子の統率力で一丸となってるに過ぎないのです。
つまり、太子がいなければ仲間意識は皆無と言っていい。
「仲間割れしてる場合ではありません。敵を殲滅するのが先決です」
「イツキの言う通りですぞ」
盾子とレンを窘める弓使いイツキ。
それに賛同する槍使い槍子。
イツキは4人の勇者の中では比較的まともな常識を持ち合わせ持つ。
あくまでも、4人の勇者の中では、だが……。
「我々の力で首謀者を殺しましょう」
「「「おう!」」」
「それでは例の場所に――」
で、城に突入する4人の勇者。
イツキには何やら思惑があるらしい。
◆
「うへー、見るも無残な惨劇」
「だな」
俺、御剣響夜は、西川にお姫様だっこしてもらい、バイコーンに乗馬すると城に突入。
だが、城の中は死体が所狭しと転がっており、戦いの激しさを物語る。
その戦いの激しさに俺達は身の毛がよだつ。
我ながらとんでもないことをやらかした気がしたけど。
もう取り返しがつかんなこりゃあ。
「ともかく突き進め!」
「わかりましたわ響夜様」
理由はわからんが、突然何かが吹っ切れた。
痛みをビビらずに『アカイ王を倒す』っと、決心。
バイコーンを加速させる。
後悔の終わりはいつも昨日のはず。
……だよね?
「響夜姫様……響夜姫様だぁー!!」
「ホントだ!」
「我々の戦いっぷりを見に来てくれたんだ!」
頭をモヤモヤさせながらもバイコーンを走らせると。美青年達のグループ1つと遭遇。
俺の顔を見ると、彼らはぞろぞろとこっちに寄って来る。
ボルテージもあがった。
んだが、人数が50人居るもんだから、騒ぎ出すとやかましいな。
「あっ! 西川、てめえ何してやがる」
「何って、何?」
「とぼけるな! なんでてめえが響夜姫様をお姫様だっこしてやがる」
「あー……これね」
最初は西川本気でわかんなかったみたいだが。追及されてくと何となく察した。
「別に好きでやってるんじゃないわ。響夜様に命令されたからやってるだけよ」
「「「「な……なんだってー!?」」」」
西川の言い分に美青年達はこれ以上ないぐらいの驚きの声を上げる。
何やら雲行きが怪しくなりそう。
嫌な予感。
「響夜姫様、酷いですよ!」
「そうですよ。私に言ってくれれよかったのに」
「おめえ、なに出す抜こうとしてんだよ!」
「うるせえ! 私だって響夜姫様をお姫様だっこしたいのだ」
「んだとコラァ!」
「やったろうじゃないのか!」
嫌な予感は正しかった。
1人の美青年が文句を言ったのを切っ掛けに、美青年達は仲違い。
あっという間にもみくちゃ状態。
「みんな落ち着けよ」
「いいえ響夜姫様。これは男の問題です」
「そうです。響夜姫様は口出ししないでもらえますでしょうか」
あかん。こいつら言うこと聞いてくれん。
「隙やり!」
「グハッ!」
いきなり美青年の1人が仲間の美青年の顔面にグーパンチ。
仲悪りぃなこいつら。
「やったなこの!」
「だったらなんじゃい!」
このグーパンチを切っ掛けにケンカが始まってしまう。
「だいたい白馬になんぞ乗りやがって。白馬に乗った王子様気取りか」
「白馬に乗った忍者さんのつもりよ」
「揚げ足取るな!」
「取ってないわよ。だいたい、こんな重い人いつまでも抱きかかえてたくないわよ」
「「「「響夜姫様を重いとか言うな!!」」」」
かと思えば怒りの矛先を西川に向ける者も。
無理もない。
それもこれも西川が「白馬の王子様」的な登場をしてしまったため。
なにせ「白馬の王子様」は、年齢を問わず「乙女の永遠の憧れ」の代名詞のような存在であるからして、ヤツらの言い分も分からないでもない。
まあ、俺に乙女の憧れなんてものはないから、どうとも思わんが……。
「「「「ワイワイガヤガヤ!」」」」
っとまあ、このように揃いも揃って好き勝手言うもんだからムチャクチャ。
宥めるも収拾がつかない。
「もう勝手にしやがれ!」
俺は早々に匙を投げた。
◆
「――では、決定方法はあみだくじでいいか?」
「「「異議なし」」」
謁見の間にて王を捕らえた4人の美青年は誰が誰を殺すかで大揉めしてましたが。
最終的にあみだくじで相手を決めることに。
「――それでは、公明正大な大あみだくじを行いたいと思いまーす」
で、あみだくじが開始されたのですが。
大あみだくじと言うだけあって、ともかくでかい。
それに加え、凄まじい数の横線が引かれており、なかなか先に進めない。
それもこれもアカイ王を殺す権利を勝ち取りたい、だけどアカイ王が誰だかわからない。
ならば互いに足を引っ張り合う、という行動をとる。
その結果、無駄に時間ばかりが過ぎていく。
これは決まるのにまだまだ時間がかかりそうですね。
◇
「もうじき結果がわかるぞぉ」
「「「どきどきどきどき」」」
大あみだくじが開始されてから30分。
くじの結果が今まさに分かろうとしたその時である――
「《ストライクショット》!」
「《ファイアースピア》!」
「《トルネードシールド》!」
「《雷神剣》!」
「「「「ぎゃああああああああ!」」」」
突如、美青年達の足元から魔法陣が出現し、そこから4人の勇者が現れる。
彼女らは現れると同時に、攻撃スキルを一斉に発動。
突然の襲撃にあみだに熱中してた4人の美青年は防御できず。
攻撃が直撃し、4人は即死した。
注意力が散漫だったとはいえ、そのやられっぷりは滑稽そのもの。
これじゃあ、あまり哀れみを感じられませんね。
「はじめて使ってみたが、『直通テレポート』ってのは便利なものだな」
「ですな、ジュンコくん」
彼女らは『直通テレポート』なる特殊なテレポートで謁見の間にやって来たのです。
これ早い話が隠し通路ですね。
「おお、勇者達よ!」
4人の勇者に助けられ、縄をほどかれるとアカイ王はホッと胸をなでおろす。
「それでアカイ王様。この騒ぎを起こした首謀者は誰なんですぞ?」
「ミツルギキョウヤじゃ」
「やはりあの男か……!」
「薄々気づいてましたが、ヤツでしたね」
歯軋りするレン。
呆れ気味なイツキ。
響夜には何度も引っ掻き回されたから無理もない。
「それで、そのキョウヤは何処に?」
「分からぬ」
「悪賢いヤツのことです、騙すのは得意」
「ドブネズミめ……!」
当たり前といえば当たり前ですが、勇者の皆さんお怒りモード。
ちょっと刺激すれば爆発しかねん状態。
「皆の者、突入するぞ。あっ……!」
「「「「あっ!」」」」
こんなタイミングで響夜は美青年達引き連れて突入してしまう。
4人の勇者に睨みつけられる。
状況を知らなかったとはいえ、なんと間が悪いことか。
響夜は不幸の星の下に生まれてしまったらしい。
「「「「キョウヤ、覚悟!」」」」
「やべー!」
4人の勇者は殺意全開で一斉に響夜に襲い掛かる。
青ざめる響夜。ありゃあ、完全にビビってるな。
あんな状態でまともに戦えるのかしら?
兎にも角にも戦いの始まり。
頑張れ響夜!
◆
「ちくしょーめ! なんでこうなる?」
俺、御剣響夜は、西川と美青年50人を引き連れて謁見の間に突入。
1回行った経験があるので、場所はすぐにわかった。
アカイ王の居ると踏んだからだ。
扉を開けると、思惑通りアカイ王はいた。
けれどもヤツと一緒に太子んとこの4人の勇者もいた。
なんでこいつらもいるんだよ!?
「「「「キョウヤ、覚悟しろ! 《魔法弾》!」」」」
4人の勇者は俺を見るなり、殺意たっぷりに魔法弾を発射してきた。
ヤバいぞこりゃあ。
「《エネルギーシールド》! ふんぎゃあ!?」
「「「「!?」」」」
とっさにエネルギーシールドを発動したが、4人の総攻撃にやすやすと貫通されてしまった。
また、貫通された衝撃で吹っ飛ばされ、後ろの階段に控えてた美青年達にぶち当たって将棋倒し。
折り重なって倒れ、みんなフゴフゴしている。
「こりゃあ、戦いは避けられる雰囲気じゃねえよな」
戦わにゃいかんが、相手は強敵4人。
ヤツらを俺の力だけでは倒せん。
そうかと言って、数だけが頼りの美青年達では!
大ピンチだ。
物事があり得ないほどに都合が悪く進んでいる。
俺が何かするたびに問題が起こるとか、ついてねーっ!
どないしよ……。
1人でもギリギリ勝てるかどうかの相手を4人も相手に戦わねばならなくなってしまった響夜くん。
はたして響夜くんは生き延びることができるのか?
彼は今、窮地に追い込まれていた。
次回、4人の勇者と響夜くんの戦いが始まる!




