↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
試行錯誤
18/64

第18話 強くなるために死ねってか!?

すいません。

ノリに乗って書いたらまた長くなっちゃいました。

 

 俺、御剣(みつるぎ) 響夜(きょうや)。

 サーキちゃんにパワーアップ方法があると言われ、ホイホイついてっちゃった俺だが。

 いざやるとなると未知の力(ちから)にビビっちまう。

 直感で嫌な予感がしたのだ。


 現在、平静を失い動きは挙動不審。呼吸も過呼吸状態。

 とてもできる精神状態ではなかったのでやむなく先延ばし。

 隠れ家の外に出る。


「スー、ハー。スーッ、ハァー」

 

 外に出ると深呼吸。

 乱れた呼吸と精神を落ち着かせる。


「よいしょっと」

 

 そしてその場に座ると、躊躇(ためら)いを消し去るために暫(しば)しの精神統一。

 修行僧のごとく座禅(ざぜん)し、迷いと戦う。


「今の俺は修行僧だ」


 そう言い聞かせ、胡座(あぐら)をかくと。何も考えずに無心となり、ただただ坐ることに集中する。


「よいしょっと」


 暫(しばら)く座禅をすると、吹っ切れる。

 早い話が悟りの境地にたどり着いたわけ。

 座禅を最初に考えた僧は偉大だと感じたよ。


 吹っ切れると駆け足で地下4階の魔道具室に戻った。


 ◆


「待たせたな」

「遅いッスよ」

「わりいわりい」

 

 俺、御剣響夜が魔道具室に戻ると、サーキちゃんふくれっ面。

 それもこれも俺が覚悟を決めるのに30分要したから。

 こちらに非があるのは明らか。 

 だから軽く謝る。


「そんじゃあ、やるかっちゅーに」


 サーキちゃん『マグマカード』片手に黙々と準備を進める。


「このカードどうやって使うの」

「パワーアップさせる対象に投げつけて呪文を唱える事で効果は発動するっちゅーの。呪文は《大魔女の祈りよ、死せる肉体に更なる力を 》! だっちゅーの」

「大それた儀式でもするかと思ったが。意外と簡単だな」


 やり方が思ってたより簡単で肩透かし食らった気分。

 まあ、楽なのに越したことはないが。


「それで、俺はどうしたらいいの?」


 全部任せっきりなのは気が引けるもので。

 自分にできることはないものか聞くと。


「じゃあ、収納魔法で収納してある銃を出してくれっちゅーの」

「銃? あー……! 短筒火縄銃か」

「それそれ」

 

 ちょっとわかんなかったが。

 比較的記憶力は良い方なので、少し考えたら思い出せた。


「でも、西川(にしかわ)の物を勝手に使うのは気が引けるなあ」


 あくまでも俺は収納魔法で収納しただけ。

 つまりは預かってるに過ぎないのだ。

 人の物を許可なく使うのは道徳に反する。

 

 悪に堕ちたものの。好き好んで悪行を働く気はねえ。 

 できるなら人に迷惑かけたくない。


 しかしながら人間が生きてく上では必ず誰かに迷惑をかけているのだ。

 無論、俺のために苦しんでる人もいるだろう。

 人に迷惑かけないで一生を終えれるなら幸福なんだ。


 偽りの道は地獄に通じるもの。

 であるからして、常に正義をふまえ正直に生きるてるつもり。

 

 それでも結構な頻度で危ない目に遭っているが。

 それは俺が巻き込まれ型の人間だから。


「じゃあ、やめますかっちゅーの」

「それはできん! やってくれ」


 だが、復讐絡みならそれは別。

 例外なのだ。


「《収納魔法》出し! 西川にはあとで謝っておくか」


 短筒火縄銃を出し、サーキちゃんに渡した。

 西川には悪いが。事情を説明説明すれば分かってくれるだろう。

 

「姉御、くたばれっちゅーの!」 

「んなっ!?」 


 渡すや否や銃口を向けられる。

 恐怖から俺はしどろもどろに。


「ちょちょちょちょちょっ! なんで銃口向けるの!? それにくたばれってどういうこと?」

「そうだっちゅーの。マグマカードを使うには死ぬ必要があるんだっちゅーに」

「えっ!?」


 取り乱しながらも、事の次第を確認するが。

 返ってきたのは、とんでもない回答。

 

「ちょっと待て。死んでなければマグマカード使えないのか?」 

「そうだっちゅーの。死んだ生物の肉体を再構成し、強化・蘇生させるんだっちゅーの」 

「マジかよ」


 今明かされる衝撃の事実。

 本能的に嫌な予感がしてたが。これであったか。


「てなわけで死ねっちゅーに。着火!」


 懐からライターを取り出して火縄に着火。

 普段なら「ファンタジーみたいな世界でどうやってライターなんて入手したんだ?」と、ツッコミを入れてるとこだが。

 今はそれどころではない。

 サーキちゃんは俺を殺そうとしてるのだ。


「ぎゃああああああ! 死にたくない! 死ぬのは嫌ぁああああああああ!」

「待てやコラァ!」

 

 恐怖から俺は大泣き。

 年甲斐(としがい)もなく、ちびっ子みたく泣きじゃくる。


 しかしサーキちゃん、狂った殺人鬼に如く聞く耳持たず。

 容赦ねえ。


 結果として八畳程の部屋で命がけの追いかけっこする羽目に。


「フンギャア!」


 必死で逃げ回るが。足がもつれてすっ転ぶ。

 

「チャーンス」


 転んだのをチャンスとばかりにサーキちゃんは畳み掛け。

 後ろに壁があったのをいいことに、壁際追い詰め。


 マジでヤバいぞこりゃあ。


「うおおおおおお! レイプスタイルみたいで燃えてきたああああああああ!」

「ケダモノー!」

 

 天高く下品でけたたましい叫び声を上げる。

 言動はともかく。今のサーキちゃんの目は「獲物を狙う捕食者の目」だ。


 恐怖から女の子みたいに悲鳴を上げてた。

 中身男だけど。


「一度レイプスタイルで犯してみたかった。豚のように鳴き叫べ!」

「あかん。この人悪ノリし出しとる」


 悲鳴を聞くと燃え上がったらしく。サーキちゃんは鼻息荒く喘ぎ声。

 これでは野獣である。


 そうこう言ってる間に銃口が俺のおでこに向けられる。

 絶体絶命の大ピンチ。

 なんでこうなるの?


「死んでなるものか!!」

「カァ!?」


 追い詰められた俺だが。

 潔く死ぬなんてまっぴらごめん。

 短筒火縄銃の砲身を掴み、銃口を天井に向ける。


 予想外の抵抗にサーキちゃんは一瞬驚くも。

 銃口を俺に向け直そうとしてくる。


「早いとこくたばっちまえ!」

「嫌じゃ!」


 フープに裏切られて以降、何があっても生き続けると誓ったのだ。

 銃口を逸らそうと必死に銃を押すが。

 パワーに勝るサーキちゃんに力比べでは分が悪い。

 徐々に押し戻されていく。

 

 このままでは撃たれる。

 そう思われたが――


「あっ!」


 手汗で手が滑り、銃がするりと手から抜けてしまう。


「にゅわっ!」

 

 力一杯押してたサーキちゃんはバランスを崩して前に倒れていく。

 そして銃口が偶然にもサーキちゃんのおでこに。


「ぎゃわっ!?」


 偶然は続くもの。

 倒れた拍子に銃が暴発。

 頭を撃ち抜く。


 殺した拍子に俺はレベル3にレベルアップ。

 おまけに新スキル・《蘇らせた兵士なのだ》も習得。

 

 スキル名的になんだよ、この謎スキル! 使う気が起こらん。

 ……詳しい確認は後回しにしよ。


「助かった……?」


 一応は助かったが。マジで危なかったぞ。

 ビビって一滴か二滴チビってしまった。

 膀胱(ぼうこう)は正直だ。


 小便を漏らすメカニズムが解った気がした。


「殺しちゃったよ……」

 

 頭から血がドバドバ流れ出るその光景に血の気が引いていく。

 今まで人を『倒した』経験はあれど『殺した』経験はゼロ。


 はっきり言って、無益な殺生はしない主義。

 憎い者だって倒したいと思うだけで、殺したいとは思っとらん。

 それが太子みたいな外道でも――――


「ゾゾッ……!」


 突然背中に冷たいものを感じた。

 はじめて人を殺したという事実に激しく動揺。

 この時ようやく自分がしてしまったことの重大さに気づいた。


「呑気にしとる場合ではない。サーキちゃんをどうにかせねば!」


 普段なら「やったぜレベルアップ! 新スキルも習得して二重においしい♪」とか言ってたと思うが。

 今はそないに喜んでる場合ではない。

 サーキちゃんを何とかせねば。


「《ヒール》! やっぱし駄目か」

 

 俺は回復魔法を唱えて傷を癒す。

 しかし効果なし。

 調べてみると脈がなく、心臓も鼓動を停止してる。

 

 回復魔法は命ある限り治癒することが可能だが。

 死人には効果がない。

 困ったぞ。どうしよう。


「そうだ! マグマカードだ」


 悩んだのも束の間。

 いい案を閃く。


 閃いたなら、それを実行するのみ。

 サーキちゃんの手の中にあるマグマカードを抜き取ると。

 それをサーキちゃんに投げつける。


「えーと……。呪文は確か《大魔女の祈りよ、死せる肉体に更なる力を 》! だったかな」


 呪文を唱えるけれど。

 うろ覚えなので自信はなく。

 これで大丈夫なのかと、不安たらたら。


「ぬおっ!?」


 呪文を唱えるや否や、突き刺さったカードが発火。

 サーキちゃんの肉体が炎の渦に飲まれバラバラに。


 するとどうであろうか。

 肉体が分子レベルで再構成されていく。


「ぬぉッおおおおおおおおっ!」

 

 炎が消え去ると、そこにはパワーアップしたサーキちゃんが姿を現す。

 復活して早々に復活の雄叫びを上げる。

 感情高ぶってるな。

 

「マジで生き返ったぞ。これが大魔女の力」

 

 テンプレだが普通に驚いた。

 

 生き返らせたのにも驚きだが。単純に生き返っただけではない。

 サーキちゃんの角が枝分かれして4本に。

 サイズも一回り大きくなっていた。


 また、大きかった胸もさらにサイズアップ。

 確実に100センチを超えてるだろう。

 まさに脅威の胸囲。


 どうやらマグマカード本質は『身体の一部を発達』させるものだと思われる。


「おー! ぼくちゃんがパワーアップしとるウラ」

 

 独自に脳内分析してると。

 サーキちゃんが自分の胸を両手でワシワシと揉む。

 エロい!


「……ゴクリ」


 目の前で乳揉みなんぞされたもんだから、思わず生唾ごっくん。

 男ならそそるシチュエーション。

 もしも俺の体が男のままだったら、確実に前屈みになってただろう。


「んなこと考えとる場合ではない。《能力透視》!」


 首を左右に勢いよく振り、邪念を払い去ると。

 サーキちゃんがどの程度パワーアップしたか確認。


 するとその数値は強化前の数値を大きく上回る。

 パワー以外のステータスで勝ってたのに、全ステータス追い越されてしまった。


「こんなにパワーアップするなら、俺が使っときゃよかったかも」

 

 そう思うも時すでに遅し。

 マグマカードは使ってしまってもう無い。

 臆病者の自分の愚かさを呪った。


「じゃあ、もう1枚のマグマカードをまた使うっちゅーに」

「なに!? まだあるのか?」

「あるっちゅーに。ほれ」

「ぎゃあああああああああ!?」


 そう言って、胸の谷間からカードを出す。

 女性の持つ豊満なモノによって何かを挟むとは。

 アニメなんかで見たことはあるものの。実際に見るのは初めて。

 圧巻されて、マジで叫んじゃったよ。

 

「そもそもマグマカードはご先祖様が作ったクリーチャー『マグマ』が倒された際に飛び散った肉片が変化した特殊なカード。その際に飛び散った破片は8つ」

「ってことはまだ7枚マグマカードがあるの?」

「いんや。記録によると4枚使用されたし。2枚は行方知れず」

「じゃあ、1枚しかないではないか」

「そうッスね」

「うーむ……」


 薄々気づいてたが。マグマカードは貴重な物。

 そないな貴重な物を惜しみなく使用してくれるとは。

 苦手なタイプだけど、サーキちゃんっていいヤツだったんだな。


「というわけで。姉御、くたばれっちゅーの!」 

「嫌だから! 死ぬのは嫌だから!」

 

 前言撤回。

 サーキのヤツ、容赦なく銃を向けてきたよ。


 頭では理解してるものの、心が死ぬのに恐怖する。

 みすみす好機を逃してるみたいに見えるかもしれんが。

 やっぱり死にたくないのだ。

 

 で、再び命懸けの追っかけっこ。

 逃げ回る羽目に。


 ◆


「ゼエ、ゼエ! 姉御、諦めが悪いッスよ」

「ゼエ、ゼエ! うるへえ」


 俺、御剣響夜とサーキちゃんの命懸けの追っかけっこは互いにスタミナ切れを起こしで終わり。

 

 罵り合うが、息切れしてて見苦しい。

 ま、呼吸が乱れるまで走り続けたから無理もないけど……。


「しかし、姉御はあれッスね……。死ぬ事よりも生きない事を怖がるタイプだっちゅーの」

「グッ……!!」


 図星。

 的を射た発言に顔が引きつる。

 どうにもサーキちゃんの言っとる事は、いちいちが正しくてムカつく。

 

「ビビってねーし! 今使うのもったいねーかなって思っただけだし!」

「そうッスか?」


 無論虚言。

 その場逃れに過ぎない。


「ともかく。マグマカードは戦闘中に俺が死んだ際に使用してくれ。その方が明確かつ理にかなってるだろ」

「……それもそうッスね。じゃあ、殺されたら使うっちゅーに」

「サンキュー」


 サーキちゃんちょっと考えたが。

 筋が通ってたので納得してくれた。

 我ながら上手く丸め込めたと思う。

 ずる賢くなったな俺。


 かくして俺のパワーアップは見送りとなった。


サーキ・サワキのプロフィール(第18部分以降)

・身長:165センチ→165センチ

・体重:65キロ→67キロ

・スリーサイズ:B95 W58 H90→B102 W59 H91

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。