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不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
VS盾の勇者
15/64

第15話 西川が召喚魔法初挑戦


「待っていたぞ」

「お、お前は!!」


 俺、御剣(みつるぎ) 響夜(きょうや)はサーキの隠れ家に向かうべくテレポートで城下町郊外の田舎道に戻る。

 

 しかし、道の真ん中で仁王立ちするやさぐれ系美女と遭遇。

 見覚えのある顔。

 大盾を装備したそいつは――太子(たこ)んとこの盾使いだった。


「その首もらった!!」

「クソッ! またこのパターンかよ」


 問答無用で戦いを吹っ掛けられたので。脇道にそれて、西川(にしかわ)とサーキと共に3人で応戦。

 またしても先手をとられてしまった。


 で、盾使いと戦ってるわけだが。

 最初はテレポートで簡単に逃げれると思った。

 しかしそうはならなんだ。

 

 盾使いもテレポートを使え、精度も上。

 それに加えて、テレポートのアンチスキル《テレポートサーチ》も所有していた。

 このスキル、相手がテレポートする場所を事前に知ることができる。

 そのためテレポートしても先回りされて振り切れん。

 で、やむなく戦う羽目になってまった。


「今度こそお前を倒す!」

「つ、強い……っ!」  


 盾使いは潰すつもりで全力で向かってくる。

 その意気込みは第三者の目から見ても手抜きなど微塵も感じられん。

 がむしゃらに戦うも苦戦。

 気迫負けしてるから無理もない。

 こっちは否応無(いやおうな)しに戦ってるだけなのだ。


 直接対決はこれが初めてだったが。案の定、剣使い達同様に盾使いも強い。

 盾使いは盾のカウンター機能によって相手に反撃を与える戦い方で、何度も盾の面で殴りつけてくる。

 また、盾の性質上硬く。柔な攻撃ではびくともしない。

 おまけに両側には半月型の鋭い刃が備わっており、攻守両面において欠点は皆無。

 鉄壁の守りとは、まさにこのこと。


「シールドアタック!」 

「デッヘェッ!」 


 盾使いのシールドアタックを両腕でガードするも、結構なダメージとなる。

 スキルを使ってこないとはいえ。抜群のタイミングで攻撃と防御決めるもんだからタイミングを合わせるのが苦手な俺は大苦戦。

 単純な強さでは太子のが強いが。相性を配慮すれば、盾使いのが脅威となる。

 それこそ、今まで戦った相手の中で最も戦いにくい相手と言っても過言ではない――

 相性最悪。天敵に遭遇した気分だ。

 

 見た目もヤンデレっぽくって好きになれん。

 ヤンデレは苦手なんだってばよ!


「アタシ程の手練れが苦戦するなんて。響夜様、あの人は強者よ」

「言われんでもわかっとる! だいたいお前は手練れじゃねーだろ!!」

「怒っちゃやーよ。これでも一生懸命やってるのよ」

「苦労は認めますけどね。成果が出なければ殆ど意味がねーぞ」

「それを言っちゃお終いよ! 文句言うなら自分で成果上げたらどうかしら」

「なんだと! てめぇ、もう一度言ってみやがれ」

「なによ! 文句あるの?」

「あるに決まってんだろ!」

「「やんのかこの野郎ぉ!!」」


 西川も忍者刀(にんじゃとう)で一生懸命に応戦するも、押されっぱなし。ほとんど役に立たん。

 口(くち)だけとはこのことか。

 仲間同士で不毛な口喧嘩。チームワークもへったくれもあったもんじゃねえ。

 難攻不落(なんこうふらく)なヤツを相手にせにゃならんだけでもイライラしてるってのに。西川の軽薄・軽率な言動により、余計にイライラした。

 戦闘中にもかかわらず、互いの胸ぐらを掴み合う。

 

「もらった!」

「「ダッハァッ!?」」


 仲間割れしているのをチャンスとばかりに、盾使いは盾を構えて突進。

 注意散漫な俺と西川はシールドアタックをもろに食らい、勢いよく転げてしまう。


「《スティール》!」

「なッ! どうなってるんだ!?」


 俺と西川に注意が向けられてるのをいいタイミングとばかりに。サーキがスキルを使って盾使いの大盾を奪い取る。

 奪われた盾使いは軽い錯乱状態。

 動揺してるのが手に取るように分かる。


「でかしたぞサーキちゃん!」


 素晴らしき引きの強さ。

 これには素直に感心してほめたたえるが。


「要らね、返す」

「チョッ! なにやってんだオメェ!?」


 あろうことかサーキは、せっかく奪った大盾をポイっと捨ててしまう。


「いやぁ~。あの女のパンツ奪うつもりで発動させたんだっちゅーの。姉御には及ばないッスけど、あの女もタイプなもんで」 

「スケベ心全開(ごころぜんかい)じゃねえか! お前はレズなのか」

「そうだっちゅーに」

「マジで!?」

「姉御に助けられた時に一目惚れしたんだっちゅーに。なつかしー」

「ゾゾッ……!」


 サーキは頬を赤らめながら俺に投げキッス。

 可愛い仕草なのに得体の知れない悪寒を感じた。

 俺の感性はどうなっちまったんだ?

 融合の影響で、徐々に内面が変化してってるのだろうか? 内面も女体化してきてんの?

 まさか内面も完全に女性らしい女性キャラとなりつつあるってか。

 だとしたらちょっと嫌やわー。


「今のうちだ」

「しまった!」

 

 口論になってる隙に、盾使いは大楯を拾う。

 もう奪い返されたよ。


「みんなお前のせいだぞ、早く何とかしろ!」

「ギャアー! お尻ィ!」


 失態の責任を取らせるためサーキの尻を蹴り飛ばし、単独突撃させる。

 で、取っ組み合い。


「誇り高き松坂牛の亜人の底力(そこぢから)をみせてやるっちゅーに。お下劣パワー全開!!」

「こいつ、なんて下劣な戦い方をするんだ!?」

 

 サーキは俺を敗北に導いたセクハラ攻撃でガンガン攻める。

 けれども盾使いのガードは鉄壁。

 攻撃は全て大盾で防がれてしまう。


 しょせんは小手先の技。

 胸を突くなどのセクハラ攻撃で翻弄(ほんろう)しようにも、戦闘力では盾使いのが勝ってるので、時間稼ぎにしかならん。

 やられるのは時間の問題だろう。


「こうなりゃ一(いち)か八(ばち)かの――召喚魔法だ」


 一方、俺は盾使いとサーキに注意が向けられてる隙に召喚魔法を発動。

 毎度のことながら、困ったときの召喚魔法だ。


「我に力を……! 召喚!!」


 運を天に任せ。

 強いが召喚できるように祈りながら召喚魔法を詠唱する。


「ブヒー」

「ウゲー! ザコモンスター」


 魔法陣から召喚されたのはオーク。

 見た瞬間絶望した。


「ダメだ! こんな雑魚じゃ……!」


 こんなでは秒殺されるのが関の山。

 ショックから頭を抱えた。


「邪魔だ!」

「キャワッ!」

「シールドブーメラン!」

「ブヒー!」

 

 盾使いは、サーキを振り払うと。大盾をブーメランのように投げ付けて攻撃。

 オークは首チョンパ――頭が首から転げ落ちる。

 案の定、オークは秒殺。

 これじゃあ僅かな時間稼ぎにしかならん。

 

 どうしてこんなんしか召喚できんのだ。

 俺ってついてねー。

 

「――それじゃあ、アタシが」

「フンッ! ムダだよ。西川なんかに召喚できるわけがない」


 召喚魔法を見ていた西川が見様見真似(みようみまね)で召喚魔法を発動させようとする。

 俺でさえ上手くできんのに、へっぽこな西川が上手くできるわきゃねえ。

 そもそも西川に召喚士としての素質があるかどうかさえ怪しい。

 どうせ失敗するに決まってる。

 はなっから期待してなかった。

 

「我に力を召喚」


 否定されるも、西川はめげずに召喚魔法を発動。

 だが、いっちょ前に詠唱するも棒読み。

 なんとぎこちないことか。

 

 けれども召喚魔法の発動には成功したらしく、魔法陣がが飛び出す。


「ギュイアアアアアア!」

「なんだこいつは!?」


 雄叫び上げながら召喚されたそいつは――全高50メートルはあろうかという怪獣。

 二足歩行の黒いワニのような姿をしてて、とっても強そう。

 

「すんごいの召喚しちゃったわ」


 これには召喚した本人も信じられないというご様子。

 まさに『瓢箪(ひょうたん)から駒』だ。

 俺にとっても『棚(たな)から牡丹餅(ぼたもち)』である。

 

 予想以上の代物。

 こいつなら、もしかしたら。


「よし! やはりお前は最高の相棒だ!」

「そうでしょそうでしょ。エッヘンプイプイよ」


 西川を仲間にしてはじめてよかったと思った。

 

「大きければいいってもんじゃないぞ!」


 盾使いは口(くち)では強がっているものの。

 その顔に若干の焦りの色が見られる。

 きっと内心ビビってるのだろう。


「強がってんじゃねーよ。怪獣、盾使いに攻撃しろ!」

「ゴイアアアアアア!」


 俺が命令すると、怪獣はブレス攻撃。

 口から勢いよく火を吹く。


「グッ!」


 さっきまでガンガン攻めてた盾使いも今では完全に守りの体勢。

 大盾でブレス攻撃を防いでいるが。押されてるのは明らか。

 逆転したでー!


「いいぞ怪獣! もっとやれー」


 予想された以上の結果が得られ、調子に乗ってると。


「ドワッ!?」

「バカ野郎ぉぉ! 敵と味方の区別もつかんのか。俺らではなく盾使いを狙え!」

 

 あろうことか怪獣は俺ら目掛けてブレス攻撃を放つ。

 間一髪でかわせたけれど。

 味方に攻撃するとか、何考えてんだ!?


「あのー、響夜様。あの化け物見境なしに攻撃してなくないですか?」

「そんなバカな」


 まっさかなーと思うも。

 よく見てみれば、西川の言ったように怪獣は本能のままに暴れてるみたいだ。

 どうなってるの?


「そうか……! 俺が命令したからいけねーんだ」


 冷静に考えてみたら。ゲームなんかの召喚獣は召喚者の命令にのみ従うもの。

 

「西川、お前が命令すれば従うだろう。やってみろ」

「そうなの? それじゃあ化け物さん、盾使いをやっつけて」


 そうと分かれば話は早い。

 召喚者に命令させる。

 これで上手くいくと思ったが。



「ギュイアアアアアア!」


 怪獣は西川の命令にも従わない。

 所構わずブレス攻撃を放ち続ける。


「ギャーッ!! 響夜様助けてー!」

「どうなってるんだ?」

 

 西川は大慌て。俺に泣きつく。


「引火しちゃったわ。えらいこっちゃえらいこっちゃ」

 

 さらには炎が田舎道の脇に生い茂る雑草に引火。

 一帯があっという間に火の海に。

 結果、俺達は逃げ惑う羽目に。


 しかしながら、なんで怪獣は従わないんだ。

 強い召喚獣はレベルの低い者には従わないのか?


「姉御、なんで《隷従の儀式》をしないんッスか」

「えっ? なにそれ?」

「召喚魔法で召喚した召喚獣は『契約の魔石』を使用して契約しないと従わんッスよ」

「なんですと!!」

 

 知らなかった。

 召喚魔法にそんな制約があったとは。


「あの召喚士! 俺がスキルの教え代をケチった腹いせに、適当に教えやがったな!」


 思い返してみれば召喚士はめんどくさそうに教えてたな。

 ケチにはちゃんと教えれんってか。

 腹立つわぁ!


 しかし、今は腹を立ててる場合ではない。

 召喚した怪獣をなんとかせねば。



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