六十八話
若干いつもより短いと思います。
「んんー。よく寝た」
美咲は体を起こすと体を伸ばす。
FWOの世界に行ったときに時間的には自由度が増えたはずなのに規則正しい生活が身に付き、今もそれが続いてる。
学校があった時には全然起きられなかったのだからなんという皮肉だろうか。
そんなことを考えながらも出かける準備をしていく。
準備とは言っても着替えるぐらいしかやることはなかったが。
あらかじめ確認していた次の目的地に向かう。
目的の人物がいつも通り行動をしてるなら土曜日の今日は家にいるはずだ。
とあるマンションの一室のインターホンを押し、出てくるのを待つ。
そうすると「待っててーな」という声と共にあわてて動く音が聞こえる。
「なんや、美咲ちゃんやないの。急にどうしたん?」
ドアを開けて出てきたのはメガネをかけた女性だった。
実年齢を知ってる美咲からは実年齢よりも5歳ぐらいは若く見える。
「上がっていき、朝ご飯まだやったら出すけど嫌いなものあらへん?」
「ありがとうございます。もらいますね」
女性にそう返し、美咲は家に上がった。
この女性は矢部樹、ゲーム内ではギルドのメンバーと完二を除けばYouと最も長くにいる者であった。
プレイヤーネームをItukiと名乗っていたこの女性はYouの装備をすべて作っていた。
それだけでなく時には人生のアドバイスともいえるようなことをしたりしてYouの精神的に支えてたりもした。
そんな風にギルドの仲間にもできない話を聞いていたというのにYouとの浮ついた話が出てこないのが不思議な関係であった。
食卓に並べられたのはご飯に味噌汁に卵焼きなどといった普通のものだった。
特に何も言ってなかったのでいつも食べているメニューなんだろう。
量や品を見る限りしっかりと食べていけるようでちゃんと働けているようで美咲は安心した。
「今日は何しに来たん?」
「様子見とこれを渡すためですね」
そう言ってほかの人にも渡したような紙を渡す。
樹は紙を受け取るとそのまま確認した。
「こんなん、メールで送ってくれたらよかったのに」
「ですから生活になじめてるかの様子見もあるんですって」
「ってことはこれからも何人か家回るん?」
「はい、全くお兄ちゃんったら人使いが荒くって困りますよ」
そんなたわいない話をしながらご飯を食べていく。
次第にそんな話から互いの近況報告や雄介話題となった。
「そっか、相変わらずなんやな。周りから聞いとるに天職って感じやな」
「そんないいもんじゃないですよ」
ちょうど食事も終え、話もきりがついたところで美咲は席を立った。
「ご飯御馳走様でした。よかったら私の義姉になりません?」
「それは勘弁やわ、雄介君の嫁さんやなんて肩がこるわ」
「じゃあ仕方ありませんね」
「仕方ないわな」
「んじゃ失礼します」と言って美咲は家を出た。
別に本気で美咲も樹に義姉になってほしいわけではなかった。
それでも二人はなかなかいい関係だと思うが恋人関係とはいかないようだ。
詳しく二人の仲を知ってる身からすると親しい友達と言ったところだろう。
ARASHIとKanaは日本の西側に住んでおり、今いる場所と反対側に住んでいるため向かわない。
あと東側に住んでいて、親しい関係を気付いているとすれば残ってるとすればmakeやAKATUKIなどだ。
「ふぅ、気が遠くなるなぁ」
これからどれぐらい時間がかかるのかを考えながらスクーターを走らせた。
「ただいまぁ」
結局すべてを配り終え、家に帰ってきたのはだいぶ暗くなってからだった。
「遅かったな」
そんな声と共に美咲を迎えたのは雄介だった。
「誰のせいで遅くなったと思ってるのかな?」
そう言って久しぶりに雄介をいじることにした。
いくら楽しかったとはいえ、結構な長距離を移動したのだ。
疲れていない方がどうかしている。
後に残ったのは落ち込んだ雄介の姿だった。
「美咲ちゃんお帰り」
美咲が雄介をいじってる間にリビングの方から顔を出したのは完二だった。
「あっ完二さんも来てたんですね」
そうして完二が来たことで雄介をいじめるのをやめ、食卓に着くと、今日は雄介たちの父親と母親もいた。
FWOが始まる前は不仲だった雄介とその両親だったが意識不明の重体となった雄介を必死に看護してたのは記憶に新しい。
そして雄介も両親が心配してくれるとわかったから少しずつ仲が改善されていった。
今も少し距離感がぎこちなかったりするが時間の問題だろう。
その関係を見て美咲もうれしく思う。
「聞いてよ、お兄ちゃん、完二さん、父さん、母さん」
美咲は昨日、今日あったことを両親や兄とその幼馴染に楽しそうに話した。
茶々を入れながらも楽しそうに聞く家族の姿がそこにあった。
次か、その次あたりに完結となります。
日曜ぐらいには完結すると思いますのでよろしくお願いします。




