六十七話
美咲は東京にある一軒のアパートに来ていた
目的の人物がこの時間ならいると踏みインターホンを鳴らす。
そこから出てきたのは一人の学生服姿の男だった。
「サキさん、珍しいっすね。うちにまで来るなんて」
「零くんしゃべり方変わった?」
そこは山田零の家だった。
10人の主人公の一人であり、ネタとしても知られた厨二病のZeroその人である。
今回家に直接来たのはすでに下校ピークも過ぎており、零の家は片親で仕事に行ってるので確実に零が出てくるのが分かっていたからである。
それでも約束はしてないので遊びに行ってたりどこかに行ってる可能性も否定できなかったが……
「やめてくださいよ。あの厨二病だったころの自分を思い出すと反吐がでるっすから」
半年間メールなどの電子上のやり取りのみだったのでこんな風に根本的に変わったとは知らなかった。
「とりあえず上がってください。貧乏でなんもないっすけどお茶ぐらいは出しますよ」
「うわーなんかすごいおとなしくなった?」
とりあえず勢いのまま中に入ることにした美咲。
中に入るとリビングにあった本棚の中に完二の書いてる小説があった。
「あぁ、それっすか。それは厨二病だったころに勝った奴っすよ。武智雄二って人のなんですけど異世界トリップなんて非現実的っすね。たく、どうしてこんな作品があんなにも大ヒットしてんだか……」
「その割には最新刊があるみたいだけどね」
「あっ……」
「しかも本棚の本の裏になんかノートが隠してあるみたいだけど荒れは何かな?」
美咲は確信した。
自身も厨二のくせして厨二病を嫌悪するのは高二病であり、まさしく今の零の症状だった。
FWOが始まってそんなに経っていない時に年を聞いたらちょうど中二だったので今は年的には高2ということになる。
「えっと、そのノートは何かなぁ? エロ本かなぁ? 私の予想が正しければ黒歴史ノートってなるんだけど……」
「ギブ、ギブ。大人ぶってすいませんでした。はい、武智雄二もFWOをやってて新しい巻を出せないって聞いて一緒のゲームをやってて、そしてそのゲームから俺も攻略メンバーにいてうれしさ半分、新しい巻が発売されてなくって悲しさ半分だった程に武智雄介も好きです。ごめんなさい」
聞いてもないことをすらすら述べていく零。
美咲は零が変わって無いようで安心した。
ちなみに武智雄二は武智雄介と明智完二からそれぞれ二文字ずつ取ったものであり、書いてる作者も完二である。
美咲はおもしろそうだからとこのまま黙ってることにした。
「んじゃ、これ」
美咲は鞄から紙を取り出し、渡した。
「んじゃ、よろしくね。では鈴鹿ちゃんと仲良くね」
鈴鹿はAKATUKIのハーレムメンバーだったMisuzuのことである。
どうにもMisuzuはAKATUKIのことが好きだと言い張っており、零とも喧嘩しているがなんだかんだで仲が良く、剣かも痴話げんかにしか見えなかった。
周りはどう考えてもAKATUKIよりも零のことが好きだろと言いたくなっている。
それを言わずににやにやしてる周りは武智に毒されたのか、元からそうだったのか……。
何か零が後ろで何かを叫んでるが無視して玄関の戸を開け、外に出た。
すでに周りも暗くなってきたがためにホテルの一室に泊まる。
このお金も後で兄に請求するつもりだった。
みんな住む場所もばらばらで結構遠くまで来たものだ。
そんな美咲の下に一通の電話が来る。
『おう、皆の様子はどうだった?』
それは雄介だった。
「みんな元気だったよ。周りにもなじめてたみたいだし、杏子さんも徐々に記憶を取り戻してるみたいだよ」
『そっか、それは残念だった』
「えっ、何? 周りの不幸は蜜の味ってやつ?」
『いじるネタがない』
もちろん周りが元気でやっててうれしいのだろうが、雄介が素直に言う性格じゃないのは分かっていた。
だからこれは周りが元気でよかったということだろう。
「ところでお兄ちゃん、仕事はどう? お兄ちゃんこそ馴染めた?」
『おう、右へ、左へ大忙しだぜ。何しろ新しくできたばかりでまだみんな慣れてないしな』
「お兄ちゃんの仕事は忙しくなければないほどうれしいけどねぇ」
『まぁそうだな』
そうやってクスリと笑う音が聞こえた。
「んじゃ、おやすみ」
『あぁ、おやすみ』
完結まであともうひと頑張り
PSなろうコンは無理でしたorz
わかっておりましたとも、ええ、わかっていました




