六十六話
「竜樹君久しぶり!」
「あっ美咲さん」
美咲は次にRyuuki、本名、宮野竜樹の学校に来ていた。
竜樹の通う学校は進学校であり、留年となったが、美咲の通う学校はスポーツに関しては強豪であっても勉強の方はそこまでではなかったため、卒業できる学力を備えていた美咲は特例措置として留年とならずに、無事に卒業を迎えることができた。
現在竜樹は男友達2人と共に帰宅途中であり、そこを美咲が待ち構えていたのである。
「誰だよ宮野、こっちの美人さんは?」
「彼女かよ、これだから英雄様ご一行は違うぜ」
美咲の容姿は十分に美人に入り、それが校門の前で待っていたので人目を引いていた。
英雄様ご一行というのは、竜樹の学校にほかにもFWOの生き残りがいたため、見た目と名前により最前線の攻略組である暗黒騎士団に所属していてラスボス戦も参加していたことが周りにばれたのである。
まさにFWOをクリアした英雄様の一人ということである。
「残念ながら違うよ、この人はその英雄様ご一行の一人で同じギルドのサブリーダーの人だよ」
「何言ってるの竜樹君。私は竜樹君のハーレムメンバーの一人で竜樹君に忠誠を誓った者だよ?」
「美咲さん……。帰還後に雄介さんをいじるのを減らして周りをいじり始めるようになりましたよね」
「何のことかなぁ?」
竜樹は諦めたように溜息を吐く。
美咲は雄介が生死の境をさまよったのをきっかけに雄介に対しS発言をする回数が減った。
その代わりと言わんばかりに周りへのドS発言が増えたのだった。
「まぁ冗談は置いといて、竜樹君乗っていく? 竜樹君自身にも竜樹君のお姉ちゃんにも用事あるから送っていくよ」
「お願いしますけど、あまり学校に来ないで下さいよ。もし噂でも美咲さんと付き合ってるって雄介さんの耳に入ったらどうなることやら……」
美咲の前ではそんな態度を見せないのに裏ではシスコンじゃないかと疑うほどに警戒している雄介の耳に噂が入ったとしたらどんな拷問が待ち受けてるか想像しただけで寒気がしてくる。
もともとドSな兄妹なので自制をなくした拷問を受けたとしたら確実に心が折れる自信があった。
「まぁ良いです。行きましょうか」
これ以上は何言っても無駄だと考え美咲に行こうと促す。
「じゃあな、一生帰ってこなくっていいぞ」
「むしろ地獄から一生帰ってくんな」
友人のありがたい言葉を背に受けながら。
「で、なんで学校まで来たんですか? 僕をいじって楽しむって理由もあると思いますけどそれだけじゃ来ないですよね」
「いやだぁなぁ、そういうのはあまり突っ込まないのがマナーじゃないの?」
「また学校に来られても困りますんで」
「お兄ちゃんにね、できたら生活になじめてるか見て来いって、本当だったら郵便やメールで済む用をわざわざこうして足を運んでるって訳」
「できればって、昔だったら確実にやりませんでしたよね?」
「何のことやら」
つくづく美咲は雄介に甘くなったと思う。
竜樹としても気持ちは分かるので何も言わないが……。
「そういえば用事ってなんですか? 郵便やメールで済むって言ってましたけど……」
「ん? お姉ちゃんとまとめて話すよ」
そう言って美咲はスクーターを進める。
近況報告を交換し合い、無事に竜樹の家に着く。
2駅ぐらいの距離なので色々と情報交換できた。
「ここに止めとけばいい?」
「そこで大丈夫です」
美咲はスクーターを止めるとインターホンを押す。
そうして出てきたのは竜樹たちのお母さんであった。
「どちら様でしょうか?」
「あっ初めまして、武智美咲と言います。宮野凛さんはご在宅でしょうか?」
「ちょっと待っててくださいね」
そう言って家に戻ると赤の護衛団を率いていたRINこと、宮野凛を呼ぶ声が聞こえる。
凛のお母さんと凛の口論を聴きながら待ってると、後ろから竜樹に声をかけられた。
「うわぁ、顔がキラキラしてる」
「だってこの口論が聞こえてたって話をするとみんな楽しいんだもん」
そうこうしてるうちに凛が出てきた。
さっそく要件を済ませるため、二人に渡すために鞄から紙を取り出し、渡す。
「これを見ればいいよ」
そう言ってスクーターに乗る。
「ちょっとぐらい上がっていかない?」
「こう見えても忙しいので」
阪奈にしたのと同じような対応を返すと次の目的地に向けて出発した。




