五十八話
ラスボスを除くと最後となるボスが扉の向こうにいる。
そう思うと緊張で汗が流れる。
You達はボスの部屋が見つかってからすぐに準備を開始し、攻略の準備を整えた。
「みんないいか? それではあけるぞ」
Redが最後の確認をする。
とはいえ、皆が皆伊達に最前線で戦ってきたのではなく、ここに利う24名は精鋭中の精鋭である。
ここで逃げ出す存在は最初っからいなかった。
そして扉の中に一斉に飛び込む。
すると突然周りの人間がいなくなり、You一人になった・
「へぇ、ここは一人で戦えってか?」
周りを見ると入ってきた扉も存在せずに、何もない白い空間があるだけだった。
どこまで続いてるのかもわからず距離感覚も狂いそうな部屋で一か所だけ黒いシミがあった。
白い空間の中にあるそのシミは異様で目を引いた。
そして、そのシミが少しずつ上へ伸びていき、だんだんと人の形を取っていった。
『《ファイアーボール》」
機械的な男とも女ともつかない声で火の初級魔法が放たれた。
とっさにYouも同じくファーあーボールを放つ。
威力は完全に互角で相殺された。
威力が完全に同じというのは違和感が出てくる。
Youの職業は確かに魔法系統だが全体的にステータスを割り振ってるため器用貧乏であり、仮にもボスと互角というのはありえなかった。
そうした違和感から再び黒い人影を見るとそれは自らと全く同じ姿をしていた。
「なるほど、つまりは戦うのは自分自身って訳か……」
実際にその通りだった。
敵は全て同じステータス、同じアイテム、同じ装備であり、違いは色以外にはないと言ってもいいだろう。
「ぬるい……」
それはどこからともなく漏れた言葉だった。
Youは勢いよく走りだした。
影はそれを撃退しようとファイアーボールを打つが軽々とYouは避けていく。
それは数々の修羅場を切り抜けたYouにとってはファイアーボールの一つを避ける程度造作もなかった。
これまでのボスには数十個単位で同じ大きさの攻撃をしてきたものも致し、一度触れただけでもかなりのダメージを受ける攻撃もあった。
それに比べるとこの程度は脅威にすらなっていない。
Youを撃退しようと影は剣を振るうと同時に後ろに跳ぶ。
しかし、ただの牽制程度の攻撃、さらには攻勢出ずに逃げ腰の攻撃などは見ないでも避けれる。
そう言えるほどの攻撃だった。
「ぬるい……」
Youは再び攻勢に出て剣を振るう。
それを影はガードをするが左手から放たれる魔法を受ける。
本来はYouは魔法職なので前に出ずに後ろにいて、近づかれたら剣で牽制やら、攻撃を防ぐのだろう。
影の戦い方はまさしくその典型だった。
しかし、ここまで最前線で戦ってきたものに典型的な動きだけでは相手にならない。
You一方的に攻撃を加えていく。
やがて影のHPは尽き、影が消失するとそこには扉が残った。
「これだけか……?」
その呟きは誰に聞かれることもなく消える。
Youは慎重に扉を終えると同じように出てきたRedとAKATUKIがいた。
すでに戦闘は終わっていたのか666はYou達が出てきた扉とは別の大扉の前に座っていた、
「お前らも終わったのか?」
「正直楽勝だったよ。少し物足りない感じだけど危険が少ないことは喜ぶべきだね」
そこで新たな扉が出現し、Sakiが出てくる。
「あっ、先こされちゃった」
適当にほかのメンバー会話し、周りの状況を探っていく。
そして分かったことは666の後ろにあったのは城であること、そして城の名前が魔王城であることだった。
「魔王城ね、つまりさっきのはステータスだよりの力のないやつを落とすための戦いってか」
「本来のゲームのままだったらそういう人も出てくるだろうけどね。デスゲームじゃそんな人はいなかったようだね」
Redがそういうといつの間にかバトルを終えたプレイヤーたちが集まっていた。
軽いダメージを負った者はいるが、誰一人死ぬどころか、一割すらダメージを受けていなかった。
「いくら弱いボスだとはいえ、一切補給もなしにラスボスとかきついぜ」
「ラスボスってAIが唯一入ってるモンスターなんだよね。初戦闘でこれはきついね」
口ではそう言うが、攻略組のすべての者に暗い顔はなかった。
「みんな行くよ」
Redが先頭で扉を開ける。
そこにはファンタジーに出てくる王の謁見部屋その者であり、本来王が座る玉座は人の座る椅子の何十倍もあり、そこには巨大な人影が鎖でつながれていた。




