十四話
始まりの町では宴が行われていた
Youまだ最初のボスだというのに暢気なものだと思っていた
「【救世主】動けない、またはHPがレッドゾーンの同じフィールドにいるプレイヤーの数だけ基本ステータスが上がると……。それにしても上がる量は低いな……。これなら普通に複数人で狩ったほうがましだ」
ステータス画面を見て新しく発現したPSの効果を見ていた
「ユー、こんなところにいたのか」
後ろから声をかけられ、ステータス画面を閉じながら振り返る
「レッドか、何の用だ?」
そこには宴からYouと同じように抜け出してきたRedがいた
「僕は落ち着いてきたところだしギルドを作ろうと思う」
Redは急にそんな話をした
「作ればいいじゃんか、このゲームじゃギルドは作り放題だし」
Youはそっけなく答える
FWOではギルドはステータス画面でいくらでも作れる
一つしか入れないし、一人もメンバーがいなければ勝手に削除される
その時にかかるお金やアイテムはない。さすがにギルドホームなどは金がかかるが……
「そこで君に副ギルドマスターになってほしくてね」
「だが断る」
Youは即答だった
「蜘蛛ごときも殺せないお前の下になんかつくか」
「『俺はレッドさんと同じ立場がいいんだ』」
新たな声が割り込む
そこにはSakiとRyuuki、Zeroと数人の蜘蛛につかまっていた人物がいた
「宴の主役を探しに来てみればこんな所で何の話だ?」
先程のボス戦の時に、Redと一緒にハンター・スパイダーの攻撃を受け止めた男が言った
「何、レッドから言い寄られてそれを断ったところだよ」
「そんな言い方したら勘違いされるじゃないか!」
「レッド×ユー」
「違う! 誰だ? すぐにBLに持っていくのは?」
「まったく、ただ単にギルドを作るから入ってくれって言っただけだよ」
必死に冷静さを呼び戻してRedが言う
「まぁ、断られたけどね」
「で、お前はギルド作りを続けるのか?」
「もちろんだ。大体のプレイヤーが混乱から抜け出しているとしてもまだ混乱から抜け出してないならばそれを助けようと思う。それには僕一人では足りない、ならばそういうギルドを作りたい」
「いいんじゃね、なら俺も攻略のためのギルドを作るか」
「えっ……、君は中堅階層にいるつもりだからって……」
「蜘蛛ごときを殺せないお前に任せられるか、仕方ねぇから俺が出ることがしたんだよ」
「そうか」
Redが微笑む
そして、後ろにいたSakiも微笑んだ
「何笑ってんだよ」
「なんでも!」
「ないよ」
Saki、Redが声を揃えて言う
「なんだ、声を揃えちゃって、気色悪いなぁ」
「で、私はお兄ちゃんのギルドに入っていいよね」
SakiがYouの発言を無視して言う
「なんだよ、お前はてっきりレッドのギルドに入るんだと思ったがな」
「お兄ちゃん一人だと心配だからね! レッドさんはすぐに仲間が見つかると思うけどお兄ちゃんはひねくれてるからすぐに見つかると思わないし」
「うるせぇよ」
いつもの調子で会話をするYouとSaki
そして、Youはまた別の方向に顔を向ける
「で、リュウキはどうする?」
「お姉ちゃんのギルドはほとんど女性限定みたいなものですから、ユーさんがギルドを作るならユーさんのギルドに入ります」
「そうか、ありがとうな。ゼロは入ってくれるか?」
「だが断る!」
「ゼロさん……。だがの使い方おかしくありません……?」
「細かいことは気にするな! 俺はこれまで通りソロで続ける――カネツグをいじれなくなるしな」
最後の部分は誰にも聞こえないような声の大きさでつぶやいた
「そうか、ならそっちも頑張ってくれ」
「なぁ、俺はそのギルドに入ってもいいか?」
ハンター・スパイダーの攻撃を防いだ男が言う
「俺は、ARASHIって名前でな。ずっと臨時PTに交代で入ってたんだけどそろそろ固定PTにしようと思って色々見てみたんだがな、今まで見てきた中だとお前たちのところが一番面白そうだ」
そう言って豪快に笑う
Youはすぐに了承すると真剣味を帯びた表情をする
「さて、色々とやることが出来たな。とりあえずこのギルドの方針を言う。一つはレッドのギルドより上に行くこと。そしてもう一つはこのゲームをデスゲームに変えたやつをぶん殴ることだ!」
「フフ、クリアするじゃないところが何ともひねくれたお兄ちゃんらしいや」
「ははは、大変そうですね……」
「わっはは、やっぱり面白れぇ」
この日、これからの中心の一つとなるギルドが誕生した




