↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンソウ・ご先祖様が聖女様かどうかも疑わしい私が王子様達の獲物にされてます。  作者: クワトロばなな
第一部 メレンヘア学園の編入生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/25

第一部 第19話 乱舞!メレンヘア学園舞踏会第一部(ハードル低)①

生徒会室――。

ベガが、サムライとの激闘を終えた副会長ルスカへ労いの言葉をかけていた。


「サムライとの試合……惜しかったわね」


「時間制限さえ無ければ……!」


悔しそうに拳を握りしめるルスカだったが、ふと隣の異変に気づいて目を剥いた。


「っというか……! 」

「あんた、何してる !!?」


「見れば分かるでしょう。舞踏会用のドレスに着替えているのよ」


着替え途中のあられもない姿で、ベガはケロッと答えた。


「そんなもの隣の部屋でやれ!!」


「生徒会役員への来客が来たらどうするの?」


「あんた……そんな格好で対応する気か!? あんたが着替えている間は私が一人で対応するから大丈夫だ!!」


ルスカが顔を真っ赤にして叫ぶと、ベガはフッと微笑んだ。


「では、お言葉に甘えさせていただくわ」


ベガはドレスと制服を手に取ると、スッと隣の控え室へと向かった。


一人残されたルスカは、自分の拳をじっと見つめた。


(……これが『ラックアップ(幸運度上昇)』の効果なのか……?)


「…………」

(……いわゆる『ラッキースケベ』というやつか……!? ……)

(着替え、止めなければ良かったか……?)

一瞬よぎった煩悩を振り払う、生真面目な重装パラディン・ルスカであった。

◇

一方――屋外カフェ。

マセット伯爵夫妻が気を利かせて、スピカへ声をかけた。


「じゃあ、私たちはこの辺で失礼するわね」


「ランチ、ごちそうさまです」

「色々とありがとうございました! 皆様もお元気で!」


スピカが深々と頭を下げると、夫人が耳元でそっと囁いた。


「あなたも舞踏会で、素敵な相手が見つかると良いわね。頑張りなさい!」


「お母様……!」


笑顔で家族を見送るスピカだったが――少し離れた場所から、双子の義弟・ポルックが大声で叫び出した。


「スピカお姉ちゃーーん! 今度また一緒にお風呂に入ろうねーーー!!」


「「「!?」」」


カフェにいた生徒たちが一斉にざわめき立つ。


「えっ……!? なんだなんだ、お風呂ってなんだ……!?」


スピカは顔を真っ赤にして、心の中で涙目になった。


(((ポルック君ーーー! うおーーーい!!)))


家族の後ろ姿が見えなくなった後、スピカは時間を確認した。


(そろそろ『第1部』の舞踏会の時間だわ……比較的分かり合いやすい、ハードルの低い方の舞踏会ね。……せっかくだし、お母様から届いたドレスを着ちゃおうかしら!)


スピカは意を決して、女子寮へと足を運んだのだった。

◇

『忍者屋敷』――。

出店の営業時間が終了し、片付けが始まっていた。


「中々繁盛しましたね! 私、先に上がりますね!」


ハダルが満面の笑顔で同僚の忍者たちに挨拶をする。


「お疲れ様ー!」

ハダルは更衣室へと駆け込み、可憐なドレスへと着替えると、風のように忍者屋敷を飛び出していった。


その健気な後ろ姿を、スティーブが優しく見送る。


「健気だねぇ……」

◇

女子寮の高級特別室では、デネブが鏡の前に佇んでいた。


メイドが美しい金髪碧眼の主人へ向かって、うっとりと語りかける。


「私はお嬢様ほど美しい姫君を存じ上げませんわ……」


「ありがとう」


デネブは素直に礼を言った。


「きっと殿下も、お嬢様の虜になられますわ!」


「……だといいわね」


デネブは豪奢なドレスの裾を華麗に翻し、部屋を後にした。

◇

人の行き来が激しくなった女子寮の廊下で、スピカは遠くに見えた美しい貴婦人の後ろ姿に目を奪われた。


(……すごく綺麗な人。デネブ様かしら……?)


その美しさに溜め息をつきつつも、自室へ戻ったスピカはベッドの上に広げられたドレスを見つめた。


そして意を決して、ドレスへと着替え始める。


鏡の中に映し出されたのは――普段の制服姿とはまるで違う自分の姿だった。


セミブロンドの髪に、吸い込まれるようなブルートパーズの瞳。透き通るような白い肌を包み込むのは、淡い水色の可憐なカクテルドレス。


(うわぁ……)

(……そういえば『第1部』の舞踏会の時間は、シフトだとデネブさんと会長が二人きりなのよね。二人は今頃、何を話しているのかしら……)


ふと頭をよぎる思いを振り払い、スピカは部屋を飛び出した。


(あ……ついつい着替えて飛び出しちゃったけれど……私、ダンスの相手なんていないじゃない……!)


(なんか私……自意識過剰の欲しがり屋さんみたいじゃない……!?)


一人で自問自答して赤面していると、背後から凛とした声がかけられた。


「スピカ庶務!」


「あ……ベガ会計!」


(この人も別次元でお綺麗ーーー!!)


赤を基調とした情熱的なドレスを身に纏い、抜群のプロポーションを誇るベガが、スピカに機器を手渡してきた。


「良いところへ来たわ! 手伝ってちょうだい!」


(……拡声器……?)

◇

二人は舞踏会会場である大ホールへと向かった。


スピカが拡声器を口元に当て、可憐な声を響かせる。


「みなさーーん! 舞踏会を始める前に、生徒会から注意事項がありまーーす! ベガ会計、お願いします!」


ベガが大ホールの壇上へと足を進めると、会場中の生徒たちからどよめきが起こった。


「ベガ様だ……!」


「なんてお美しいんだ……!」


ベガは通る声で、堂々と口上を述べた。


「この伝統あるメレンヘア学園の舞踏会に多くの方がお集まりいただき、大変ありがたく思います」

「この良き催しが代々受け継がれることを、生徒会一同嬉しく思っております」


生徒たちがうっとりと耳を傾ける中、ベガは一転して氷のように冷酷な笑みを浮かべた。


「――だからこそ! この舞踏会における『不正』は一切許しません!! 」


「今から、不純な呪文や薬の効果をすべて解除します!」


ベガが深く息を吸い込み、呪文を唱えた!

「『デスペル・イビル(邪心解除)』!!」


ピカーーッ!!

聖なる光が大ホール全体を包み込んだ直後――会場のあちこちで阿鼻叫喚の修修羅場が巻き起こった!


「あれ……!? なんで私、あんたとダンスを踊ろうとしてたの!?」


「どうして僕が君とここに……!?」


「あんた!! 私にお薬を盛るなんて最低ね!! バカッ! ガンッ!」


スピカが慌てて拡声器で注意を呼びかける。

「か、かなりの数の修修羅場が発生してまーーす!!」


「はい! 舞踏会での『チャーム(魅了)』の呪文、巻物、惚れ薬の使用は一切禁止でーーす! 」


「違反者の方は即刻ご退場願いまーーす!」


不正者を速やかに排除したベガが、スピカに向かって優しく微笑んだ。


「ありがとう、スピカ。……あなたも、もう自由にしていいわよ」

「楽しんできなさい! じゃあね!」


「あ、はい……!」


風のように去っていくベガの後ろ姿を見送り、スピカはぽつんと大ホールに取り残された。


(……お相手、いませんけれど……)

◇

大ホールの片隅――。

セミブロンドの髪、輝くブルートパーズの瞳、透き通る肌に映える淡い水色のカクテルドレスを纏った少女が、あてどなく佇んでいた。


離れた柱の陰から、いつもとまるで違う雰囲気を纏った同僚の姿を、カノープスがじっと見つめていた。


(……スピカさん……)

その時――会場の生徒たちが一斉にざわめき始めた。


「誰だ、あの人は……!?」


「第二王子の……リゲル様だ!!」


「珍しく、正装をお召しになっているぞ……!」


「流石シリウス様のご兄弟だけあって、こうしてみると本当に麗しいわ……!」


「……誰のところへ向かっているんだ……!?」


周囲の視線を一切気にすることなく、リゲルは大ホールの隅で佇むスピカの前まで歩み寄ると――ゆっくりと片膝を折った。


「スピカさん」


澄んだ瞳でスピカを見上げ、リゲルは静かに言葉を紡ぐ。


「……俺と、友達になってほしい」


「……踊っていただけますか?」


その瞬間――『第1部』の舞踏会の開始を告げる優雅な音楽が、大ホール全体に響き渡り始めた。

ページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると励みになります!」

ブックマークも大歓迎!!お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。