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シンソウ・ご先祖様が聖女様かどうかも疑わしい私が王子様達の獲物にされてます。  作者: クワトロばなな
第一部 メレンヘア学園の編入生

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第一部 第16話 激動!メレンヘア学園祭④ ――決着!ルスカvsアルタイル

『サムライ訓練施設』の屋外仮設闘技場にスピカが到着すると、目の前には男子生徒ばかりの長い行列ができていた。


(サムライ訓練施設ね……結構な人だかりだわ。……ん? なんの行列かしら? サムライへの挑戦者……?)


しかし、その行列の先頭にいたのは――漆黒の艶やかな黒髪をなびかせる、凛とした美女。


生徒会会計、ベガ・ドウィンだった。

(あっ、ベガさん! みんなサムライじゃなくて、ベガさんに並んでるんだ……!)


スピカはその様子を観察してみることにした。


順番が来た男子生徒が、意を決して勇気を振り絞り申し出る。


「ベガさん! 僕と『第1部』の舞踏会でダンスを踊ってください!」


ベガがチラリと男子生徒を一瞥すると、無表情で『✕』と書かれたカードをスッと掲げた。


「はは……」


男子生徒は絶望して肩を落とし、失意のままその場を去っていく。


(((省エネーーー!! 『✕』の札しか持ってないじゃない!!)))


あまりに容赦のない対応にスピカが半ば呆れていると、ベガの視線がただのお断り作業ではなく、闘技場の中央で繰り広げられている激闘に向けられていることに気づいた。


(ベガさん、試合をじっと見つめてる……。格闘好きなのかしら? それとも、アルタイルさんのことが……?)


そしてスピカは、アルタイルの対戦相手の姿にようやく思い至った。


(よく見たら……戦ってるの、ルスカ副会長じゃないのーーー!?)

◇

闘技場の中央――。

ルスカは大楯を構えて威嚇しながら、アルタイルに問いただしていた。


「どういうつもりだ! なぜかかってこない!?」


アルタイルは槍を手に、飄々と答える。


「別に。こちらから仕掛ける必要がありませんから」


「それが『武士道』というやつか!?」


「まあ、そうと言えばそうでしょうかね」


アルタイルは肩をすくめて言葉を重ねた。


「サムライが戦うのは最後の手段というか……『できるだけ刀を抜かないのが良いサムライ』なんです」


「のんびりとしたものだな!」


ルスカが鼻で笑って皮肉を叩きつけると、アルタイルは口端を吊り上げ、不敵な笑みを浮かべた。


「そちらこそ、そんなにのんびりしていていいんですか? ……生徒会って、そんなに暇なんですか?」


「……っ!?」


ルスカの額に、じっとりと冷や汗が滲み出る。


(なっ……! まさか奴、私の『13:00からのシフト』を知っているのか……!?)


時間的余裕のないルスカは、声を荒げて抗議した。


「ア、アルタイル君! 時間切れの『引き分け狙い』なんて卑怯じゃないか! それでもサムライか!?」


「はい。俺は『負けなければいい』ので」


開き直るアルタイルの態度に、ルスカは審判を務めるサナダへ確認をとった。


「審判! 魔法の使用は認められているか!?」


「構わんぞ!」


サナダの応答を聞いたルスカは、大楯と木剣を抱えて全精神を集中させた。


「……後悔させてやる!」


ルスカの体から、怒涛の魔力が溢れ出す!


「『ミドルストレングスアップ(中級筋力強化)』!」


「『パワーウェポン(武器属性強化)』!」


「『ディテクトスキルアップ(感知能力強化)』!」


次々と自身の肉体と装備に強力なバフを重ねていくルスカ。


「『ラックアップ(幸運度上昇)』!」

(……運も実力のうちだ!!)


あらゆる強化呪文を叩き込んだルスカは、圧倒的な圧迫感を纏ってアルタイルへ躍りかかった!


「行くぞおぉぉーーっ!!」


「……っ!」


ドカンッ!!


「ぐあっ!?」


ルスカの繰り出した重厚な一撃が、アルタイルの長槍を木っ端微塵に粉砕した!


ルスカが牙を剥いて吠える!


「重ねがけした強化呪文により、私の一撃はもはやモンスタークラスだ! 怪我をしたくなければ即刻降参しろ!」


「……っ!」


「奥義――『疾風乱打』!!」


怒涛の連続攻撃がアルタイルを襲う。


アルタイルは繰り出される剣戟の重さに戦慄した。


(連打攻撃なのに……一振りの一振りが重すぎる……!)


「もう一振りぃぃーーっ!」


ガキィィンッ!!


アルタイルは腰の短剣を突き出し、かろうじて直撃を防いだ。


「うおっ……!?」


「そんな短剣でいつまでも防げるものか! その短剣もろともへし折ってやる! ……奥義!『疾風雷撃』!!」


ルスカが超絶威力の奥義を放つべく、大きく上段へ剣を振りかぶった――その一瞬!


「スキル――『迅速』」


シュンッ……!

アルタイルの姿がブレ、巨大な動作に入ったルスカの懐へと一瞬で潜り込んだ!


パシーンッ!!


「ぐはっ……!?」


ルスカの胴へ、アルタイルの短剣が見事に叩き込まれ、大きな呻き声が上がった。


「はい、空きあり」


アルタイルの涼やかな声が響く。


「……胴!!」


サナダの決定打の宣告が轟いた。


アルタイルは短剣を納めながら、ルスカにニヤリと微笑みかけた。


「副会長……あんたの作戦、そのままいただきましたよ。『大振りになったところを狙う』……ね」


明暗の完全に分かれた二人の中央で、サナダが高らかに審判を下した。


「それまで!! 勝者――アルタイル!!」


「「「おーーーっ!!! あいつ副会長を倒したぞーーー!!!」」」


仮設闘技場全体から、割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こった。


その光景を呆然と見上げていたスピカは、ポツリと呟いた。


「……なんか、バトル漫画……?」


『サムライ訓練施設』の仮設闘技場は、この日一番の異様な熱気と盛り上がりを見せていたのだった。

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