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八月六日④
最悪。何でわたしが殴られなきゃ行けないの。叩かれた頬が熱を持って腫れている。
足も痛い。明日には痣になってる。
あの色眼鏡のカメラマンみたいな男、結局止めきれて無いじゃない。
あいつ、あの岩木とかいう男。絶対許さない。
でもあんなに焦ってた。わたしのスマホを奪おうとしてた。
スマホを鞄から取り出して時間を見ると、まだチェックアウトをしていなかった事を思い出した。
二人部屋だから、もしかしたらもう一泊するかもと軽薄な考えをした自分が馬鹿だ。
え、あいつ警察官なの。
岩木のアイコンをタップし二枚目のプロフィール画像を見ると、交番の中で呑気に欠伸をしている姿が映っていた。
アプリの内容。動画の内容。ひとつひとつ整理しようとする。
身代わり? 花火大会? 仕掛け?
頭の中で、意味が爆散する。
だとしたら、やっぱり本当なのかもしれない。じゃなければ、警察官が一般市民に暴行を働くなんてありえないよね。
わたしも行かなきゃならないという事になるんだ。その身代わりを、あいつはわたしにさせようとしたんだ。
わからないどうすれば良い。
とりあえず、一旦、旅館に戻ってチェックアウトしないと。
あと二十分しかない。ギリギリだ。




