表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花火  作者: あさひ
第三章 八月六日
26/31

八月六日②



 渋滞に捕まってからさらに一時間経っているのに、ほとんど進んでいない。

 くそ。使えねえな。

 何かできることはないかと逸る気持ちでスマホを見返す。


 地図を開くと現在地から二宮駅が割と近い。

 赤い点のロシア人は、いまだに動いている様子はないがいつ追ってくるとも分からない。

 

 箱根方面に行くルートを調べると、東海道線で小田原まで行き、そこからは登山電車など乗り継いで行けるらしい。渋滞には嫌気がさしていたからちょうど良い。


 タクシーのメーターはぐんぐんと上がっていく。

 このままじゃ降ろした金が無くなる。


「降ろしてくれ」痺れを切らして運転手に金を差し出す。

「え、ああ、そうですか。まあこう渋滞じゃ九時くらいになってしまうかもしれませんしね。領収書は?」


 いや九時につかねえだろ。日が暮れるわ。


「要らない」タクシーを降りて時計を見ると七時近くだった。この時間ならもう始発も出てるはずだ。


 二宮駅に向かって歩き出し、女にメッセージを送る。


『事故渋滞と工事の二重苦で、少し時間が掛かってしまい申し訳ありません。箱根には10時頃に着くと思いますが、待ち合わせはどこにしますか?』


 電車に揺られたら、多分寝るな。

 寝過ごして通り過ぎたらシャレにならない。


 すぐ近くのコンビニで水を捨て、眠気覚ましのレッドブルを買う。

 一気飲みしていると駅まで一直線の交差点が見えた。


 ……本当にこの女にチケットを渡せば、この逃走も終わりにできるのだろうか。

 向こうも同じ事を考えているはずで、かといって代わりに吹き飛ばされるつもりも無い。


 承諾させなければいけないのなら、乱暴な手は使えない。


 めんどくせえ。何としてもこいつになすりつけて、爆発してもらう。それ以外の答えなんざどうだっていい。

 

 駅に降りると、小田原行きの電車がホームに滑り込んできた。バイパスと国道の足止めのせいなのか、日曜日の朝なのに車内はぎゅうぎゅう詰めの満員電車でうんざりする。

 

 うそだろ。と思いながらも仕方なくそれに乗り込む。

 押し合いへし合いしながら、隠れるようにして通路の真ん中付近まで進んだ。


 これは、寝られたもんじゃねえ。


 やっちまった、と思う。腕の一つも動かせない。スマホはポケットに入れたままだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ