第一話 〜あやかしの町にて〜
俺は小鳥遊悠璃! 只今、訳あって見知らぬ場所に来てしまいましたっ!!
__二時間前
「ここ……どこだよぉ!?」
見知らぬ店が立ち並び、人ならざる者が俺の前を通り過ぎていく。
それはエルフや獣耳っ娘というものでは無かった。
人ならざる者……つまり「妖怪」だ。
俺の記憶が正しければ地球にこんな場所は存在しないはず。
ましてや俺は死んだのだ。そうなると……
「異世界転生ってやつなのかなぁ。俺の想像とは違うけど……」
妖怪……正直、俺は妖怪の類いを信じていない訳ではなかった。ただ、「いるかもしれないものだ」と。何せ、今や大人気なパンダでさえ昔はUMA扱いされていたわけで……
「って今はそんな事考えてる場合じゃねぇ!」
俺は異世界転生(仮)をしたわけだ。もし俺の住んでいた日本の文化が通用しなければ……どうする?
もし言葉が違えば……それは異世界設定で何とかなるだろう。
もし食べる物が違えば…物によるがそれは困るな。俺は米派、パン派は問わないがヘビだのカエルだのゲテモノ系は苦手だ。そう考えると妖怪は人を……!?
「あの……?」
「ヒッ!食われる!?」
「食われるって何ですか!妖怪聞きの悪い……」
妖怪聞き?初めて聞いたが……
「私は同種なんて食べませんし別種でも食べませんよ!」
か、顔が近い!
「わ、分かった分かったから!」
ビックリしたなぁ…女の人とここまで急接近したのは初めてかもしれないな…
「で?俺に何か御用で?」
「え?あ、そうです!貴方に聞きたい事が…」
俺に聞きたい事?ここに来たのは初めてなんだし答えれる事なんて……
「貴方、私の所で働きませんか?」
「へ?働く……?」
「そうです!貴方、見た所ここでの生活に困っていませんか?」
「確かに困ってた所だが……」
こいつ今サラッと失礼な事を……まぁあながち間違ってないから言い返せないんだが。
「実は私、飲食店を営んでいるのですが、人手に困ってまして……良ければ私の下で働きませんか?もちろんタダでとは言いませんよ?」
うーん……確かに俺はここでの生活に困ってた所だ。だが俺はまだ中学生だぞ?まぁ彼女の見た目からしてこの世界に職の年齢は関係無いのかもしれない。
そして俺にとってメリットが大きい。何せこれからの生活に困ってた所だし、多分ここでも金でのやり取りがあるようだ。なら金を稼がないと生活が困難になるだろう。そんな俺に彼女は職を提供しているわけだ。
だが何か怪しいっていうか……新手の詐欺だったりブラックな飲食店なら避けといた方がいいだろう。
それに、こんな時ほど俺の勘は当たりやすいんだし……
「有難い話なんだけど……やっぱり遠慮させてもらおうかな」
「そ、そうですか…それは残念です……」
こいつ!涙目に……!
「………?」
「うっ」
そんな目で見ないでくれ!罪悪感が……
「仕方ないですよね……」
傍から見たら俺が彼女を泣かせた様な絵面になってないかこれ?
「では……すみません」
彼女がそういって俺の顔元まで迫ってくる。
「だから近いって……!」
「ふぅっ」
彼女は俺に息を吹きかけた。その瞬間、急に目眩がした。頭もフワフワしてきた。
「うっ! 俺に何を……」
「少しの間寝てもらうだけですよ?」
「俺は……どうなるん……だ……」
そのまま俺は意識を失った──




