第十一話 自分もストーカーされてる?
「あー、ソウ君だ。おはよう」
「美緒ちゃん、おはよう。今日も遅刻しなかったんだな」
朝、学校に行き、校門の近くまで行くと、今日も美緒ちゃんは遅刻をせず、学校に来ていた。
二日続けて遅刻しないで学校に来るのは珍しいというか、俺もあまり記憶がない。
「ソウ君が美緒が遅刻しないで来ると喜ぶと思って、頑張って早起きしたの。偉い?」
「はは、偉い偉い。これからも、遅刻しないで来れるようにしないとな」
「うん」
俺が喜ぶから、頑張って早起きしたか。
本当なら嬉しい言葉なんだけどさ。美緒ちゃん、俺の彼女でもないのに、そんな事を言うなんて、やっぱり幸助のこと、本当はどう思っているのか……。
「幸助はどうしたの?」
「朝から生徒会の集まりがあるみたいだよ」
「ああ、あいつも大変だな」
「うん。ソウ君は、幸助君とどうして仲良しなの?」
「俺? えっと、一年の時から同じクラスでさ。席が俺の前だったんだよ。それで……」
それでどうなったんだっけ?
あいつと仲良くなったきっかけは何だったか……好きなゲームだか、配信者の話題で盛り上がったとかだっけか。
そんな些細な事だったけど、基本、幸助は誰とでも仲良くされそうなタイプだしな。
「まあ、気がついたら仲良くなっていた感じかな」
「あはは! 友達ってそんなんだよね」
美緒ちゃんは無邪気に笑ってそう言ったが、実際に友達なんてそんな感じで深い意味もなく出来るのが多いんじゃないかな。
だが、恋人となるとまた違う気がする。
何となく何もしないで彼女が出来ちゃうなんてまずないわけで、何かしらのきっかけは必ずある筈だ。
幸助は美緒ちゃんの無邪気なところが好きになったとは言っていたけど……。
「じゃあ、俺はこの辺で。またね」
「もう帰っちゃうの?」
「いや、俺の家、こっちだし……ああ、美緒ちゃんの家まで一緒に行くか」
「うん」
美緒ちゃんがものすごく名残惜しそうな顔をして引き留めてきたので、少しでも長く一緒にいてあげようと、美緒ちゃんの家まで送ることにした。
今日は幸助が居ないから、きっと寂しいんだろう。
翌日――
「というわけで、この助詞の使い方は……」
既に二時間目の授業が始まったが、美緒ちゃんは今日はまだ来てなかった。
昨日と一昨日はちゃんと遅刻しないで来ていたんだが、三日坊主にもならなかったようだ。
美緒ちゃんらしいと言えば美緒ちゃんらしいけどさ……あんまり、遅刻が多すぎると、色々とまずいんじゃないかな。
もう美緒ちゃんの成績じゃ推薦も厳しそうだし、これだけの素行不良だと就職も……まあ、俺には関係ないか。
美緒ちゃん、進路はどうするんだろうな。
ウチの高校はこの辺では一応、それなりの進学校で殆ど大学を志望はしているけど、美緒ちゃんの成績だとどうするのかなとふと心配にはなってしまったが、俺が考えてもしょうがない事だ。
それよりも自分の事だよ。俺だって、別に成績がいいわけでは……。
ガラっ!
「ん? 皆川、また遅刻か」
「すみません……」
二時間目の授業が終わるころになって、美緒ちゃんはやっと教室にやってきて、力なく返事をし、自分の席に着く。
取り敢えず学校には来てくれて良かった。
幸助は特に気にする様子もなく、美緒ちゃんと目を合わせる事もないまま、授業に集中していた。
「よう、今日は学食?」
「ああ、そうしようかな。美緒ちゃんは?」
「美緒は、ほら。今日は友達と食べるみたいでさ」
昼休みになり、幸助が学食に誘ってきたが、美緒ちゃんはどうしているのかと思うと、教室の隅の方で女子の友達とパンを食べていた。
美緒ちゃんもちゃんとクラスに友達はいるのだ。何かオタクっぽい女子が多いけど、アニメが好きだからかな。
「じゃあ、行こうか。あ、そういえばさ」
「何だ?」
「お前、いつの間にか美緒のこと、名前で呼んでいるんだな」
「う……美緒ちゃんが、名前で呼んでくれって言うから……」
「ああ、別に良いんだけどさ。美緒もやっとお前にも心を開いてくれたんだな」
「そ、そうか?」
「そうだよ。あいつが頼れる奴は一人でも多い方が良いんだ。わかるだろ、言いたいこと?」
美緒ちゃんが頼れる奴は多い方が良い。
うん、何となくはわかる。すごく危なっかしい子ではあるしさ。
「それでさ。この前、見た奴で……」
「先輩方。ちょっとよろしいでしょうか?」
「ん? 桐子ちゃん、どうしたの?」
学食に向かう途中で、桐子ちゃんが俺達に声をかけてきたので、何事かと訊くと、
「お話があります。ちょっといいですか?」
「これから、学食に行くんだけど、そこじゃ駄目?」
「ここで良いです。皆川先輩の事なんですけど。これ、どういう事ですか、佐藤先輩?」
「ん? これは……え?」
桐子ちゃんがスマホで何か写真を見せると、俺と美緒ちゃんが彼女の家の前で一緒にいる写真……って、いつの間に?
これは昨日の写真だよな、多分。
「これは浮気じゃないですか! そうですよね、佐藤先輩」
「いや、これは昨日、一緒に帰っただけだって。美緒ちゃんの家まで送っていたんだよ」
「美緒ちゃんとかシレっと言っているじゃないですか。お二人、やけに仲が良いと思いましたけど、やっぱりそういう関係だったんですね。幸助先輩も、見てください。彼女が他の男を家に連れ込もうとしているんですよ!」
「お、おう……これ、いつの写真?」
「昨日の……言っておくけど、本当に美緒ちゃんの家まで送っていっただけだからな。中には入ってないし、何もしてないぞ」
「ふん、あのゴミ屋敷には、そりゃ入りたくないですよね。私だって二度とゴメンです。でも、仮に疚しい事がなくても、皆川先輩って、こうやって、他の男と……ましてや、彼氏の友達と平気で仲よくするような女って事ですよ。それ、まともじゃないですよね?」
「だ、だからさ……本当に一緒に帰っただけだって」
「それをどう判断するかは私じゃないので。それでは」
「あ、桐子ちゃん」
とだけ言って、桐子ちゃんは俺達の元を足早に去っていった。
まさか桐子ちゃんが尾行していたとは……全く気が付かなかった。
「何だったんだろうなー、桐子ちゃん」
「何って……俺と美緒ちゃんの浮気の証拠とか思っていたんじゃないの。言っておくけど、本当に何もしてないからな。美緒ちゃんが家まで送ってってくれって……」
「わかっているよ。別に疑っている訳じゃないって。というか、桐子ちゃんが何であんな写真撮っているんだろうな。お前のこと、ストーキングしているの?」
「ははは、だったら嬉しいんだけど……」
むしろ、ストーキングされているの幸助の方だっての。
しかし、桐子ちゃんもヤバイ子だな。美緒ちゃんの浮気の証拠を掴んで、幸助と別れさせようって考えている?
あんな可愛い子なんだから、別にそこまでしなくても他に良い男は……。
というのは俺の主観なんだろうな。
放課後――
「まいったな。桐子ちゃんともちょっと話をしないと」
帰りのホームルームが終わった後、桐子ちゃんと話をしに、体育館へと向かう。
今日は新体操部の練習をするだろうから、そこで部活の前に話をしておかないと。
「ソウ君、何処に行くの?」
「ああ、ちょっと……桐子ちゃんのところに」
体育館に行く途中で、美緒ちゃんに声をかけられたが、美緒ちゃんにも関係ある事だから、一緒に……。
「桐子ちゃん? 美緒も行くー」
「へ? あ、ああ。じゃあ、行こう」
俺が言う前に美緒ちゃんも付いて行くと言い出したので、二人で体育館へ向かう。
何とか美緒ちゃんとの誤解を解かないと……というより、俺や美緒ちゃんに付き纏うのは止めさせないとな。
「




