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下校

***


放課後。


昇降口では靴の音と笑い声が交錯し、

下駄箱の扉が軽い音を立てている


遊馬にはもう数人の友人ができていた。


帰り支度を整えた彼らが、

「帰り、駅前寄ってこうぜ」と軽口を叩きながら靴を履いている。


遊馬も小さく笑って、それに応じていた。


「……おい。転校生。」


低い声が呼び止める。


振り返ると、昇降口の陰に上角空斗が立っていた。


ポケットに手を突っ込み、無言のまま近づいてくる。


その眼差しには、”険”が窺えた。


周囲の空気が、わずかに浮足立つ。


「……上角くん?」

「なんで転校生に?」


囁く声。


周囲に動揺が広がる。


機嫌が悪そうなその表情に、

関わらないほうが得策――

全員が、ほぼ同時にそう判断した。


「……わりぃ、俺ら先行ってるわ。」


苦笑を浮かべた一人が先に動き、

他の二人もそそくさとその場を離れ玄関をくぐる。


その場には、二人だけが残った。


「上角くん、だっけ。何か用?」


空斗は近づき、目を見据える。


「一昨日の夜、どこにいた。」


唐突な問いに、一瞬の間。


「一昨日?」


思い出すように、視線を宙空に巡らせる。


「家にいたけど。……何?」


空斗の眉がわずかに動く。


「裏通りで……お前を見た気がする。」


遊馬の顔に疑問が浮かぶ。


「見た“気がする”?」


だが、空斗は答えない。


「悪いけど、覚えがないな。人違いじゃないか?」


淡々とした声。


そのまま二人の間に、沈黙が流れる。


空斗は視線を足元に流した。


「……悪いな。変な質問して。」


溜め息を吐き、踵を返す。


頭を掻きながら、外の方に向かって行った。


夕陽に照らされた窓が眩い。


玄関をくぐる。


吹き抜けた風が落ち葉をさらう


空斗は気づかない。


その背に刺さる、鋭い視線を。


遊馬は、獲物を探る狩人のような目をしていた。


***


赤く染まった通学路を、無言で歩く。


――関係ないのか。


似てる…気がした、だけなのか。


蟠ったもどかしさが、胸に渦巻く。


「空斗!」


呼ばれて顔を上げると、校門の脇から沙月が駆け寄ってきた。


「なにしてんの、あんた。

 転校生に絡んでたでしょ?」


「……は?」


「見てたんだから。

 昇降口で、脅してたでしょ。

 あの子、困ってたじゃん。」


「別に、脅してねぇよ。」


「いや、どう見ても絡んでたから。」

沙月はため息をつく。

「ったく。何やってんのよ、転校生相手に。」


「何って……話しただけだ。」


「話しただけって感じには見えなかったけどー。」


沙月がジト目で睨んでくる。


それを無視して歩き出す。

沙月は数歩遅れてついてくる。


冬の風が吹き抜け、

二つの影を並べて伸ばしていった。

今回は前半だけ3人称です

「視線」のために、それで書きました

でも、3人称ってやっぱり熱?感情?がこもらないよな 難しい

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