表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/53

転校生

あれから二日経った。


朝の教室。

いつも通りのざわめきが教室を満たしている。


誰かの笑い声。

机を叩く音。

窓の外から、部活の掛け声が聞こえてくる。


昨日も、一昨日も

何度もあの情景を思いだした。


だが、取り囲む日常が、それは夢だと幻だと訴えかけてくる。

確信は風化し、曖昧に揺らいでいた。


チャイムが鳴り、担任が入ってくる。

「はい、席につけー。今日は転校生がいるぞ。」


担任が後ろを振り返り、ドアを開けた。


入って来るその姿に、息を飲む。

全身がこわばり、指先が固まる。


――似ている。


血の中で佇んでいた男と。

あの夜の情景が、目の前と重なる。


「自己紹介、頼む。」


担任の声が遠く聞こえる。


男が前に出た。


その動作は静かで、落ち着いていた。


遊馬暁士あすま きょうじです。よろしくお願いします。」


穏やかな声。


あの時の声と同じだろうか。


思い出そうとするが、靄がかかりハッキリしない。


(……あいつなのか?)


思考がうまく繋がらない。

言葉にならない何かが、胸をざわつかせる。


転校生の登場に、教室は少しだけいろめく。


「わりとイケメン」と誰かが囁く。


遊馬は応えるかのように小さく微笑む。

自然で、柔らかな表情。


どこにも、おかしい点は見当たらない。


その視線が教室を一巡し、


一瞬だけ、目が合った――気がした。


それだけで、鼓動が止まる。


遊馬は教師に促され、空いている席へと歩いていく。

何ごともないように。


いや、錯覚か――。


沙月が小声で言う。


「どうしたの、空斗。なんか変だよ?」


「…別に。普通だろ。」


「ふぅん。」


沙月はすぐに前を向いた。


気づけば、担任が点呼を始めていた。


転校生の背中を横目で見る。


その姿には、違和感も何も見つからない。


だが、あの“あったはずの夜”が――


静かに、その輪郭を取り戻し始めていた。

うっかりしてました 「上角」は「かずみ」と読みます ごめなさい!

自分の中で当たり前になっていたので

ルビ振らなきゃ分かりませんよね(なろうのルビの仕組みにも慣れていないので…)

4話で振っと来ました


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
たしかに自分の中で当たり前になっていることはありますよね。 わたくしもそういったことがありましたので、とてもよくわかります。 物語が少しずつ動き出している印象を受け、この先が楽しみです。 ゆっくり楽し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ