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登校

最寄り駅から少し離れた広い敷地。


その一角に校舎はあった。


私立東方学園高校。


中学から大学までの一貫校で、マンモス校。


といっても、エスカレーターで大学に上がれるわけではない。


普通科から進学できるのは一握りだ。


大学へ進むのは、ほとんどが別校舎の特進科の生徒たちだった。


大学の偏差値は、それなりに高い。


もっとも、進学する気など端からなかったが。


他にも、工業科、スポーツ科、芸術科、国際科などがあり、多様性に富んでいる。


この敷地にあるのは、普通科と工業科、そしてスポーツ科。


その他のコースは、ほど近い場所や何駅か離れた場所に

それぞれ校舎を構えている。


校門をくぐり、昇降口へ。


生徒が行きかい、聞こえる挨拶の声が増える。


沙月も何人かと挨拶を交わす。


グラウンドでは、どこかの部活の連中が、声を出して走っている。


階段を上がり、教室に入ると、始業前のざわめきが聞こえてきた。


窓際の席に腰を下ろし、鞄を机に掛ける。


脳裏には、まだ、あの光景がこびり付いていた。


机に腕を投げ出し、肘をついて頭を掻く。


(……なんだったんだ、一体。)


上角かずみ、今日テンション死んでんな。」


隣の男子がニヤけた顔で話しかけてきた。


「……別に。」


「いや、顔に書いてあるぞ。何やらかした?」


「うるせぇ。」


短く返すと、男子は「ハイハイ」と肩をすくめ、スマホをいじり始める。


「相間ー、佐伯が呼んでるぞー」


クラスメイトの声が飛んだ。


視線を上げると、教室の入り口に女子が立っている。

沙月が小走りでそちらへ向かった。


沙月と同じ部活の佐伯だ。二人は弓道部で、友人だ。

何やら楽しげに言葉を交わしている。


その様子を、ぼんやりと眺める。


目の前に広がる、何の変哲もない日常。


それを見ていると、”アレ”が夢だったような気がしてくる。


だが、ふと匂いを思い出す。


脳裏に情景がよみがえる。


(……やっぱり、夢じゃねぇよな。)


ホームルームのチャイムが鳴り、ざわめきが静まっていく。


息を吐き、現実の温度を確かめた。

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