決勝戦1
一回戦から一時間後。
エキシビジョンマッチを挟み、決勝戦が始まる。
ケージの中。
目の前の藪木は疲労から回復したようには、見えた。
相変わらず陰気な雰囲気で、こちらにギラついた眼を向けてくる。
レフリーのコールが終わる。
ケージを囲む熱気が、一瞬、静まった。
呼吸の音だけが聞こえる。
試合が始まった。
藪木は近づくと、蹴りが届かない距離で止まり、その間合いをキープする。
その目は、こちらに踏み込む隙を虎視眈々と狙っている。
(ならば――。)
こちらから踏み込み、勢いのままサイドキックを放つ。
躱され、蹴り終わりに拳を返してくる。
連続で繰り出される藪木の拳が頬を掠め、腕を弾く。
拳を返すが、スウェ―とガードによってクリーンヒットはしない。
ガツッ。
ローキック。
拳の応酬に混ぜて繰り出したそれが、藪木の脚に直撃した。
顔に微かな歪み、だが、藪木は拳を止めない。
防御しつつ下がりながら、振り上げた前蹴りが脇腹にヒットし、藪木を突き放す。
パンチのフェイントから、再度ローキック。
――ッ!
藪木のストレートが、空を裂く。
上体を捻るが避けきれず、ガードの上に被弾。
くっ――!
蹴りに合わされたために、バランスを崩しかける。
追い打ちをかけるような拳の乱打。
(……っ、速い!)
両腕で制空圏を作り、パリィとガードで防ぐ。
後退しながらも、なんとか防御を保つ。
だが、その腕が削られていく感覚。
脳裏に、宇郷戦の情景が浮かぶ。
(このままではまずい!)
藪木が前に出たタイミングで、胴タックルを仕掛けた。




