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会場
夕暮れが、街の輪郭を鈍くしていた。
時計を見れば、十八時を少し回っている。
指定されたビルは、駅から少し離れた裏通りにあった。
表向きは、ただのテナントビル。
だが近づくにつれ、ただのビルではない匂いがした。
ビル脇の階段を下りる。
下へ行くほど、低音が腹に響いてくる。
ドンドン、と。
鼓動に似たリズム。
階段の突き当たりに、扉があった。
扉を抜けると、生温い熱気を感じる。
照明の光が差し込んでくる。
赤と青が交互に明滅し、足元の影が揺れた。
――ライブハウス。
壁面には光沢のある黒のパネルが敷き詰められ、赤いラインがところどころを走っている。
照明は低く抑えられ、光の輪郭が床や壁に濃く影を落としていた。
中央に金属ケージが見える。
鉄格子が組まれた円形の檻。
フロアの光は、そこに集まっていた。
取り囲むように客が集まり、立つ者、前かがみになる者、腕組みする者とさまざまだ。
バウターに見える男たちも混じっている。
ケージを包む騒めきが空気を揺らしていた。
「チケット。」
横の受付に呼び止められる。
ピアスだらけのパンクな外見をしている。
「出場者の上角。」
応えると、了解した顔で奥を指さした。
控え室の扉が見える。
向かいがてら、ケージに近づく。
中では二人の男が闘っていた。
目を見開く。
一人は土門だった。




