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しかしすぐに余裕の表情を浮かべると、自信たっぷりに言い放つ。
「最近、よく当たると評判の占い師が街にいるらしいわ。どちらがセリオ様にふさわしいか見てもらいましょ」
少女は、タニアの返事も聞かずにくるりと踵を返す。
「えっ? ちょっと待ってよ。まさか今から行くつもり? アタシ、まだ仕事中なんだけど」
タニアのそんな言葉に、今度は少女が挑発的に鼻を鳴らした。
「あら。やっぱり、私がセリオ様に相応しいと言われることが怖いのね? 尻尾を巻いて逃げたって構わないのよ」
あまりにも自分本位な少女の物言いに、タニアはあからさまに大きなため息を吐く。
「もう。本当に面倒くさい人ね。逃げたりしないわよ。いいわ。今日はもう終いにするから、もうしばらくだけ大人しくそこで待ってて」
タニアは湯沸かしの火を止め、忙しなく雨戸を閉め始めた。
その背を、少女は面白くなさそうに見ていた。
「香草亭」を閉めたタニアは、少女と連れ立って街の中心部へとやってきた。
タニアは、少女のいう占い師がどこにいるのかなど全く知らない。
自信満々に「こっちよ」とだけ言ってずんずんと進んでいく少女の後に続く。
途中、甘い香りがタニアの鼻をくすぐり、思わず足が止まった。
匂いの出処を探してキョロキョロとしていると、少女が「何やってるのよ」と苛立った声を上げる。
そして、タニアが足を止めた理由に気づいて、小馬鹿にするように笑う。
「ああ。匂いに釣られたのね。コレだから小娘は」
やれやれと言いたげに少女は肩をすくめると、少女はタニアの手を取り再び歩きだす。
「早く行くわよ」
「ちょっと! ちょっと待って」
タニアは、少女に引きずられながらも必死に声を上げた。
しかし少女は気にする様子もなく、ずんずんと進んでいく。
「ねぇ。ねぇってば。あのお店って」
「もう、何?」
絶え間なく問いかけてくるタニアが鬱陶しかったのか、ようやく振り返った少女は苛立たしげに立ち止まった。
そのチャンスを逃すまいと、タニアは嬉々として少女に問いかける。
「あそこって、もしかしてスイーツ店じゃない?」
タニアは少女の手を振り払うと、再び店の前に駆け戻る。
そして店の軒先に吊るされた看板を食い入るように見つめた後、少女に向き直った。
「やっぱりそうよ! ねぇ、ちょっと寄って行かない?」
タニアは満面の笑みで少女に誘いをかける。
しかし、途端に少女の眉間に皺がよった。
「はぁ? どうして、私があんたとお茶しなきゃなんないのよ?」




