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ギルド嬢は、こっそりヒミツを暴きたい!  作者: 田古 みゆう


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6-27

 ターム事件から数日が経ち、街は落ち着きを取り戻していた。

 残念ながら、被害にあった者たちはまだ目覚めてはいないようだったが、それでも身体的衰弱は脱したようだと「香草亭」を訪れた客たちが教えてくれた。


 あの事件を機に「香草亭」の客足は、以前よりも増えた。

 最初のうちは傭兵が経過を伝えに来たり、被害者の家族がお礼を言いに来たりしていただけだった。

 しかし、「香草亭」のハーブ入りのお茶やお菓子を口にしたところ体調が良くなったという評判がその者たちから徐々に広がり、今では開店中に客足が途絶えることはなくなった。


 その盛況ぶりは、ギルドの隠れ蓑として「香草亭」を始めた当初目指していた形でもある。しかし、タニアの顔は晴れなかった。


 その理由は二つ。

 忙しくて人手が欲しいというのに、セリオが顔を見せなくなったのだ。ジャックスは時折ふらりとやってくるが、表向きは「香草亭」とジャックスは無関係。カウンターの端から室内の隅々へ視線をやることはあれど、手伝ってはくれない。


 そしてもう一つ。タニアがギルド嬢として「香草亭」を運営するに至った本来の目的、両親の情報を得るという点については、全く成果をあげられていなかった。

 確実に何かを知っていそうだったノルダは、案の定旅に出たのか、あれから一度も姿を見せていない。タニアは何度かノルダの家を訪ねてみたが、いつも留守だった。


 タニアは大きくため息をついた。


(アタシ、やり方を間違えたのかな)


 そんな考えが頭をよぎり、慌てて首を振って追い払う。

 成果はこれから。

 今はそう信じて待つしかない。

 だから今日もタニアは精一杯働くのだ。


「まだいいかしら?」


 夕刻前になりようやく客足が落ち着いた頃、一人の少女が「香草亭」へやってきた。


 年のころは、タニアと同じか少し上くらい。長い栗色の髪をゆったりと三つ編みにして背中にたらした少女は、見るからに生地のいいドレスに身を包み、ヒールの高い靴をはいている。貴族か、裕福な家の令嬢であろうことは想像できた。


 そして、何よりも目を引くのはその瞳だった。まるで宝石のように輝くエメラルドグリーンの瞳が印象的だ。長い睫毛に覆われた大きな眼とぷっくりとした唇は、見るものすべてを魅了するかのような愛らしさがある。おしゃれ好きのタニアも思わず見とれてしまうほどの造形美だ。


 タニアはしばし目の前の少女の美しさに目を奪われていたが、すぐに我に返り気を取り直すと笑顔で応えた。


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