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ジャックスの言葉にタニアは納得しきれない様子だったが、セリオは素直に頷いた。
(確かに。リゼラルブ様ならあり得る)
「転信器は、リゼ……オーナーからの受信用。急用以外、こちらからは発信しないという使い方でいいですか?」
セリオが尋ねると、ジャックスは大きく頷いた。
タニアはまだ不服そうだ。
「じゃあ、急ぎの連絡はどうするのよ?」
タニアの言葉に、ジャックスは問題ないと言いたげに、もう一つの魔道具を指し示した。
小さなコップのようなものが棒に括り付けられている。それを支える水晶の台座には、転信器同様、魔石がはめ込まれていた。
「この通信器で連絡してこい。これは、プレースメントセンターの俺の部屋と繋がる」
そういいながら、ジャックスは魔石をタニアに手渡した。先ほど転信器を起動させた魔石だ。
「やってみろ」
ジャックスに促されて、タニアは怖々魔道具を起動させた。
小さな魔法陣が浮かび上がる。魔法陣はパカパカと点滅を繰り返していたが、やがて点滅をやめて一瞬カッと光を放つ。
すると、魔法陣から男性の声がした。
《はい。こちら商業ギルド……じゃなかった。プレースメントセンターでございます》
ここにはいない老齢の男の声が響いて、タニアとセリオは息を飲んだ。
呆けた様子で魔道具を見つめる二人に構うことなく、ジャックスが呆れたような声を出す。
「おいおい、親父。しっかりしてくれよ。コイツらが混乱するだろ」
《おや? その声はジャックス君ですね。失礼しました。こちらは感度良好です》
「そりゃ良かった。じゃあ、一旦切ってそっちから繋ぎ直してくれ」
《はいはい。わかりましたよ。少々お待ちください》
その言葉を最後に、魔法陣はその輝きを失い、弱々しい点滅に変わった。どうやら魔法陣の向こう側が通話を切ったようだ。
驚きに固まっているタニアに、ジャックスが声をかける。
「おい。もう魔石を離していいぞ」
言われるがままにタニアが魔石を離すと、弱々しく点滅していた魔法陣がスウっと消えていった。
「今度は向こうから繋げてくるから、応答してみろ」
「お、応答?」
タニアがぽかんと口を開けたまま固まっていると、ふたたび魔法陣が浮かび上がった。今度は強い光のまま点滅している。
「ほら、来たぞ」
「ど、どうすればいいのっ!?」
タニアが半ばパニックになりながら叫ぶ。
その様子に、ジャックスは呆れたように肩をすくめた。
「どうもこうもねぇ。さっきと同じように、魔石を合わせろ」




