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寝不足の店長、存在がもうギャグ
店長は今日も寝ていない。
正確に言うと「寝ようとはした」。
目を閉じた瞬間、
「明日のシフト大丈夫だったかな」
「発注したっけ?」
「そもそも俺、昨日帰ったっけ?」
──そう考えているうちに朝になったらしい。
開店準備中、
店長はコーヒーを淹れながらポットに話しかけていた。
「……でさぁ、昨日の続きなんだけど」
誰もいない。
返事もしない。
でも店長は満足そうにうなずいた。
「だよな」
開店後、
レジでぼーっと立つ店長。
お客さん「すみません、これお願いします」
店長「はい、ポイントカードは……
……あ、違う。
……あれ?」
沈黙。
店長「……夢じゃないですよね?」
お客さん「え?」
店長「ですよね、すみません」
昼過ぎ、
スタッフが声をかける。
「店長、大丈夫ですか?」
店長「大丈夫。
俺はいま覚醒してる」
そう言いながら、
なぜか冷蔵庫に伝票を入れ、
ゴミ箱にハンコを捨てかける。
全員で止めた。
「……寝ます。今日こそ」
そう宣言した店長は、
その日の閉店後、
椅子に座ったまま5秒で落ちた。
存在がもう、ギャグだった。




