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店長、異世界会議に出る(ほぼ寝てる)

翌日――いや、正確には同じ深夜。

Midnight Mart 王都支店の裏口は、

見たこともないほど厳重に警備されていた。

槍を持つ騎士。

魔法陣を展開する魔術師。

その中心を――

紙袋を提げ、よれよれのシャツ姿で歩く男。

店長である。

ユウト

「なんでこんなことに……」

リゼリア

「王国評議会が“店長殿の意見”を求めております」

ユウト

「意見!?  この人、今さっきまで床で寝てましたよ!?」

店長

「……起きてる……  一応……」

アリシア王女が深く頭を下げる。

「店長殿。  本日は王国の今後について、  ぜひお力添えを――」

店長

「……あー……  イス、ある……?」

王女

「もちろん、最高位の椅子を――」

店長

「……背もたれ……  高いやつ……」

ユウト

「要望が生活感しかない!!」

王国評議会・大広間

壮麗な円卓。

集うのは、宰相・将軍・大神官。

そしてその中央に――

コンビニの折りたたみ椅子。

店長が座った瞬間、空気が変わった。

大神官(小声)

「……あの男……  “場”を自分仕様に書き換えている……」

宰相

「無意識で……!?」

ユウト

「だからただの寝不足ですって!!」

宰相が咳払いをする。

「では……店長殿。  最近、影界の動きが活発で――」

店長

「……うん……」

宰相

「我が国としては、どう対応すべきか……」

店長

「……うーん……」

全員、固唾を飲む。

店長

「……とりあえず……」

ユウト

(やばい、来る……!)

店長

「……夜は……  ちゃんと寝た方がいい……」

沈黙。

将軍

「……それは……」

大神官

「真理……!」

宰相

「確かに……  夜間警備の疲弊が……」

ユウト

「納得しないで!!」

店長は続ける。

「……無理すると……  判断ミスる……」

王女

「……!」

リゼリア

「……!」

老人

「……!」

全員

「「「それだ!!!」」」

ユウト

「えぇぇぇぇぇぇ!?」

宰相

「つまり……  影界の侵攻は“疲労”を突いてくる……?」

大神官

「睡眠不足が、名の揺らぎを招く……!」

将軍

「よし!全軍、交代制を導入せよ!!」

ユウト

「話がでかい!!!」

店長は椅子で揺れながら、ぼそっと。

「……あと……  ツナマヨ……  うまい……」

大神官

「神託だ……!」

ユウト

「神託にするな!!」

数分後。

会議は終了。

決定事項: ・王国全体に睡眠推奨令

・夜間警備にツナマヨ配給

・Midnight Martは「準公的施設」扱い

ユウト

「責任が重い!!!」

店長は立ち上がり、ふらっと歩き出す。

「……じゃ……  帰って寝る……」

アリシア王女

「店長殿……!  国を救ってくださり、感謝を……!」

店長

「……ポイントカード……  作る……?」

王女

「即作ります」

ユウト

「王女様!?」

裏口を抜ける直前。

店長は振り返り、ユウトに言った。

「……ユウトくん……」

ユウト

「はい……?」

店長

「……次のシフト……  休み取っていいよ……」

ユウト

「神!!!」

リゼリア

「……名の王より上位かもしれません……」

蛍光灯が光る。

Midnight Mart 王都支店――

世界を救うのは、いつだって眠い人だった。

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