第22話:バンド・メーカーの危機
午後7時59分になったとき、ルシティにソラの書き込みがあった。『詐欺にあった。アカウントが乗っ取られました。対応方法』
「アカウントが乗っ取られた可能性のある場合、――」ルシティは汗の絵文字を表示したい欲求に駆られた。「どうやってわかりましたか?」
『パスワードが8日前に変更されているって、出てくるんです――変更なんて、してません。閉め出されました』向こうも汗が滲むほど真面目に書き込んでいるのだろう。すべて漢字になっている。
「まずは、すべてのデバイスを強制ログアウトさせてください。――方法は――それから、トライアンドッグ社の公式サイトから、アカウントの復旧手続きを。本人確認をして、犯人に変更された情報を戻して――犯人に検索できないような、まったく新しい名前で――」
『わかりました』わかっているのか、いないのか。――
ソラはジェイスにも助けを求めた。「トライアンドッグ社は僕っすよー。パスワードは推測されそうな生年月日などは避けて、数字も入れ、――それから、二段階認証の仕方を説明しますよ」
ソラが書き込んだ。『バンド・メーカーを触ってもいいですか』ルシティが思った。そうか、乗っ取られたデバイス、機種はわからないがスマートフォンには、バンド・メーカーが入っていた! 個人的な事件だったのだ。
「絶対に触らないでください」息せき切って、ルシティが止めた。「新しいパスワードも、絶対に入力しないように――!」
不定期更新。




